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アイを与えし聖女と番いの獣  作者: kettocer
序章 キマイラと覚醒
1/10

その獣は困惑していた 1

あけましておめでとうございます。お久しぶりです。ケットシーです。


仕事に疲れ生きる気力すらなくなっていた僕ですが、先輩からのアドバイス。趣味はないのか?に後押し(?)され、久々に投稿させて頂きました。


正直、新作含めてネタが溢れかえって頭痛いです。

なんとか続けていこうと思いますので、よろしくお願いします

 その獣は困惑していた。



 血の匂いがし、かけた先には争う集団。


 大きく四角い箱を囲う食えない外郭を纏った者たち。


 それから守るのは獣臭い猿……いや、人間というのだったか。奴らは次々と倒され、ついに守るものはいなくなった。


 外殻を纏った者たちの中でより刺々しい奴が、大きい箱を壊した。

 中は空洞のようで、そこには一人の人間がナニカを抱えていた。


 赤ん坊——それを理解した獣はニヤリとほくそ笑む。

 あれは骨も柔く美味い。あんな奴らに奪われるのは惜しい。


 そう考えた獣は見下ろしていた崖から飛び降り、垂直に近い崖を走り出した。


 己が獲物と決めたそれを奪う輩を———



 駆逐するために





 スリープの魔法で眠らせた我が妹を片手で抱え、相棒のアネラスではなく、護身用に持っていた付加武器のダガーを構えていた。

 突然の強襲に私たちの護衛は即座に対応してくれた。

 長く感じる剣撃の音色。それが鳴り止んだ一瞬、討伐は終わった者だと思っていた。


 だが護衛たちの声は聞こえない。その意味を理解した時、鍵をかけていた馬車の扉を一筋の線が通り、斜めに滑り落ちた。


 なぜ


 なぜ


 なぜ我が国の兵士がココにいる!!


 それも隊長格の中で近接戦闘に特化したバンガードタンクを身に纏う男が、何故。

 考えても答えは出ない。


「なんだお前たちはっ、私が誰なのか知っての……」

「えぇ、知ってますよアネモネ王女? 貴女のことはよーく知ってますとも」


 そう言いながらバイコーンヘルムを外した彼の顔には見覚えがあった。


 灰色の髪。 柔らかな眼差しに反してその顔には斜めに入った痛々しい傷の跡。


「アンフレット!? どうしてお前が私たちを襲う。そもそも、何故分かった」

「簡単ですよ。貴女のことですから偽装してるだろうとふみ密偵を送っていたのだよ」

 ヘルム越しだとわからなかった彼の男らしくもきひんのある声からは想像のつかない言葉が紡がれる。


「密偵!? そんな誰が……」

 いや、そんなことはどうでもいい。兄上専属の王国騎士団の副団長であるアンフレットがいること自体理解できないでいた。まさか……っ。


「あぁ、ご心配には及びません。隊長殿もウッズウォール殿下には何もしてませんよ。というか、手を出せるわけないじゃないですか……」

 深い溜息にあぁ、洗礼を受けたのだなと理解した。

 が、それはそれこれはこれだ。


「まぁ、それはいいでしょう。用があるのはもちろん

 貴女何ですから」

「……目的は」

「貴女を、我がモノにするためですよ、アネモネ、我が婚約者」

「元、だろうがっ」

 アンフレット=ホニーメイサー。私が幼い頃婚約者としてそばにいた男。だが彼は私との婚約を破棄し、別の女と結婚していた。

 そのことには別段興味がなかった私だが、翌年からの側にいる女が変わっていたことに驚いた。

 どうやら彼は複数の女を侍らせているらしい。私が最後に覚えている時は10人だったか?

 彼は顔が良い。だがある討伐依頼にて魔獣の攻撃で傷をつけられた。

 普通ならもう女は寄ってこないだろうそんな彼に、その10人全員が寄り添っていたのだ。

 最初は彼をちゃんと全員愛してるモノだと思っていた。


 だが。


「ふふ、そのつれない態度も変わりませんね。だからこそ———」



 壊しがいがある。




 そう呟くアンフレットの口角を吊り上がるのをみて確信した。

 生粋のサディストであり、そばにいる女……妻達は彼にとって体のいい玩具として扱われているという噂が真実であるということ。


 そんな男から婚約者と呼ばれるのは虫唾が走るっ。


「私はお前の思い通りにはならない」

「へぇそれはどうかな?」

 彼の背後から一本の矢が飛んできた。

 反射的に弾き返したがあの軌道は私ではなく妹を狙っていた。


「貴様らぁっ!!」

「あははははははさぁどうします? そんなお荷物抱えて、どうやって私たちに対抗する。己の身を盾にして? 無駄ですよ。(やじり)には麻痺毒を塗ってます。どのみち貴女は詰んでいるのですよ!」

 あはははと高笑う彼に対して自分が苦虫を噛んなように顔を歪めたのが分かる。


 このままでは妹が、この国の未来を担うこの娘が……。


「……っ!!!」

「おやぁ? ついに諦めてくださいましたか? さぁ、私の領地で二人仲良く」

「………しろ」

「ん? なんです?」

 ニヤニヤと笑いアンフレット。だが、私は彼をみていない。

その向こう。彼の後ろで丸いものが上へ飛んだのをみてしまったからだ。


「後ろだっ、アンフレット!」

「っ!?」

 切羽詰まった私の叫びに、彼は即座に動いた。

 愛用のミスリル性ツーハンテッドソードに風の魔力を纏わせ綺麗な弧を描き馬車の壁を切り裂きながら後ろに向けて回転切りを行った。



 彼の上半身だけが。

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