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鈴木 信仁の終わり

初投稿です。


ど素人です。書き溜めもありません。


不定期更新予定ですが、皆様に楽しんで頂きたい一身です。


暖かく見守ってやって下さい。

僕こと『鈴木すずき 信仁しんじ』は、16歳でその生涯を閉じた。


元々、生まれた時から体の弱い僕は中学、高校に上がっても運動には参加出来ず、運動の授業や行事は体育館の端っこや、

校庭のこれまた端っこで大人しく見学をするしかなかった。

友達と楽しそうに体を動かして、競い合う彼ら、彼女らをいつも眺めていた。


運動が出来ない分、僕は勉学や読書に勤しんだ。それしか彼らと張り合えるものが僕には見当たらなかったから。

同級生達が部活や遊んでいる間にも僕は勉強した。その結果勉学において学年で3位の成績を取ることが出来た。


嬉しかった。本当に。

彼らと張り合えるものを示せたと思った。

認めて貰えると思った。あの輪に入れて貰えると思ったんだ。


でもね、結局の所僕は一人のままだった。


生来、不器用な僕は人とのコミュニケーションが存外下手糞で、

そんな僕が勉学で優秀な成績をとってもガリ勉のレッテルを貼られてやっかまれるのは当たり前だと後から気づいた。


幸い、学校でいじめられる事もなかった。

だが、学校では勿論いじめはあった。


単純に僕はいじめの対象とするにはヤワに見えたのだろう。

事実、現場に立ち会ったこともあったが、

止めに入って一瞬で蹴散らされた挙句に病院送りになったこともあった。

どんなに正論を言っても止まらない彼らを止めることは出来なかった。


因縁をつけられることもなかった。

どうやら、病院送りになった一件で、

僕に対する態度は見られているようで手は出せなくなったらしい。


まあ、クラスメイト達に無視はされていたけど。


友人もいない僕は学校が終わるといつも一人で家に帰っていた。


そんな事態が急転したのは、高校1年の9月。


僕の体はいよいよもって駄目になったらしい。


大して強くもなかった体だったけど、

急激に力が入らなくなってきた。


原因は不明だけど、

徐々に力が入らなくなるなる病らしい。


まだ、しばらくは大丈夫らしいけど、

近い内に普通の生活を送れなくなる―。


『○○○!!!○○○!!!△△△△△△△△△△△△△△△△!!!!!!!』


父がお医者様の胸倉を掴んで何かを言っている。


そんな中、僕の耳には近くに座る母の小さな声で漏らした

『ごめんね・・・そんな体で産んでしまって・・・ごめんね・・・』

という言葉の方が耳に残った。


それからの生活は一変した。


学校は退学。

普通の生活が送れなくなる前に何かを残させたい、残したいという両親の希望のままに家族で旅行に出かけた。


なんと国外旅行。

各国の名所巡りである。


美しい情景、圧倒される景色。

色々な所を見て回った。


現在は、夕日の見える絶壁の谷の上からの景色を両親と眺めている。


良かった。


僕の感謝の言葉に両親が泣きそうな顔で笑顔で答えてくれている。


喉が乾いたことを言うと、母は少し離れた休憩場所に飲み物を

取ってくると離れようとしたが、

少しふらついた為、父も伴って離れて行った。


本当によかった・・・。



胸に強烈な締め付けるような痛みが走る。


症状悪化。


苦しい―痛いーなんで僕ばかり―。苦しい―痛いーなんで僕ばかり―。苦しい―痛いーなんで僕ばかり―。

苦しい―痛いーなんで僕ばかり―。苦しい―痛いーなんで僕ばかり―。苦しい―痛いーなんで僕ばかり―。

苦しい―痛いーなんで僕ばかり―。苦しい―痛いーなんで僕ばかり―。苦しい―痛いーなんで僕ばかり―。


痛みと共に悪感情が沸いてくる。


恨めしい、羨ましい、妬ましい、恨めしい、羨ましい、妬ましい、恨めしい、羨ましい、妬ましい、恨めしい、羨い、

恨めしい、羨ましい、妬ましい、恨めしい、羨ましい、妬ましい恨めしい、羨ましい、妬ましい恨めし羨ましい、妬ま、

恨めしい、羨ましい、妬まし恨めしい、羨ま妬ましい、恨めしい、羨ましい、妬ましい、恨めしい、羨ましい、妬ましい


それでも、

最後に目に焼き付けておきたかったから―。


大切な人達には笑っていて欲しい―。


僕の苦しんでいるこの姿は見せたくなかったから―。


見ればきっと両親はさっきの笑顔をもう向けてくれないから―。


だから最後はお互いに笑顔でいたい・・・


随分前からの無理が祟ったかな。


でも後悔は不思議と無いんだ。


だって、もしも正直に言って病院に戻ってもこの瞬間、この情景は見れなかったから。


ずっと病院にいるだけの生に意味は見出せなかったから。


目を開けられなくなってきた・・・。


ただただ申し訳なく思う、生きれないことに。


だからせめて祈らせて欲しい。

あなた達の将来に幸せがあることを。


こうして僕こと「鈴木 信仁」はこの世界での死を迎えた。


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