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第十八節 妊娠事件

とても嬉しい報告があります!


なんと、僕達に新しい家族が出来ました。


あの夜の次の日の朝。


俺達はいつも通りに朝食を取っていた。


俺とニーニャはあんな事があった夜なのでとても気まずかったのだが、そんな事がどうでも良くなるほどの報告だ。


イヤシスの妊娠が発覚したのだ!


何でも、一ヶ月も前からずっとつわりが続いていたらしい。

味覚の変化、嘔吐、吐き気、倦怠感…この症状は俺を産む前にも感じた事だったのですぐに妊娠だと分かったらしい。


楽しみだ。


女の子か男の子のどっちかはまだ分からないようだ。


うーん、個人的には妹が欲しいな!二人!


名前は家族皆んなで名付けた方がいいだろう。


ん?


ニーニャのやつ、浮かない顔してどうしたんだろう。


この時、俺は猛烈に嫌な予感がしたが考えるのはよしておこう。



その悪い予感は、すぐに当たる事になる。




ーー


二ヶ月後。


今日ーー俺達家族は、ニーニャの呼び掛けによってリビングに集められていた。


何が行われるのか分からず首を傾げる俺以外の3人と何となく状況を理解して冷や汗をかいている俺。


そして遂に、ニーニャは両親の前で土下座をしその重たい一言を発する。


「奥様、旦那様…誠に申し訳有りません。妊娠してしまいました。」


「「は?」」


その妊娠報告に、皆が凍りついた。


はははは…終わった。


「だ、誰の子なんだ?」


イアソンが冷や汗をかきながら、土下座をするニーニャに向かってそう聞いた。

一方のイヤシスは、焦る様子は無いが驚いてはいるようだ。


「ダ、ダイン様の子です…」


「は?、、、、ハァァァァァァア!?」

「……ッ!!?」

「え?」


まぁ、そうなりますよね…本当に大変な事をしてしまいました…


イヤシスは衝撃のあまりに、その場に崩れ落ちてしまう。


アルマもまた衝撃を隠せない様子であんぐりと口を開けている。


イアソンは……


「おい、ニーニャ!自分が何をしたか分かっているのか!?」


二人以上に取り乱し、叫ぶ。


「本当に…申し訳ありません…」

「誤って済むような問題じゃないのよ!貴方がダインに子供に向けるような目で見てなかった事は知ってたけど、まさかこんな事になるなんて…」


イヤシスの瞳には一粒の涙が流れる…ニーニャは何も言えずただただ下を向いて今にも泣きそうになっている。

どうして、ニーニャだけが攻められているんだ。


俺は、ダメだと分かっていながらそれを受け入れてしまったんだ。

責任なら俺にもある。

このままでは、ニーニャは最悪の場合でも追放されてしまう。


エレシウス領はアムスフィア王国の北西に位置している。

彼女の実家はアムスフィア王国の南東の領地にある。


一言で言って遠い…歩きでは半年…馬車で向かったとしても数ヶ月はかかる距離…とても帰れと言われてすぐに帰れるような距離じゃない。


この世界は日本の様に治安が比較的に良い訳ではない。

移動したその間に、盗賊などの悪者に襲われる確率は高いとは言い切れないが無いとも言い切れない。


それに彼女は妊婦だ。

妊婦がたった一人でそんな長距離を移動するなんて無謀すぎる。

一応、舞神流は中級までの実力者だが…出来ることは限られている。

場合によっては、お腹の子諸共、死んでしまう可能性だってある。


イヤシスの表情から察するに相当な葛藤があるのだろう。


彼女には返しても返し切れない恩がある。


「母さま…ニーニャが悪い訳ではないんです。僕が無理矢理に関係を迫ったんです。」

「え?」

「な、それは本当かダイン!」

「どう言う事?」

「僕はニーニャの弱みを握って、それを口実に彼女を脅して無理矢理襲ったんです。」


さ、流石に無理があるか…普通に考えればこんな小さくて性に乏しい子供がニーニャの弱みを握って襲うなど有り得ない。

他に、言い訳が思いつかなかったんだからしょうがないでしょ?


「それは、本当なの?」

「いえっ、「はい、本当です。」

「はぁ…もう良いわ…本当は良く無いけれど…」


え?

いや、良いんですか?


「妊娠してしまった物はしょうがないわよ。生まれてくる子供に罪は無いし…ニーニャももう私達の家族同然の存在よ。今更、この家を追い出すなんて真似はしない。」


「ッ!?ありがとう…ございます…」


ニーニャは、イヤシスに深々と頭を下げる。

その瞳には大粒の涙が溢れ出していた。


「ダイン、お前は俺に似たな…」


おい、イアソン…やっと話したと思ったらその言葉は今は不味いんじゃないか?

ほら!

イヤシスが鬼の形相をしてアンタを睨んでるぞ!?


「あ〜な〜た〜?」

「はっ!?こ、これはあれだ!場を和ませる為の…ジョ、ジョークだよ!ぐわぁぁぁあ!?」


イヤシスの剛腕がイアソンの腹にヒットした。


イアソンに999ダメージを与えた。


イアソンは気絶した。


「全く…話を戻すけれど…それでも十分に問題なのは間違いない。貴方の生まれてくる子はイアソンが孕ませた妾って言う事にしておくわよ。

ニーニャもそれで良いわよね?」

「私めは、この家に置いて頂けるだけで幸運です。」


確かに、このまま俺とニーニャの間に生まれた子供だって知られてしまうと体裁が悪いだろう。

ならば、イアソンの子と言う事にしてしまえばそれほど体裁は悪くないだろう。


「取り敢えず、この件はお仕舞いにしましょう。あまり怒り過ぎると私のお腹にいる子にも負担が掛かっちゃうから。ダインとニーニャ…貴方達にはまた声を掛けるわ。」


こうして、一件落着。


一家は、解散となった。


「お姉様…いつかはこうなると思ってましだけど…」

「ごめんなさい、アルマ…」

「別に怒ってませんよ!ただ、赤ちゃんが生まれたらちゃんと私にも可愛がらせて下さいね!」

「うん…ありがとうアルマ…」







ーー



「お待たせ致しました奥様。」

「母さま。」


俺とニーニャとイヤシスは、深夜のリビングで朝の件に関しての話をする為に集まっていた。

イアソンとアルマは、仲良く二人でお眠りをしている。


「それで?本当はどうなのかしら?」


イヤシスは確信を持っているかの様な表情をしながら敢えてそう聞いてくる。

うん、やっぱりあの言い訳は無理があったか。


まぁ、普通に考えればそうだよな…


「私が手を出してしまいました。」

「そうだろうと思っていました。貴方は、まだ幼い子供に手を出した挙句、妊娠したのよ?

その自覚はある?」

「はい…」

「もうこれ以上、責める気はありません。

ニーニャ、貴方は後悔している?」

「初めは後悔していました…ですが、今はもう後悔していません。」

「そう…」


イヤシスは少し溜め息を吐きながら、頷く。


「ダイン…」


やばい、来た…次は俺のターンか。


「貴方も、突然だったとは言え…自分がやってしまった事に自覚はある?」

「はい、あります母さま…」

「本来、貴方ならニーニャを説得して止められたと思います。それについてはどう?」


そう、本音を言えば止められた…いや、止めるべきだったのだ。

でも…あの時の彼女の少し寂しそうな表情を見たら止められなかった。


「確かに、僕なら止められていたと思います。でも、あそこで無理に魔法を使って止めようとしていたらニーニャに怪我をさせてしまったかも知れませんし。」

「それは、そうね…最後に、貴方は一人の子の父親になると言う覚悟はある?」

「正直、覚悟は…あるとは言えません…でも、出来る限りの事はやりたいと思ってます。

この件に関しては僕も責任があります…ニーニャだけに負担を掛ける訳には行きません。」


あの一回で子供が出来てしまうのは正直言って驚いたが…こうなってしまったのは俺の所為でもある。


「そう…なら良いわよ。とにかく、私やイアソンも出来る限りの事はするけど、私達の間にも生まれてくる子供がいるの。ニーニャは元々、後宮の侍女として子育ての経験があるからそこまで心配はしてない。

ただ、問題は子育てにかかる費用の事だけれど…そこに関してはイアソンに伝てがあるから場合によっては、そこでダインには働いて貰うわよ?」


そうなりますよね…6歳にして働くのか…と思ったけど、貧乏な家庭では俺くらいの年齢で働いている子供はこの世界に何人もいるのだろう。

なら、甘んじて受け入れる。

それが、ケジメだ。


「はい。」

「二人の関係についてとやかく言う事はないけれど…ニーニャ、手を出すならダインが成人してからにしなさい。」

「はい。」


え?

はいって、ニーニャさん?


「もうこの件については終わりにします!解散!」


こうして、緊急家族会議は幕を下ろした。


異世界に来て早々、やらかしてしまった。


皆んなは、ちゃんとゴム付けようね?

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