依頼
「豪邸ね‥‥‥」
白いワイシャツの上に黒いコート、黒いスカート。腰の辺りまで伸びた黒い髪に大人の雰囲気を漂わせる整った顔の少女は今回の依頼人の住む豪邸を見上げて、思わず呟いた。
森の中にある一人が住むためのような自宅と比べていたため、少女はなかなか足を前に動かすことができなかった。
とはいえ、彼女はそこそこ有名な魔女だ。
こういった豪邸は見慣れているはずだが、それでも毎回、こうして立ち尽くす。
ようやく動いた足は、門の前にいる、スーツ姿のサングラスをかけた男の方に向かう。
「私、依頼人のシェリル・アルバーフに呼ばれた、魔女だけど」
少女はぶっきらぼうに男に言うと男は依頼人から話を聞いていたのか、名前を名乗らなかった少女を門を開けて迎え入れた。
「玄関までご案内します」
男は少女を豪邸の玄関に連れて行くと、少女に頭を下げて、門の方に帰っていった。
少女が親切な人だと感心してると、豪邸の玄関の真っ赤な扉が開き、扉を開けた二人のメイドがそれぞれ端に寄ると、そのメイドの列はずっと奥まで続いており、一斉におじきをして少女を迎え入れる。
少女がメイドの迎えに驚いていると、奥から金髪のツインテールの少女が少女の方にやって来て、近くに来るとこう言う。
「ようこそ、ルーシャ。私が依頼人のシェリル・アルバーフよ」
子供か‥‥‥と、ルーシャは心の中でため息を吐いた。
魔女への依頼は主に暗殺と治療。
高い魔力と薬物の知識が必要な魔女においてこの手の依頼が適している。
そして、子供の依頼は親を助けて欲しいとか親を殺して欲しいなどの面倒な依頼、助けられなければ恨まれ命を狙われたり、殺せばその周りに狙われたりと、どちらにせよ子供の低い知能が嫌いだった。
またその手の依頼かと思ったら、シェリルから予想外の一言が。
「早速依頼、あなたを1週間、奴隷にするわ!」