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パラレルワールド  作者: 晩白柚
8/13

遠出

泥を焼いて作る簡単工具にトライしてみた。


意外にも、割れた陶器を使えば何とか竹が切れることがわかったので、脆くて使い勝手も悪いが何とか竹の水筒を5本ほど作ることができた。


数日かかったし、手も痛いので、もう竹はいいかな、と思うが、木の枝を削って作った蓋で閉じると、ひっくり返しても大丈夫な水筒がついに出来上がった。


夏になる前にもう少し遠出をしようと、今度の新月の次の日を目処に数日支度をして北に向かって探索に出ることにした。月が次に新月になる前に戻るのが目標だ。


竹の水筒は15本用意できた。1リットル程度入るので、2週間は使えるだろう。

西は多摩川があるので、西北に向かって、10日程度で井の頭までは行ってみたい。


今回の探索の目標は新しい食材だ。

もしいるなら鶏やアヒル、できれば肉、それから果樹と、ネギとか韮とかの野菜も欲しい。井の頭ぐらいの大きな池なら蓮根もあるだろう。


今回は準備期間に出発後方角を確認するための道具を作ってみた。

小学校の宿題でよくやっているあれである、太陽の高度計だ。

まずは縦方向に影がどれぐらいの長さになるのかをチェックし、3日ほどその長さに印をつけていく。次に太陽が1番高くなったところを確認し、そこに12時のチェックを入れる。日の出日の入りからそこまでは同じ時間と言う前提で6等分に分けていく。これで太陽の高さを見れば時間がある程度わかり、太陽の方角を見れば、ある程度方角がわかる。いわゆる簡単な日時計である。

もちろん材質は粘土だ。焼き上がると少し縮むし、目印が小さいと見えなくなるので、調整するのに数日かかってしまった。

出発の当日、多摩川と目黒の崖がある方角のちょうど真ん中あたりに向かって進むことにする。大体500メートル位歩いただろうか。普通に荒れた野原のような荒れ地だったところから、森のような林が広がっている景色が前方に見え始めた。ここまでは帰りのために目印に木の枝を折って十字架を作り、それを地面に刺して、矢印代わりにした。野原を歩く時はなるべく草を刈りながら歩く。獣道ばかり歩いていると通ったことがあるかないかがわからなくなりそうなので、獣道を歩く時も道端の草はちょっとずつ刈りながら進んで来た。

森に入ってからは、どこかのラノベで読んだ内容のように、枝を折りながら進むことにした。


世田谷のあたりを通ると、なるほどここは谷だったか、久我山は山だったと、普段通った通りがすごく新鮮で、地名を思い出すと、なぜそういう地名になったのか、わかるような気がしないでもなかった。

特に嬉しかったのは、富士見ヶ丘に登ると富士山が見えるということだった。


井の頭池についてみると、思い出に残っている井の頭公園の池よりも、すごく広く、湖と言える位の広さだった。

もちろん着いてから1番最初に目についたのは、湖の上で遊んでいるアヒル達と、水に浮かんだたくさんの蓮の葉っぱだった。そして、湖の中程に浮かんでいる島には、あれは鶏ではないのかと思える鳥がいた。


持ってきた縄使ってたくさんのアヒルと鶏を縛り連れて帰る。用意をしながら、水に浮いた蓮のレンコンを20個ほど確保して持ち帰る荷造りをする。

行きは3日かかったが帰りは1日で帰り着いた。


本拠地になっている池上には、本当なら寺がある。境内のところに小さめだが池がある。もともと池があるから地名が池上だと思うけれど、鳥を放つにはちょうどいい。


池の周りに結構広い地面を確保し、そこに生えてた葦だとか、雑草だとか、細めの雑木とかは伐採し、それをもう少し後ろのほうに縦に差して、横に組んで生け垣のような壁を作ってある。そしていつも池からドロ粘土を持っていくときにその柵にちょっとずつ投げてくっつけて乾かしてあるので結構頑丈だ。


今回は鳥を放ったので、池の周りの柵の南側、つまり本拠地の住みかのある方向に向けて、門をつけた。

門といっても、竹を組んで作ったドアを両側の木にくくりつけてあるだけのお粗末なものだけれども、これがあるだけで、鳥が外に逃げなくなる。


池の近くに簡単な小屋のようなものを作り、中には餌を置くための台を置いた。石を組んで上に泥を塗って乾かしただけの簡単な餌場である。乾かすときに大きめの貝殻を数個はめた状態で乾かしてあるので、餌を入れるにはちょうどいい。餌は干した猫じゃらしだ。後は勝手に虫とか取って食べていると思う。


せっかく鳥が来たので、泥で塗ってある壁をもう少し頑丈にして、外からいたちのような小動物が入って来れないようにしたのだ。結構な高さで外側にも泥を塗ってぬりかべを作った。


せっかくだから自分の住む場所も作ろうと思って、簡単な小屋のようなものにトライしてみた。1番難しいのは屋根だが、材質は雑草を使った。わらぶきならば何とか形になるようだ。最初に作ったものは雨漏れがひどくたくさん漏ってきた。ヤツデの葉っぱをしっかりと敷き込みながら2層にしたら、やっと雨漏りが入らなくなってきた。


建物がある程度立て終わる頃になると天気も涼しくなってきてた。

秋ならそろそろ果物がなるんではないかと思って、もう一度井の頭方面に遠出することにした。前回井の頭まで行くときに果物の木だと思える果樹をいくつか目をつけたものがあるのだ。


誰も収穫してない木なので、地面を見るとかじって捨てたような腐った果実が結構落ちているところが数カ所あったのだ。なので、そろそろ秋だと言うことで、りんごや梨や栗など取れるのではないかと思い行くことにした。


それから雨になるまでの間、井の頭までの距離を南十戒か往復した。何度も歩いた道は歩きやすくなっており、朝出発すれば夕方には井の頭に着く位の歩きやすさになっていた。けれども、井の頭まで行くのではなく、その途中で見つけた果樹を掘って、池上に持って帰ることを毎日毎日少しずつ続けてみた。


あまり大きすぎない株だと多分10年から15年ぐらい経っているものだろう、ある程度果物が実っているものを猫根ごと掘り起こして紐で縛ってゴザに乗せて引っ張ってくる。100メートル歩いては果物を1つ取ってかじってを何度か繰り返し、ついには池上の本拠地から池の間は立派な果樹園になってきた。






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