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〜モモと〜【夜に墓場で運動会は流石にしないけど、昼間にピクニック程度なら毎年する県でのお話。】  作者: U-10
中古物件に付いてきた幽霊が仲間になりたそうにしています……、家族にしますか?:選択肢が『はい』しかないんだよなぁ…。
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【裏話】存在

よく幽霊は、自分の事を幽霊とは気づかないって言うけど…気づいてしまったらどうなるんだろう。


(あぁ、まただ、またあらわれた…)


 今まで見向きもされなかった、気づいても、分からない【音】とともにいなくなっていったモノ達。

その存在にすでに恐怖は無く

希望もなく

絶望すら…もう湧かなくなっていた。

コチラから話しても伝わらない。

アチラの音も分からない。

気付いたとしても、離れていく…。


私はもうすでに諦めていた。

(私は…私は何なんだろう)

目覚めてからの記憶しかない

(何で、存在するのだろう)

ただ存在を知らせ続けるだけだ

(私は…)


ソレらを見ることは、もうしなかった。


「…!…、…。」


ふと会話が耳に入って来た。

そう、『会話』だ。


 今、私に聞こえているものは【音】では無く『声』だった。


 会話のする方を見るそしてソレを私は知っていた。

 今までの分からない【モノ】じゃない、私の知っている見たことある『者』がそこに居た。

 いや、知っているという言い方には語弊がある、個人的に知ってる訳でわない、ただ、今まで現れた【黒】や【白】いナニかとは違い、私と同じだということが理解できたという事だ。

(ようやく…ようやく…)

 

 内側から溢れてくる思いに突き動かされヨロヨロと近づいていく

(まってた…まって、いつづけた)


〘わたしは側にいる〙


 そして、声をかけようとしたところで、誰もコチラを見ていないことに気がつく。

急激に感情がかめていった。


(今までもそうだった…じゃない) 

 そのコトで冷静な部分が仕事をしてくれる。


 …そう、今までも私に気付いてくれるまで、ある程度の時間を要していた事を思い出す。


まだ時期じゃないだけ…

少し理解がおよぶ相手になった。

それだけで有り難い。

 そう思うことにする、希望を保つために。

 

 ようやく現れた『者』達を再確認する。 

大人の男性が一人と女性が一人

(見た感じだと夫婦でしょうか)

あと子供が男女一人づつ、男の子の方がが少し大きい。(お兄ちゃんかな)

 家族が、普通に過ごしてる、そう何も不思議はない普通の家族がソコにいた。

(…あ)

そこで

ある考えに行き着いてしまった…。


 今まで現れたのは、よく分からない存在達だった。


 (ソレに認知させる事にいっぱいいっぱいだったから…イヤ)

 無意識に考えるのを避けていた事が頭の中をかけ巡る。 

 自分と似た存在が目の前にいて、その家族が普通に生活を送っている。

側にいる自分は…


私は目覚る前の記憶がない。

 目覚めてからは、ただただ存在を叫び続けてきた。

それはもう寝る間を惜しんで。

食べる間を惜しんで。


…コレは比喩じゃない。

 生き物にとって必要なそれらをせず私は



  

【どうやって生きてこれた…】




(…そっか…、

私の方が【おかしい存在】なんだ…)


 その衝撃は、私にそれほど深くは刺さってこなかった。


薄々感じていたのか。

不思議な事にもう慣れたのか。

 それとも、私が生まれた経緯にその秘密があったのかもしれない、…だけど今はその記憶もない。

 

 それでも、私はそれをすでに受け入れてしまっている。


 それを踏まえて、コレからどうするのか、私の気持ちは…。


『気持ち』…今までの出来事にすり減らし続けてきたソレ。

『傷つく私』が確かに在る。

なら私はココに確かに『存在』するんだ。


 そして時がくれば、この家族達も私を認識してしまう…そう、相手はいつか私を認識してしまう。


ようやく理解できる相手が現れた

(この家族も居なくなるの…、イヤ、だ、このままはイヤだ、…また一人は)


なら、私は、何が出来る?

その時に自分は何をすべきなのか。


…まず

理解してもらおう、そこからだ、理解出来ないモノはやっぱり怖い。


『私』を知ってもらおう。

危ない存在ではないと。

邪魔をするわけではないと。

なら!

そらなら…。

伝えられるように言葉を覚えよう。

 幸い認識されるまでにはまだ時間はあるはず。

 全てでは無いが、話している言葉に分かる単語はある、雰囲気や指してる物などの動きの中から多少は理解もできている。


自分にできる事をしよう…。


そう決意を決めた私は行動を起こす。

 会話を聞く、聞こえてくる単語を覚える、それを自分の知っている事と擦り合わせる…それを繰り返して学習した。


 住人が見ているテレビという物も積極的に一緒に見るようにした。

 小さな人や絵が動いたり到底理解がおよぶ代物では無かったが、沢山の情報と言葉を知ることに役立てた。


 決意を決めてからは有意義に、だが確実に時間は過ぎていった、…今までの経験から、影響を受けやすい子供ならそろそろ気づく頃だ。


そして、ついに…

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