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episode26

 さて、これからどうしようか。

 先程の惨事は一先ず祀ったので気にしない事にした。これからあの手のモンスターが出た場合、私が戦力になれない事が判明したので正直泣きたい。と言うか、子供の姿をしたモンスターとか誰が予想するか、子供は保護対象だろうに。

 そう言えば現在のレベルはもう20になっている。そのせいかスキルに変化があり、<吸血─眷属作成─>と言うなんとも言えない物がある。いや、眷属とか正直いらないんだが。

 そして職業もまたレベルアップしているらしく、戦士の<アーツ>が増えているし、精霊契約の枠が一つ増えていた。どうやら枠は20を目安に一つ増えるらしい。いや、まだ確定ではないのだが。

 ともかくそれならばそろそろエウクレイアも同類のお友達が欲しい頃だろう。

 という訳で組員共に連絡を入れてどこかで精霊が手に入らないかを聞いてみたが、答えは芳しくない。

 まあ、もともと精霊はいつの間にかそばにいるものであって、探して見つかる物ではないのだから仕方ないだろう。見付かればラッキーと言う考え方でいい。

 ならば今はともかく私が自由に街を行き来する方法を考えるべきだろう。センナから怪しげな面を渡されたがアレは流石に付ける気がしない。思わず「パピヨン!!」と叫びそうになったわ。と言うか、あの素晴らし過ぎる前衛的なセンスの塊のような変態的なマスクをお前は作ったのかと思わず突っ込んだ私は悪くない。大好きだバカ野郎。

 ううむ、なにか変装アイテムでもあればいいんだが。

 奇抜な物ではなく、普通のものであればなんでもいいんだがなぁ。


「って、なんだ、ありゃ?」


 遥か前方、通過可能となった道の先で猛烈な勢いで走ってくる馬車が一台。

 必死な形相で鞭を振る御者の背後からはもっと速度を上げろと煌びやかな格好をした女性が喚いている。なにかあったのだろうかと、背後を見れば、そこには無数の<闇大猫>と言うモンスターが群れをなして襲っているところだ。

 あそこまでモンスターが一斉に襲っていると言うのは見た事がない。

 しかし、いくらアクティブモンスターだからと言ってあそこまで執拗に狙うだろうか? そう思って声を拾うと、どうやら子供が攫われたらしい。

 成程、馬鹿な事をしたものだ。捕まるのは時間の問題だろうがあれなら気にする必用はなさそうだ。助ける義務もなければ助ける必要性も感じられない。───潔く逝ってこい。

 そう思ったのだが、馬車の馬が悲鳴を、それこそ血を吐くような悲鳴を上げているのを聞き流石に哀れに感じてきた。人間ならサクッと見捨てるが、動物を見捨てるのは寝覚めが悪い。

 かと言ってあの猫共を止めるのも個人的に間違いだと思うし、───ああ、そうだ。一番手っ取り早い方法があるな。

 一先ず駆け寄ってくる、と言うかひき殺す気満々の馬車に、糸状に伸ばしたエウクレイアを固定する。

 その一部を握り締め、牽引力により飛び乗って、驚いた御者に満面の笑みを向けて黙らせ、唖然として沈黙した貴族然とした雰囲気の馬鹿そうな女と、守るには少しばかり雑魚そうな騎士の二人組、魔法使いそのものの格好をした薄暗い男。そしてボロボロで治療もされていない首輪をされた子供と、その子供が握り締めている猫の子供が入った小さな籠を見て即座に行動を開始する。

 一先ず籠を握り締めている子供を抱え、そのまま馬車の天井を破壊して離脱する。そのまま空中にてエウクレイアが馬車の半分を魔法で炸裂させぶち壊し、転がった男や女の慌て様、走り去っていく馬に満足して近場の木々に身体を伸ばして枝に着地する。

 そのまま襲われた大人はどうでもいいやと一先ず子供にポーションを飲ませ、籠から子猫を出して親元へと返す事に成功した。うむ、いいことをした後は気分がいいな。───あ、一人逃げ出しやがった。あの魔術師、空飛べたのか。

 そのままだと綺麗さっぱり食べられそうだったので<闇大猫>に声を掛け、子猫の無事を伝えるとともに後処理は任せろと答えて食い殺された騎士二人組と御者、片腕を無くして騒がしい女を引き取り別れる事にした。うん、あんだけいると猫でも流石に圧巻だ。

 それにしてもこの女は小煩いな、もともと自分で撒いた種だろうに。

 まあ、それはそうと、人を本当の意味で喰べるのは初めてだが、さて。

 どんな味がするのやら、───いただきます。


 貴族然とした女の首筋に牙を突き立てる。柔らかな肉を貫く愉悦に、少し塩気の強い酸味のある味が口内に広がっていく。前回のように戦闘目的で使用した訳ではないせいか、女が上げるのは悲鳴ではなく嬌声だ。吸血行為とは食欲を満たす行為だが、同時に支配欲も満たす行為だとどこかで聞いた事がある。それは快楽による物だと言う説もあるが、成程。こういう事か。

 しばらく吸っていると女性の肌は青白く変色し、そして呼吸も脈拍も停止していた。

 だが、不思議な事にその身体は未だに動いている。まるで求めるかのように首筋を曝け出すその姿は娼婦のようだが、実際は吸血行為により死亡した者の成れの果て。これはただの支配された哀れな食料だ。

 悪いと思う事はない。人が豚や牛を食べるのに罪悪感を感じるか? 釣った魚を串に刺して焚き火の周囲に並べる事に涙するか? 野菜を前に命があるから食べられないなどと吐かすか?

 そんな訳がないように、吸血鬼にとってはこれは罪悪感を感じる行為ではない。ただの食事行為だ。その行為の果てに<ドラキュリーナ>が産まれようが知った事ではない。

 しかし、よくよく考えるとこれ、私の娘になるんだろうか。

 妙に色気振りまいてしな垂れてくるのだが、コレにとって私は主人か、親か、それとも復讐対象か?

 思い切って聞いてみたが、喋る機能はまだないらしい。まあ、騒がしいよりはマシか。


 それはそうと救出した少年なのだが、エウクレイアに延々とポーションを飲まされているのでなんとかなっているが、どうも首輪から溢れる気味の悪い魔力の影響か徐々に衰弱している気がする。

 このままだと問題だろうと一先ずマイホームへと戻ることにして、その際にメンバー全員を集めようと思う。その時色々と相談したいし、なによりも情報収集の結果が知りたい。

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