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おにの心臓

ウサギの耳をはやした、女性が、スーツ姿で、カジノのテーブルに座る

彼女の前には、顔に傷が、多数ある、

ディーラーが、威圧敵に、カードを、シャッフルしている

二人の様子の上に、ゴシック文字で「つづく」の文字が映し出された

「はーおわっちゃった」

私は、そう言って、ニュース番組に変わった画面を、消した

隣で、本を読んでいた、霧裂 惹句は、顔をしかめながら

「どこが、面白いのだ」

と、言うと、今日出された数学の宿題を、始めていた

手に、硬い感覚を覚え、手に目をうつすと

見慣れない、刃物が、握られていた

なぜだろう、小さいときから、私は、気が付かない内に、何か、危ない物を、良く手にしていた

でも、そう言うときでも、惹句は、その危険物を、私から、取ると

どこかに捨ててしまう

今日も、その包丁は、いつ握られたのか分からないけど

いつの間にか、惹句の脳天を、突き刺そうとして、よけられている

その上で、惹句は、何事もなかったように、つまらなそうに、宿題をしている


野球の金属バットが、幼い少女の手に握られ

地面に、いがぐり頭の同じくらいの歳の少年が、頭から血を流して、倒れている

少女が、前に進もうとするところを、使用人に、止められるが

膝に、当てられて、倒れ込む

そんな中、同じ使用人が、彼女の背後に回ると

そのバッドをむしり取った

しかし、彼女は、爪を、使用人の目に、突き立てた

使用人は、顔をずらして、皮膚に、食い込んだままにしている

「早く、少年の手当と、これに至った、経緯を調べなさい」

使用人はそう言って、噛まれ、殴られ、爪で、引き裂かれるままに

立っていた


「えーこれから、良い仲間として、勉学を、励みたいと思います」

ステージの上に、新入生のスピーチを読み上げる生徒が居て

後ろには、二年と三年の先輩さらにその後ろには、全く顔の知らない

入学生の親たちがいる

左右の派手やかな段幕と、その真後ろにいる教師達

すべてが真新しいのに、使用人のように

横には、見慣れた、顔があった

暇そうに、壇上を見ているが

その間にも、ちらちらと、私に目を向けているのが、分かる

「家達、暇だな」

惹句は、そう言うと、あくびをかみ殺し、私をちらりとみた


ホームルームが終わり、新入生同士、グループが、大体決まった頃

女子生徒が、私の席を取り囲んだ

「ねえ、釈禄さん、このあと、お茶でも飲みに行かない」

そう言う、彼女の周りの生徒も頷く

よく見ると、壇上で、スピーチを、やっていた、生徒のように見える

「別に良いけど、どうする、惹句」

鞄を持って、私の横で、立っていた、惹句に聞いた

どうせ、付いてくるのだし、聞いた方が良いだろう

奴は、無表情で、私に

「つまらなそうだな、だが、行きたいならついていくぞ」

と、言った、案の定、彼女たちは、驚いたように、私と惹句を見比べると

その中で、スピーチの彼女が、代表で

「何で、この人が付いてくるの」と、言ってきたが

「やめさせていただくわ」と、言うと、私は、鞄を、手にして、後ろのドアに向かった

「何なのあと人」

と、後ろで、声がする

「おい、行かなくていいのか」

惹句はそう言うと

つまらないと、言っておきながら、私の席にいた、女子に、一緒に行く胸を、説明する

「別に良いけど」

彼女達はそう言うと、皆で、歩いて、三十分もかからないケーキ屋に、入る、彼女たちは

ショーウィンドーに飾られた、ケーキ達の中から

楽しそうに選んでいるが、

私は、適当に、二人分選ぶと、席に戻った

「しかし、派手やかだな」

店内を見渡して、惹句は、皆が、席に着いた同時に、味わいもせず

一口で、一個五百円ほどするお菓子を食べ終えた

始めは、話しかけていた、彼女たちも

次第と、会話の流れは、話しかけても、口さえ動かさず、無視を続ける

男から、私と彼の関係に向いたが、幼なじみであること以外に

彼女らの望むような関係ではないと、話すのだが

それを、信じては貰えていないようだった

そのあと、彼らは、ゲームセンターに、向かうようだったが

私は、それを断り、家に帰ることを選ぶ

帰り道、惹句は、何も発することなく、隣を歩いてた

いつも思うのだが、彼は、どうして、私を選び、隣にいるのだろうか

わざわざ、敷居ばかり高い学校に、一緒に、入学してまで、隣にいる

ただ、それは、恋愛感情ではない

小学生も高学年に、なるころには、その存在を、否定していた

それなら、おつきの者としての職務か

それは、一番始めに否定される

惹句と始めてあったのは、かなり昔だ

そのあと、使用人として、仕事らしいことを、したことを、私は、覚えていない

むかしから、友達として、私のそばには、あいつがいる

さすがに、お風呂や、寝るときまで、一緒というわけでもなく

学校や、遊びに出かけるときは、影法師のように

一緒に、付いてくるのだ

ただ、昔は、傷だらけになったり、大けがをしたりして

そのたびに、何かしらの感情を、表していたが

最近は、無表情な、無骨な奴になってしまった

強いて言えば、ボディーガードのようなものかと

最近は、思っていると言うことにした

こういう、変な人間がいる御陰で、あまり、友達という者もいないが

その逆に、私に危害を、与えるような人間も、同じように少ない

今、私は、自分の部屋にいる

そして、何もせずに、天井を眺めている

本当に、彼は、なぜ、私のそばにいるのだろうか

其れは、私自身にあるのだろうか

ただ、それは、自分自身、真実をつかめずにいた

きっと、何かあるはずなのに


「えーであるからにして、豊臣家の姫君を」

話し方のニュアンスが、微妙に、特徴的な、先生の


手の中に隠してあったシャープペンシルを、心臓部に、つきさそうとしている先を、手の裏で、押さえながら、先を変えるが

手に、わずかな痛みを感じる

ペンの裏に、細い刃が仕込んであったようだ

それを、気にせず、つかみ取ると、自分の机の中に、放り込む


話を・・あれ、シャーペンは、どこに行ったのだろう、先ほどまで

手の中に、収まっていたはずなのに

私は、筆箱を見てみたりしたが

「う」

と言う、ジャックの声で、横を見ると

床から、シャーペンを、私に渡した

「ありがとう」

私は、受け取ると、授業を、続けた


昔、遠い昔

まだ、彼女が、普通だったとき

僕は、近所の城と言われる一角に、居た

そこには、幽霊のように、白い女の子が居て

いつも、外を見ていた

でも、其れは、

遊びたいと言うよりも

見下しに近かった

その証拠に、下に、使用人が通ると、唾を吐きかけたりしていた

「おい」

僕は、夜になるのを見計らい

奴の窓に、石を当てた

子供のくせに、夜遅くまで、女の子の部屋は、明かりがついていた

案の定、窓が開いた

「おい、お前、馬鹿だな」

なぜ、そう言ったのか、分からない

ただ、唾を人にかける彼女を

届かない塀の向こうから馬鹿にしたかっただけなのかも知れない

いや、きっと、違うだろう、何となくなんだから

「何よ」

其れは、そう言うと、何かを投げてきた

其れは、塀まで、届くことなく

庭に落ちた

「バーカ」

僕はそう言うと、そのまま、家に帰ろうとしたが

何者かに、首筋をとらえられた

後ろを向くことは出来ず

「お嬢様に何か」と言う、聞いたことのない冷たい声が聞こえる


良く知らない家の見知らぬ居間で、お茶を出されていた

まずいんじゃないだろうか

子供ながらに、真ん前に、座る黒い服を着た大きな大人を見ていた

普通、こんな夜中に、いたずらした子供を

家の中に入れるだろうか

入れないだろう

「何かようですか」

僕は、目の前の、黒服に、言う

「私の名前は、クズリュウ アキヒトと言います、ここの使用人です

あなたのお名前は」

子供にでも分かるように親切に言っているのが分かる話し方だ

「霧裂 惹句」

出来るだけ、落ち着いて、男に、自己紹介をした

「惹句君、君にお願いがあります、もう、来ないでいただけますか」

「うんいいよ」

「嫌にあっさりですね」

「うん、嫌いだもんあんな奴」

家まで送り届けられた僕は、次の晩も、奴の家に、行った

どうしてだろうか、やはり理由はなかった


「どうして、お嬢様の前に現れるんですか」

ある時、昼間に、彼女の家に、珍しく現れた僕は

救急車が、家の前に止まっているのを、発見した

僕は其れを見て、しめたと思ったに違いない

行くところは、一つしかない

幸い、名前は、車に書いてある

漢字は読めないが、其れがどこの病院かぐらいは

知っている

「鬼ヶ島市民病院」

自転車で、始めて、病院に訪れる

普段であれば、近場でしか遊ばないのであるが

遊びを、明確に決めた僕は、気づいたときには、向かっていた

彼女の名前は、表札からは、釈禄と、しか分からない

その読み方も、知らないが、文字だけはしっている

ナースセンターで、紙を出して聞いてみようかと、思っていると

たまたま、クズリュウと言う大人に出会った

「あ」

隠れる前に、僕は、クズリュウに、見つけられ

さらには、鼻から、チューブを刺して、突っ立っている

あいつにもであった

こいつ、病気だったのか

確証があったから、自転車に乗って、市内まで来たのであろうが

その時、其れが確証に代わっていた


「手術するの」

本を読みながら、そう呟いた

こちらを見ることさえない

と言うか、無視している

ただ、僕がここにいるのを、なぜか、クズリュウは、許していた

「・・お前、暇じゃないのか」

こんな所で、チューブに縛り付けられてるなんて、僕にとっては

考えたくもなかった

「あなた、どうしてそんなこと聞くの馬鹿じゃないの」

口癖なのだろうか、何かと人を見下そうとする

逃げるすべがないせいか、逆に吹っ切れたように、威圧的だ

「ドングリでも持ってきてやるか」

「うん」

そのわりに、素直なところもあった

貰ってすぐに、外に放り出すくらい自分に素直だった


僕はあるとき、彼女が、死ぬという話を、病院で、聞いてしまった

ただ、その方法はあるようだったが、どうしてか、大人達は、其れを、いやがっているようだった

ただ、唯一クズリュウの声が、其れを否定している

このときだけ、僕は、同意していた


血を、吹き出したとき

おいおいおいおいと、僕は、笑いそうになっていた

トマトジュースでも吐き出したか

イチゴのシロップでも

だけど、其れは、プルプルとふるえるばかりで、僕は

だんだん怖くなっていた

ただ、そんなことをしている場合じゃないと

廊下に走り出すとクズリュウと医者にぶつかる

「今すぐ、お願いします」

怖い顔をして、クズリュウは、医者にそう言った

それから、一ヶ月後

僕は、彼女と居た

「外に出ましょうよ」

三日ほど、彼女は眠っていたが

よっか目には、彼女は、目を覚ますと

「ばーか」と、言う程までに、目を覚ました

「・・・・」

僕は、殴ってやろうかとも思ったが

大人が押し掛けたせいで、後ろで見ているだけにした

それから、毎日病室に行っていたが

土曜の丑の日

彼女が、ベッドから立ち上がり

パジャマではなく、服を、着ていた

あの窓辺から見下していたときのような

傲慢な服装だった

病院で、突っ立っていた

あの服装だった

そして、彼女は、その服装で、ドアの外を指さした

「そと」

何言ってるんだ

僕は、彼女をみたが

さらに、強くソトと、大声を出した

こいつ、実は、死んでも、死なないんじゃないか

なんて、良く分からない理由で、僕は、彼女を、そとに連れ出した

倒れたら、こいつの自己責任だ

其れは其れで、面白いのかも知れない

あいつは、人を見下すようなやつだ

外に行っても、いいんじゃないか

それで、そとに出た

クズリュウが、そとにこの時間居ないのを僕は知っていた

彼女が、髪を自分で切ったのだろう

一見別人に見えたのを僕は知っていた

彼女の手を引っ張ろうとすると

彼女は、つまらなそうに、そとに出て行った


「それで、つまり、あんたは、数学も出来ないわけね」

さきほどから、嫌みしか言わない

置いていってやろうか

そう思うが、手を握られているせいで、逃げるに逃げ出せない

「で、あれはなに」

指さす方には、ハンバーガーショップや、チキンを売っている店が建ち並ぶ地味な商店街では、にぎわっている方向を示した

「ああ、食いもん屋だ」

「買いなさいよ」

「っえ」

お小遣いのない僕には、もしもの時のためにと

千円を、いつも、はなみ離さず持つことを、粋だと思っていた

ただ、それを、こいつのために使うなんて、とても嫌だ

幸い、嫌いだから、思いっきり言うことが出来る

「嫌だ」と

なのに、奴は、勝手に、手を引くと

店の中に入る

おいおい、買い物なんかしたことないのに

こんな奴のために

「いらっしゃいませ」

「なに、何が出せるの」

大人に向かい、おっくす事無く、堂々と言える事が

こいつの唯一の利点だ

だが、其れを払うのが僕だと思うと

どうも言いようのない怒りを感じた

「そう、ハンバーガーとその偽紅茶って奴、ポテトはいいからアップルパイもお願いします」

口調が、口調が違う

其れで合っているような気がするが

どうして其れを僕には向けないのか

そして、それでも、はなから、見下すような気配がする

「はい、かしこまりました、其れでは、670円頂きます」

「うっ」

彼女は、顎で、僕を指した

「はぁ」

僕は、お守り袋から千円を千円を取り出すと

ぎりぎりまで握りしめるが

あっけなく

強めに取られると、千円は、小銭に変わる

一人で、食べていた彼女は

アップルパイを、半分ほど食べ終えた頃に

「う」

と、其れを差し出す

・・・・

人が食べたものを、あまり食べたくないが

其れを、否定しようとしたが途端

「・・・」

あまり見たことのない表情を、しそうになっていたので

とりあえず、食べた

案外おいしかった


そとに出た頃には、酷く熱い日差しが

冷房の空間とは明らかに違う世界を実感させる

戻らないと行けないんだな

と、その時になって、面倒になる

「お前、勝手に帰れるだろ」

僕は、そう言ったのだが

彼女は、手をつかんで離さない

暑苦しい

手がべとべとする

どうにかできないものだろうか

そう思って、僕は、病院に、帰る途中で

その手をふりほどいた

「何よ」

僕は、その言葉を聞かずに

走り出した

林の奥で、歓声が上がっている

確か、グラウンドがあったはずだ

そんなときになって、やっぱりまずかったかと、振り返ると

彼女は、落ちていたバッドを手に持っていた

「おい」

僕は、近づいた

「何やってるんだ」

振り上げられた手

次には痛み

まるで、思いっきり地面に転けたような

そんな感覚

其れが、何回も続いた

何やってるんだろうか

ただ、意味などないんだろう

ただ、そう思っただけだから


「お前、鍛える気はないか」

病室で、クズリュウが、そんなことを言った

「はあー」

何を言ってるのか僕には、分からなかった

ただ、あいつに殺されかけていたことだけは覚えていた


クズリュウの訓練は、おおよそ、子供相手にするようなものではない

非人道的な内容だった

如何に効率よく相手を殺すか

それは、子供ながらに、酷く疲れる内容であった

それでも、いや、それでさえ、あいつに、僕は、三回は、意識不明の大怪我をさせられた

奴が、そとに出られると言うか、学校に行ける最大の理由は、僕だと言っても過言ではない

あいつは、無意識に人を殺す

其れを止めるために、僕が居るわけだ

「なあ、ハンバーガーショップに行こう」

さすがに最近は、人を見下すことはなくなった

それでも、クズリュウの可が、出たときは

あからさまに、嫌がっていた

其れもそうだろう

どこに行っても、あいつについて行かなければ行けないからだ

どうして、僕は、こんな事をやっているのだろうか

そして、なぜ、あいつは、ほんの一週間くらいで、其れを認めてしまったのか

それも、自習性も、記憶力のない馬鹿だから出来たことなのかも知れない

つらいことも明日になればきれいに忘れる僕だからこそ

でも、今になって、なんで、殺されかけているのだ

と、思い始めていた

先ほどまで、普通にしていたのに

いきなり、斧を、振り上げられたこともあった

食事中に、フォークを、投げられたこともあった

なんで、どうしてそこまで

それも、結局、いい加減な性格のせいだろうか

ただ、彼女は、手術のあと、ああなった

そしてその理由は、移植された心臓によるものらしい

その心臓は、殺人鬼のものであり

彼女の行動は、其れのせいだと

ただ、そんなことはどうでもよかったのかも知れない

僕は、奴に殺されない

其れが、重要であり

言ってしまえば、ぎりぎりの遊びを楽しんでいたのだろうか

其れさえも、僕には分からない

だって、いい加減だから

断じて、こいつが、好きだからではない

こいつが人を見下さないように

ただそれだけなのかも知れない

幸い、最近は特に其れもなくなっていた

だが結局は、あいつが人を殺さないと信じているからに相違ない


「おい、帰るぞ」

惹句は、そう言うと、家から、出て行った

窓から、いつもの方角に、歩いていく、黒い服が見えた

「はぁあー」

あいつは、いつまで、私のそばにいるのだろうか

ただ、鎖になっているだけなのではないだろうか

ただ、誰もそのことを教えてはくれない


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