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第1話 始まりの始まりの、その少し前の物語。

この世界は、強者に優しく、弱者に厳しい。

少なくとも彼–––レノ・ホークスという少年の見てきた世界は、そういうものだった。

頭脳、技術、喧嘩、経済、地位。あらゆる面において『力』を持つものが絶対的な強者であり、それが劣る者より優利な位置に立つことができる。無論、例外などない。

そしてその力は、大抵が生まれ持った才能と親の肩書に依存する。先天的に弱いものは、常に劣勢で在ることを強いられる。

レノの父は、社会的、経済的な面において、弱者であった。それ故に生き方の選択肢を狭められた。

結果、レノが十一歳の時に、力を持つものによって、その命をあっけなく刈り取られた。


……それが、今から六年前の出来事である。


******


 龍神暦2367年、光の月、7日。

 広い屋敷の隅にある、小さな一室、そのベッドの上で、少年は目をさます。

 午前5時、東の夜空が仄白(ほのじろ)み、未だ太陽は顔を出さないが、この時期は早朝でも寒さは感じない。

「ふあー……あぁ」

 大きなあくびを一つすると、少年−−− レノ・ホークスは、自分の寝ていたベッドを抜け出した。

 寝ぼけ眼でベッドの横にある 鏡台に映る顔を覗き込み、自身の金髪が爆発していないのを確認し、ほぅと息を吐いた。 父親譲りのこの神はとにかく硬く、寝癖がつくと直すのに手 間取るのだ。

 そんなことを考えながら寝間着を脱ぎ捨て、 仕事着である制服に袖を通し、ネクタイを締める。そして再び鏡台の前へ戻り、髪をポマードで軽く整えれば、朝の身支度は完了だ。

 廊下へと続く扉の前に立ち、レノは一度、部屋の中を振り返る。

「行って来ます、親父」

 部屋の隅に立てかけてある鈍色の鎧に向かってそう言い、勢いよく扉を開けた。

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