プロローグ:前 愚者は落ちた、光りの破片を仕舞い
++愚者は落ちた、光りの破片を仕舞い++
俺は終わりを求めた・・・
終わらせるために
奴らを道連れにするために
最期の仕事を遂行した。
奴等に何があるわけではない、その行動原理は理解できないわけではない、それを理解してしまう俺も辿ればきっと同じ穴の狢なのだから。
奴らがこの国にやってこなければ考えもせず、ただ屍のように天寿を全うしたのかもしれない・・・
それは君の望みだったから
それでもこの憤りは、この空虚感は消えない・・・
きっと、それでも、そんな気持ちが体を突き動かした
成功の確率は無いとわかっていた計画だった。
周りの人間には迷惑をかけたと思う。
君のためではなく、誰のためではなく、ただ自分自身のけじめのため。
俺たちを騙し俺から君を奪ったことへの報復、それは自己満足なただの八つ当たり。
その計画は奇しくも半分は成功できた。
そして、半分は破綻した。
俺がもっとも嫌う”裏切り”によって。
今、奴らが最後の仕上げとばかりに俺の計画にはなかった段階へと行動を移している。
俺を捕まえ、自身らが行った汚職、殺害、実験のすべてのツケを払い、犯罪者を捕らえた功績を得て私腹を肥やすのだろう。
計画が半ばで破綻したが目的は達せられた。
俺が為すべきことはもう何もない。
だが、これは最期の意地だ。
俺が捕まれば君の墓標が汚される、それだけはさせない。
今日という日を超えて迫る追っ手から逃れる。
そうすれば正体が明かさせても俺のいた組織が隠蔽に走る。
それを行うだけの不手際を俺にしていたし、それだけの貸しはあるはずだから。
一先ずここから組織の支部か知人のところへ辿り着ければ何とかなるん・・・だが
都市部から少し離れた郊外のホテル。
そこで計画を実行し、その後にバイクで逃走を図ったが途中追っ手によって破壊されてしまった。
徒歩では何処へ行くにしてもまだ距離がある。
自身の脇でぎりぎりまで頑張ってくれた相棒を見つつ辺りを見渡す。
まだ街の明かりは遠くにある、追っ手からある程度距離はあるだろうが、そんなにのんびりともしていられない。
連絡を取ろうにもさっきの交戦で無線が使い物にならないし、下手に携帯を使えば足がつくか
元々ここまでの逃走は計画にあってないようなものだったのだ。
奴に一泡吹かせる、こちらに手を出すということは高くつく、そう思わせることができれば御の字というところだった。
この位は想像して然るべきだったのだろうな
自嘲気味に自身の状態を確認する、所々傷だらけだ。
打撲、切り傷とあるが幸い骨折はなく、痛みに耐えれば体を動かし移動することはできる。
出来れば応急処置をしたいところだ。
再び辺りを見渡し街までの道程を計算するが、どうやってもこちらのプラスになる公式にはならない。
奴等の足を奪えれば何とかなるんだが・・・ん、あれは?
辺りが暗かったため見えにくかったが良く見れば視界に建物が映りこむ。
どこかの会社の施設か博物館か・・・
木々に隠れていたとしても普段なら見落とすことはない距離。
事前に近くの施設を確認していたはずで、どこか冷静になりきれていなかったのだと認識を改めた。
続けて、先程から追いかけてくる奴等の規模を思いやる。
自分を捕まえるための包囲網を敷いた上では、追い立てる人数はそこまで割けない。
地の利さえ手に入れば、と建物へ足を向け動き出した。
辺りを確認しながら自分の身長と同じ位の正門を跳び越える。
外から見た以上に敷地は広い。
正門から建物までは30mはあり、建物は少々歪な凸型で120坪程度かと試算しする。
追っ手を警戒しながら建物の入り口へ近づいていく。
春秋歴史資料館「三国史博覧会開催中」か・・・
中に明かりはなく、宿直施設のようなものもない。
それは都合よく人が常にいる施設でないようだと判断できた。
後は警備システムを無効化出来れば、中のものを利用できる、建物を遮蔽物として利用それだけでも迎撃は可能だ。
警備システムをわざと作動させて注意を引き付けるというのもありだ、ここに痕跡だけ残して時間を稼ぐなど、どこで足を奪える目はあるのかと様々に思考し、一先ず建物の裏手に周り腰を落とす。
「何の因果なのかな」
ふいに声が漏れる。
そして、なんとなく昔三人で暮らしていた時のことを思い返した。
君は師匠と熱くなって夜通し語り合っていたな
酒が弱いくせにちびちび飲みながら「酒と歌は生涯の伴侶」などといいながら陽気に歌ったりしていた事を思い出す。
・・・あんなことにならなければここに来たがって俺を困らせるのだろうか
それで一人で行けば良いものを俺は引き摺られて来るのかな・・・
口角が上がるのがわかる。
もう二度と来ない今を思い返しながら。
俺はもしも、という幻想を脳裏に描いていた。
だが、幻想はすぐに消え去る。
そして、今するべきに行動を移す。
鞄の中から救命道具を使って止血を行い、もうひとつの頭で自身の持てるものを確認する。
まずは防弾コートの中にあるトラップ用の細いワイヤーで敵の襲来を確認できるようと周辺に張り巡らせる。
正面から迎撃しようにも予備弾倉はなく、あるのは残りは残数7の拳銃とナイフが1本、相手の人数を考えれば頼りない限りだ。
石ころひとつでも現状においては武器の一つとなり得るような状態。
「・・・?」
ふと手元に鋭利な石に気づいた。
それを手に取りこんなものでも現状を切り抜けるきっかけになるかと冗談半分に後ろのポケットに入れ立ち上がる。
建物の内部に侵入したところで展示物に武器があっても模造刀では奴等を倒すには至らないだろう。
それに篭城などしようものなら敵に応援を呼ばれ包囲されてしまう可能性が高い。
過去の、三国時代を生き抜いた英傑様達はもっと有効で確実な策を知っているのだろうか。
それとも、策などなくても羽虫をはたく程度で終えるのだろうかなどと、気づけば暢気に思考が脱線せていた。
とにかく、敵が来てからは時間がものを言うか
思考を巡らせていたそこにワイヤーのひとつに微細な反応があった。
もう敵はすぐそこまでやってきている。
春秋歴史資料館の前に2台の車とバイクが1台横付けされる。ゆっくりと正門を抉じ開ける武装した7人の男達。
「ったく、面倒なところに入りやがって」
「余計なことは言うな、奴は『佐伯』の身内だ油断してると食い殺されるぞ」
「問題ないですって、奴はあの『佐伯』本人じゃない。手負いで武器だってたいしたもん使ってなかった。この人数相手に何ができるってんですか、副社長も随分慎重な」
「それでもだ。ただの傭兵くずれにこの人数が動かねばならんのだ、気をつけろ。んで、ついでに言うなら副社長じゃなく今は社長殿だ」
軽口をたたいていた男は手をひらひらとさせ了解の意思を示した、その2人を残して正門を封鎖。
残りの5人が建物の方へと進んで、建物の内部に侵入した形跡がないのを確認するとそこで左に2人右に3人に分かれてて捜索を開始する。
その様子を建物の屋上で身を隠しながら見つめる。
上手く釣れたみたいだな。後はタイミング次第か
バイクを乗り捨てた場所からここまで血痕を残しおびき寄せには成功した。
その後、応援を呼ばれるかどうかは賭けの部分が多かった。
報奨金等を考えれば多くの人間で捕らえたところで分け前が減る、手傷を負い組し易いと思わせれば最小の戦力でここに来る、その可能性に賭けたところ上手く言ったようだ。
それでも賭けに勝ったわけではない。
さぁ、始めようか最悪を終わらるために。
思考が切り替わっていく。
心が冷たくなっていく。
ただ敵を地に沈めることで燃え盛る血を沈める。
生を得るために死を与える。
他者の生命を食らうただの獣に。
俺は自身を変えていく。
二手に分かれた敵が正門から死角になるところで行動を開始。
先に左手に分かれた二人組みの背後へ、屋上から音もなく降り立つ。
後ろの一人の首筋に掌打を放ち即座に地に叩き伏せ、異変に気づいたもう一人が咄嗟に振り返る。
振り返る頃にはその背後へと移動、口を押さえつけナイフで首を切り落とす。
闇に潜む獣は悲鳴のひとつなく暗闇に飲み干す。
あと5つ
淡々と標的の数を確認しながら、次の標的を殺すために行動を移す。
「こちらα、目標の血痕を確認。βは挟撃のためタイミングを合わせろ」
無線を使用し小声での交信を行う、イヤホンからは砂嵐の音だけが返ってくる。
動きを止め、後ろを歩く二人の通信を確認するが交信ができている。
それを確認するともう一度同じ内容を繰り返す。
「・・・・・・こちら・・・β了解し・・・た」
ノイズ混じりながらも返信が返ってくる。
曲がりにも目標は元傭兵、一種のジャミングを仕掛けているのだと判断し、そのまま行動を再開した。
・・・それが己の命を落とすことになると知らずに。
血痕の後を追い、建物の角の向こう側に続いているのを確認した。
その先に音を立てずに歩を進める。
「・・・こち・・・βポイント2・・・目標、視認。α行動・・・する」
イヤホンの向こうから聞こえる通信が届く頃には建物の角に到着した。
向こう側から目標の息遣いが聞こえるほどに近くにいる。
自身のマイクを三回叩き了解の符丁を示す。
「・・・カウント3つ・・・3・・・2・・・1・・・」
一斉に三人が建物の角から躍り出る。
目標を確認、縦に伸びる配水管のせいで顔までは視認できないが目標の着ていた服を確認し、銃口を向け発砲した。
銃撃音だけが辺りに木霊し、それは目標がぼろ雑巾になるまで続いた。
目標は血吹雪を上げ、大地に倒れる。
先頭の一人が警戒しながらゆっくり近づいていく。
そこで男は驚愕した。
そしてそれと同時にドサッと後ろで何かが地面に落ちる。
男はまさかの事態に振り向けば、その後自分に降りかかるであろう惨劇を理解してしまった。
即座に身を翻そうとすると、仲間の声ではない死神の声の冷ややかな声を聞く事になった。
「動くな、声を出すな。命を拾いたいならな」
自身の背後に突きつけられた死の感触。
男は観念したかのように静かに動きを止め両腕を上げる。
だが、男はこの声に従う振りをして隙を見て死角で無線のマイクを叩き応援を呼ぶつもりでいた。
動くことも声を上げる事が出来なくとも標的を引き付けて形勢を逆転させることはできる、そう思っての事だ。
「貴様の思考は理解している無線を外せ、俺としてはお前が死んだ後でも大差ない、手間が違うだけだ」
「・・・なぜ殺さない」
シッと風を切り、後ろから投げられた刃が男の耳を引き裂く。
そして、鈍い灰色の銃口が視界の脇から覗き込む。
「発言は許したわけではない。ただお前は俺に頷くことしかできない、それ以外はそこらの石ころのように転がるだけだ。お友達と同じようにな」
最初の襲撃は上手くいった。
最初の二人のうち一人を気絶させ、もう一人は喉笛から一気に首と命を刈り取る。
次に、急いで最初に気絶させた奴を自身が手当てをした場所まで運び、配水管を利用して無理やり立たせる。
麻痺点穴の一種に撃ち込んだ一撃、これで意識が戻ろうとも動くことも話す事も出来ない。
そして手早く上着を脱がし、自身の防弾コートを羽負わせた。
その後は、先程刈り取った一人から武器を補充するところで無線が入った。
自身の壊れた無線機を利用して混線させながら返信を行う。
ジャミングが目的ではなく、ボイスチェンジャーの代替品として、声色を相手に察知させないように。
気絶させた敵は囮か足止め程度にしか考えていなかったが、より冷酷で確実な手段をとれると少し余裕が生まれた。
最悪3人の銃声を聞いた残りが合流した状態で打ち合うことも視野に入れていたためだ。
その後は最初の繰り返しというよりももっと楽だった。
こちらが背後をとれるタイミングで合図を送る。
銃撃に夢中になっている三人の背後をとり、両手で死穴を打ち一人ずつ仕留め、自分が見えないように盾にしながら無理やり立たせ、俺を仕留めたと勘違いした先頭の一人が死体を確認しに行った。
これが一連の流れだ。
後は捜索に回った5人のうちの一人を生かし、武装を解除させた後に即座に3つ提案というか命令をする。
一つ目は無線を使って残りに俺を殺し帰還する偽りの情報を流させる
二つ目は逃走のための補助を行わせる事
三つ目は最初の二つを実行すれば命の保障と金
このような末端、実力より金で集まったようなの実行部隊なら、この三つ目が保障されるのであればこちらの意志に乗るだろう。
鞄の中には高級車を買い取れるだけの現金を入れてある。
それをそのままくれてやるとばかりに地面に叩きつける、すれと目の前の男は下種な笑みとともに頭を縦に振る。
提案に直接仲間をというものが無いからか思いのほか簡単に恭順したものだ。
ここでも裏切りか・・・こんなにも簡単に、周囲には先ほどまで仲間だったものが転がっている中で
俺の思いも知らず男は早速とばかりに目の前で膝をついて提案通りに無線で連絡を入れる。
それを冷ややかに見ながら自身の因果を呪いたくなっていた。
なんと表現すればこの感情は表せるのだろうか。
そう考えていると目の前の男は連絡を終えたのかこちらを覗っている。
約束を反故にして殺してやろうかとも考えたが、先程まで狂える獣として全てを殺すつもりでいたのに急に覚めてしまった。
例え獣になろうとも目の前の小物のようにはなれなかった。
男から無線を回収し建物の裏手の林に捨てる。
「残りの戦力を確認する、残りは3でいいな」
男はそれに無言で頷いた。
こういった奴は長生きするのだろう、こちらが最初に言った命令さえ律儀に守り、尻尾を振る。
そして、仲間を残らず殺すのだ、自身が引き金を引いた自覚が無いままに。
残りは3つ
この男は自身はすでに標的ではない、そう思い込んだ上で3つだと頷く。
こちらでは考えをまとめ直しているとも知らずに、反抗するなら今が絶好の機会だと言うのに、男は悠長に地面に落ちた現金を懐にしまっていた。
ぼろ雑巾になった死体から防弾コートを回収して振り回して血を払う。
それなりに思い入れのあるコートなためこのまま捨ててしまうのが惜しい。
それに性能も折り紙つきだ、撥水性はこの通り血糊でさえついてすぐであればすぐに落ちる。
防弾性は三人がマシンガン程度で中身をぼろ雑巾になるまで打ち尽くしても穴ひとつあくことは無いほど。
防刃性も同じくそう簡単には破れることはない。
昔、揃いで誂えた最高性能のコート、難点といえば貫通はしなくても衝撃で滅多打ちになり全身打撲になる位。
まぁ誰にするでもない、誰も興味のないような説明は後にしてとりあえず枷だけはかけておこうか
懐に入れた現金を確認するように見つめる男の首に輪にを撒きつける。
男は突然の行動に驚いたのか尻餅をつき自身の首を確認する。
それはチカチカと首輪の中心が小さく光りを放つ。
「金で仲間を裏切る奴を信頼をするわけないだろう。それを無理に外せば起爆するようになっている。この発信機からも起爆できる。これが一定範囲離れれば起爆はできない。時間がたてば起爆装置の電力が無くなり勝手にはずせるようになる。あくまで保険だ。要はこれ以上裏切らなければ問題ない」
壊れた自身の無線機をちらつかせてとりわけ短く説明する。
これで、金に夢中だった男も現状を理解するだろう。
一蓮托生、それを暗に示した。
そして、これからこそ行動は正確迅速に行わねばならない。
ここに入った直後の状態と現状を知られてしまってからの応援では包囲網の厚みに天地の差が生まれるだろう。
俺の死に場は俺で選ぶ・・・もう少しだけ待っててくれ
異変があったのは捜索に出た5人が建物の裏側に回ってからしばらく、10数分程がたった頃。
銃撃音が正門まで聞こえてきていた。
そして、程なくすると銃撃が収まり、無線から目標の無力化に成功したという知らせ。
「何が『佐伯』の身内だよ、あっけないもんじゃないか」
「確かにあっけないものだな」
「あとは社長殿に連絡をいれてボーナスもらっておしまい」
軽口を叩いている男は両手を突き上げて大きく伸びをする。
「まぁ帰還するまでが任務だ。後は手柄を横取りされないようにしないとな」
もう一人の男は軽口を叩く男の気の緩みに釘を刺し、一旦連絡を入れるためと車の中へと入っていく。
それと入れ替わりで建物の裏側から一人の男が小走りで戻ってくる。
「おっ、どうしたんだ手ぶらじゃないか」
「へへっ賭けで勝ってな、荷物も後始末も残りの奴等がやってるところだろ」
「へぇそりゃご苦労さんって感じだな、で奴さんは生きてんのか」
「・・・っああそれなんだが・・・・・・」
(二人の注意を引き付けろ)
それくらいならなんとかなると男は簡単に引き受けた。
だが、もう一人が車に戻ったままだと達成できない。
最悪この首輪を爆発させてでも奴は実行する、男は焦っていた。
焦っていたがそれを隠さなくてはいけない、とにかく話題を変えようと口を開こうとしたが・・・。
「何を焦ってるの?」
男の背後からの声がそれをさせなかった。
「っ・・・!!」
「ねぇ、君。お兄さんに引き込まれたんだよねぇ」
首輪を強引に捕まれて無理矢理に振り返させられ、引き寄せられる。
そして正面に立つのは少年とも少女とも見えない、灰の髪と褐色の肌が特徴的な子供。
それに正確な状況を見抜かれた。
吸い込まれるような黒い瞳から逃れるよう目線を外し、誤魔化そうと声を出す。
「そ、それは・・・・・・」
「ふぅぅん。まっ口止めくらいはするよねぇ。これのせいかな」
男が全てを語る前に不意に掴んでいた首輪を引きちぎった。
男はみっともない悲鳴ともにその場に小さく蹲る。
「爆弾でも仕込んだとかいって騙されたのかな?これだから成金の子犬どもは臆病者ばかりで困るよね」
それは蹲る男を一瞥し何の興味もないと視線を別の所へ向けた。
「お兄さんくらいの猟犬を捕らえるなら獅子か虎か・・・・・・龍じゃなきゃ、ね」
誰に言うでもなく独り言を呟き、視線を二人は間の抜けた顔に戻す。
そして、満面の笑みを二つの間抜け顔に返した。
まるで、新しいおもちゃで遊ぶ子供のように。
そして、両手を伸ばして二人の胸に触れる。
「猟犬は僕のだから君たちは役割は終わりだよ、案内ご苦労様」
男たちはその言葉を聞いてもまだ間抜けなままだった。
直後、大気が揺らめき巨大な弾丸が突き抜けたような衝撃が二人を襲う。
それが触れた部分を中心に肉体の一部を切り抜かれ吹き飛ばされる。
二人の肉体はゆっくりと力なく地面に膝をつき、血を垂れ流し崩れていく。
そして、笑顔のまま横たわる二つの肉塊を蹴り飛ばし、建物の屋上に眼を向ける。
「さぁ、遊ぼうか・・・お兄さん」
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