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〜モモと〜【夜に墓場で運動会は流石にしないけど、昼間にピクニック程度なら毎年する県でのお話。】  作者: U-10
中古物件に付いてきた幽霊が仲間になりたそうにしています……、家族にしますか?:選択肢が『はい』しかないんだよなぁ…。
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モモと住居

ビール大好き!

 

 一昨年、購入した念願のマイホーム!!

 安い中古物件だが…そ、それでも2階建ての庭付き。

 愛すべき長男長女、超愛すべき奥さん、オレの4人で構成される組織『家族』にとっては十分すぎるくらいの規模なので大きさに不満はない。

 家具家電も前の住人の物なのか、そのまま据え付けられていた、外国製のソファーやタンスなどは、とにかくデカく、家電のパワーは凄まじかった、レンジでポップコーンを作った時なんか炭化したほどだ。(あんた3分でイイっていてたじゃん…)


 オレ達の住んでいる地域は、大小様々な島が列なって出来た県だ。

 県庁所在地のある県内最大の島、その中央付近に位置する市内に、コノ住居は建っている。


 世界遺産にもなっている城跡が聳える丘がすぐ側にあり、そこの裾野に作られた新興住宅地の一角だ。

 庭に1歩出て丘の頂上見上げれば、曲線の美しい石垣を見る事ができる。

 バックに映る青空とのコントラストで凄く美しく見える。

 この城跡を見上げるたびに気持ちが落ち着くような、高ぶる様なそんな不思議な気分になる。


 逆に視線を裾野から見下ろせば、眼下に青が美しい海が広がっている。

 海岸は湾状になっており、湾曲した対岸側には、コレも世界遺産の城跡が小さくだが、遠く臨むことが出来る。

 開放感のある《絶景》が広がっている。


コレが買った理由の1つ。


そしてもう一つの理由が、《安さ》!

というか最大の要因だった。


 奥さんが、知り合いから紹介してもらったというこの物件。

 中古とは言っても出来て10年ソコソコだったし、県内でよく見られる鉄筋コンクリート造なのでそれほど劣化は見られず、それでも値段が相場の3分の2ほどしかしなかった。

 時々上空を行き交う騒音は…、この島に居れば大体の場所で聞かれるモノなので、値引きにそこまでは関係は無いだろう。


だとすれば…何かイワクつき!?

 いわゆる『出る』物件なのかと心配した。

奥さんの


「家具家電付きなんてラッキーじゃん!揃える手間がはぶけるねー」

 と言ってプラスに捉えていた言葉も、オレの中でだんだん(コレって『現状引き渡し』という物では…)という疑念に代わった。

 職場の先輩からの『あそこは城跡近くだからでるぞ〜』と言われた与太話もオレの心に不安をプラスすることに一役買うことに。


 …が、そんなコトも2年も過ぎた今では遠い思い出になっていた。


 ここの住宅地近くの海岸沿いには、駐留軍の基地があり、そこで働く国際色ゆたかな方々が多く住んでいる。


 オレは学生時代から外国語が苦手で、テストをする度に恥ずかしがった点数が真っ赤になっていたのを覚えている、…親もよく真っ赤になったっけ。

 そんな事もあり、最初ご近所の人々と上手くやっていけるか心配だったのだが…、みんなさん陽気な方々が多く、会うたびにあちら側から片言ではあったが、ガンガン挨拶や声掛けなどをしてくれた。

 そのおかげでスグに打ち解ける事ができ、良好なご近所づきあいをする事ができた。


 そんな気さくな近所の方々は、お国柄なのか庭でBBQなどを頻繁に行う。

 オレもその都度によく呼び出され、肉やビールをご馳走になっていた、と言うか肉とビール位しかBBQの場に用意されて無かった。


 ココの景色を見ながら飲むビールが最高に旨く、そんな、楽しいしコトが続いていけば、当初あった不安や心配などは些細なモノとなっていき、…そして、じきに忘れてしまった。


ハズなんだけどなー


ようやく…

と言っていいのかわからないが。


そんなマイホームに

【出た】


…らしい。

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