第十五節 裸の付き合い…
あれから一年後…俺は6歳になっていた。
大して変わった事はない。
いつも通りの日常。
いつも通りの魔法の鍛錬。
いつも通りの剣術の鍛錬。
最近は、剣に魔法を纏わせて擬似魔剣を作り出すことも試している。
火を剣に纏わせてみたり、水を渦のように纏わせてみたり…とか。
やはり、剣術は楽しい…しかも、この世界には魔法があるからあっちに居た頃よりもやりがいがある。
風魔法を使えば…剣速など俺には足りない部分を補う事が出来る。
土魔法+水魔法を組み合わせれば、地面を泥に化して相手の足場を奪ったり…この様な、工夫をすれば例え剣術で劣っていても多少は力の差を埋める事が出来る。
最近は、イアソンによる剣術の指導が厳しくなった。
実戦訓練は俺にとっても好都合だった。
戦いの中で、様々な小細工を施して実力差のある相手との差を埋めて勝利を模索する。
それでも、イアソンには未だに勝てない。
イアソンは強い…あの、普通に強いです。
アルトリウス先生との鍛錬でも中々に奮戦していた様に、いざ相対して見ると本当に強い。
ニーニャやイヤシスに聞いた限りでは、イアソンは剣神流・舞神流・戯神流・我神流の流派を習得しており。
その中でも、戯神流と剣神流は剣豪と戯豪まで修めているのだとかか。
流石だ、天才。
今日も、鍛錬を頑張っている。
「ーー『水球弾』!」
凄まじい速度のウォーターボールがイアソンに向かって放たれるが…イアソンはそれを木刀で見事に真っ二つにして距離を詰めてくる。
俺は、すぐさまに距離を取って岩の壁を何枚も作る。
「洒落くせぇ!」
嘘だろっ!?
少し精度を落としているとは言え、金属並みの硬さなんだが…それを突きで全て砕き貫いてくるのか…
「ガラ空きだぞ!」
一気に俺の間合いまで距離を詰めて来たイアソンは、剣を逆手に持ち替えて首筋目掛けて薙いで来る。
俺は、片手に持っていた木刀でイアソンの一振りを受ける。
「ッ!」
しかし、身体強化をしているとは言え…この身体は6歳の小さい身体の持ち主が、大の大人の力に敵わず吹き飛ばされてしまった。
いやー、やっぱり勝てないっすねぇ…でも、剣術の中に魔法を上手く組み合わせれば本気では無いにしても、あのイアソンを相手にまぁまぁ戦える。
この調子で、鍛錬を続けていればいつかは勝てるだろう。
ーーー
まぁ、変わったと言えば…そう"友達"が出来た事だな!
セレーナは本当に真面目に俺の魔法の鍛錬を受けてくれている。
因みにだけど…セレーナは魔法の鍛錬の時は兜を脱いでいるのだが…それはもうイケメンボーイっ!
浅葱色のハンサムショートがよく似合うまさに、国宝級の美少年。
元の世界に居たら間違いなく世界的な有名人にでもなっているだろう。
更に、耳の部分が長く尖っている…エルフ!?
それにしても、憶えが早く本当に助かる。
そこで分かったのだが…魔法のすゝめに載っていた魔力総量の理論は信憑性が薄い説が濃厚になって来た。
まず初めに、行ったのが彼の魔力総量の確認だった。
最初は、初級魔法を2、3発ほど放っただけで限界が来てしまうだろう…と思っていたのだが、なんと10発も放てたのだ。
そこから、数日、数ヶ月、半年、一年も経つ頃には俺にも劣らない程の魔力量を備えてみせた。
これも、エルフだからなのか…それもあるだろうが…彼女もアレだ、師匠と同じ天才タイプなんだな。
次に行ったのが、適正属性の確認だったのだが…なんと驚いた事に三属性の魔法を扱えるみたいだ。
特に、風魔法は俺よりも上手く扱えている。
何でも、セレーナの母親はエルフで風魔法を王級まで扱える人物なんだとか。
それなら、納得だ。
こうしてみると魔法のすゝめに載っていた事が、本当かどうか怪しくなって来たな。
師匠曰く、魔法のすゝめは少なくとも何万年も前より書かれた物なので必ずしもその内容が正しいとは言えない。と言っていた事からも…
恐らく、これは本当に俺個人の意見に過ぎないが…初めから使える属性が決まっているのではなくて…苦手系統の属性だから扱う事が出来ないのでは?と考えている。
例えば、エルフは森と共生する種族故に炎を恐れているとなると…セレーナ自身にも炎魔法を試して貰った。
簡単なファイアボールを使って貰いたかったのだが、火が現れた瞬間に消滅した。
適性が無いと思われた炎魔法を、一瞬だが使えたのだ。
だから俺の考えは少し濃厚になったのかも知れない。
因みに俺には、苦手な物は無い…だから全属性が自由に使えるのか?とも思ったけど詳しいことは分からない。
まぁ、とにかくセレーナには苦手な魔法属性は取り敢えず省いて、得意な分野から習得していこうと言う形でやって行くことになった。
この一年間で、中級魔法なら難なくこなせるようになった。
今だって、俺の隣で風の中級魔法『台風』を湖に何度も放っている。
そのおかげで、あちこちに水が撒き散らされている。
「そうだ、ダイン…我も君と同じ様に無詠唱?魔術とやらを使ってみたいのだが…」
「そうだね…分かった!」
教えるとなるとかなり難しいなぁ…師匠の言っていた事をまるパクリすればいいのか!
「まず頭の中でその魔、魔術の詠唱文を想像し、術を構築する。尚、この時の詠唱文は短文詠唱でも良き。
それらを構築したら次は、術の大きさの調節や威力に速度そして距離を自分の魔力で調整し…あとは放つだけなんだけど…出来る?」
「ふむぅ…なるほど…」
よし、ありがとう師匠。
セレーナは早速、今の説明を聞いて実践を始めた。
しかし、やはり思っていた通り中々に難しいようだ。
無詠唱は難しいんじゃないかな、初めから無詠唱で魔法の訓練をしていれば簡単に出来たかも知れないけど…
と、思っていたのだが…彼を観察していると、広げた手のひらから少し小さい風の刃が放たれた。
おぉ!
大成功じゃないか!
「すごい!それが無詠唱魔術だよ!」
「ああ!ありがとう!君のおかげだ!」
うん、やっぱり俺の友達は天才なようだ。
無詠唱で魔法を使えた事がよほど嬉しかったのだろう、物凄く嬉しそうに笑う。
その微笑みは男とは思えない程に、魅惑的だった。
「あ、ダイン!」
「へ?」
気付いた時にはもう遅かった…セレーナが放った中級の風魔法の『台風』の威力調整をミスった反動で湖の水が勢いよく俺とセレーナに襲いかかって来た。
「あー、あ…びしょ濡れですね…」
「す、すまない…しかも、泥も混じっていたみたいだ…」
「このままでは汚いから、俺の家で風呂に入って洗い流しましょう。」
ーーー
そんなこんなで、俺達は家へと戻って来た。
家の前に辿り着くと、ニーニャが待っていた。
「待っていましたよダインとセレーナさん…って、泥だらけじゃないですか…!」
うぅ、すまないニーニャさんや…
「今、風呂の準備をしますからお待ち下さい。」
やれやれ、ニーニャにはいつも苦労を掛けてしまっているな。
それからたったの数分で風呂の準備が出来たようだ…おぉ、ニーニャさん…いつも助かっております♪
感謝しても感謝し切れません!
指定された場所へと向かうと、そこには2人分は入れるような桶に丁度いい温度のお湯と石鹸が用意されていた。
しかも、ふかふかのタオルも用意されていました。
なんて有能なんですかッ!是非、嫁に欲しい!
って事を言うと、ニーニャはたまに暴走してしまうので辞めておこう。
着替えは別々の部屋で行う事になった。
あ、よくよく考えたら…セレーナの裸を見るのは初めてだな…男同士の裸の付き合い…よきかな…
凄く楽しみだ…さぁ、いざ行かん!
「お待たせ、セレーナ!え?」
「ああ、遅かったなダイン…ふぇ?」
え?
んん?
えぇ、わたくしダイワスレイヴは現在ーーとんでもない物を見ています。
目の前に居る…私の友人セレーナ君の胸部に可愛らしいお山が二つ成っていました…更に、彼に付いている筈のバナーナが存在せず…可愛らしい鮑が備わっていたのです…
セレーナって、お、女だったのかぁぁぁぁぁあ!?
「ダ、ダダダダダダダインッ!お、女じゃ無かったのか!?」
「セ、セレーナこそ、男じゃなかったんですか!?」
oh、My、god…
「ダインが男…ダインが…ダイン…ダイ…ダ…ふ、ふわぁ、、、」
バタっと言う音を立ててセレーナ君…いや、セレーナちゃんは俺の股間部を見て倒れてしまった…その間俺は、倒れたセレーナの可愛らしいセレーナを見て自分の股間がおはようしていたのだった…




