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こんな夢を観た

こんな夢を観た「アインシュタインの新理論を聞かされる」

作者: 夢野彼方
掲載日:2014/06/21

 調べものがあって図書館に寄った。

 スマート・フォンが、今後、わたし達の生活にどれだけの影響を与えるのか、その動向を知りたいと思ったのだ。

「えーと、この本から見てみるとしようかな。『アンドロイドは電気林檎の夢を見るか?』」


 席に着いてしばらく読んでみたが、わかりきったことしか書いてないので、すぐに退屈してしまう。

 頬杖をついて向こう側のテーブルに目をやると、どこかで見たような顔があった。

「誰だったっけかなぁ。よく見かけるんだけど……」

 2度3度、おでこをこづいて、ようやく思い出す。アインシュタインだ。


 世紀の有名人に巡り会えた幸運に感謝して、わたしはそばに駆け寄った。

「あのう、アインシュタイン博士でいらっしゃいますよねっ?」

 アインシュタインは読んでいた本から顔を上げ、にっこりとうなずく。

「ええ、いかにもわたしがアルベルト・アインシュタインです」

 わたしはうれしくなって、思わず握手を求めてしまう。アインシュタインは、大きな手で力強く、握り返してくれた。


「こんな小さな図書館なんかで、何を読んでらしたんですか?」わたしは尋ねた。

 アインシュタインは本の表紙をわざわざ見せてくれる。

「なあに、大昔に書いた自分の本ですよ」

「あ、『相対性理論』ですね。でも、なぜ……」

「なんせ、あの時分は大急ぎで書いたものでしてね、誤字・脱字がなかったか、ずっと気にかかっていたのです」 

 アインシュタインほどの人物でも、そんな些細なことが気になるものなのか。わたしは、このエキセントリックな博士がますます好きになった。あまりにも人間臭い。


「ところでね、あなた」アインシュタインは、改まった口調で切り出す。「わたしは、またまた新しい理論を思いついたんですよ。よかったら、ちょっと聞いていただけますかな?」

「ええ、ぜひ!」驚きとまどいながらも、この上もなく光栄なことだと感激した。

「おおっ、ありがたい。ニーチェの永劫回帰は、実は特殊相対性理論から導き出せる、そう確信を得たのですよ。少し長くなりますが、どうか、最後までお聞き願いたい」

 アインシュタインは語り始めた。

 

「われわれの住むこの宇宙は有限と考えられます。そして、幾度となく繰り返されているわけです。それぞれは有限であっても、その繰り返しが永遠に続く。つまり、宇宙は無限、ということになります……」

 窓から夕日が差しこみ、やがて夜になる。再び朝がやって来て、長い1日が過ぎ、日が傾く。

 アインシュタインの言説は始まったばかりだ。


「……すなわち、ニーチェは哲学的な視点に立って、これらのことを説いたのです。科学も哲学も、宗教も芸術も、根幹のところでは全てが1つです。最終的に、求めているのは同じというわけなのです」そう締めくくって、ついに新理論は何もかも吐き出された。

 気がつけば、あれからすでに100億年もの歳月が過ぎ去っていた。  


 わたしは最後に質問を投げかけてみた。

「では、命あるものは誰も、『永劫回帰』に捕らわれたままなのでしょうか?」

 博士は静かに首を振るのだった。

「『永遠』といえども、振り返ってみればあっという間ですよ。やがて来るその時こそが、『真の終わり』と言えましょう」 

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