第2章 白色矮星
第2章 白色矮星
第1話 静寂の星
アプリは、目的とする領域まで後9,000光年となった。
アプリが立ち寄ったROSの中心恒星は、白色矮星だった。
白色矮星は、半径が地球くらいだ。
だが、密度が異常に高い。
必然的に重力が強くなる。
白色矮星の出来る過程がある。
老いた恒星が赤色矮星となり、膨張する。
この時、周囲の惑星をいくつか飲み込む。
そして、爆発を起こす。
爆発の結果、核だけが残る。
この核が、白色矮星となる。
重さは、1.15MS以内である。
問題になるのは、爆発の影響を受けたROS内の恒星や惑星だ。
アプリが、今まで立ち寄った白色矮星には、LOSが無かった。
この白色矮星では、微かなタキオン粒子が測定された。
それは、規則性を持ったタキオンだった。
出力が弱い。
いつから、発信しているのか分からない。
長い年月が予測される。
アリスが感知する。
「生命体が存在します」
『透明の皿』を発動させた。
その恒星が特定された。
第2話 生き残り
彼らは、恒星の核を居住区としていた。
彼らは、自らの事をサバイバーと呼んでいた。
人口は、3千人に満たない。
彼らは、ペンタダイバリオンの開発に成功していた。
居住区は、ペンタダイバリオンとそれが発生させるフィールドで守られていた。
だが、他の多くの者が中心恒星の爆発に巻き込まれたようだ。
ペンタダイバリオンも恒星爆発には、抵抗できないのだ。
彼らは、自分達の生存を「運がよかった」としか言わない。
「必然の生存ではなかった」と言う。
彼らが飛び込んだ恒星は、1.7MSある。
この恒星も爆発の余波を受けている可能性がある。
この恒星が爆発すれば、白色矮星では済まない。
次の段階が待っている。
タキオン通信の出力を弱く観測した理由が分かった。
出力が弱いのではない。
タキオンのほとんどが、白色矮星に飲み込まれているのだ。
LB13は、彼らの指導者と会合を持った。
鎮也「望みはありますか?」
カウ「移住を望みます」
鎮也「では、我らの星域にお迎えしましょう」
鎮也は、ムーの属するROS内の1つの惑星を候補として上げた。
彼らは、自力でそこに到達する事が出来る。
問題は、出入りの符丁だ。
彼らに、暗号符丁を1つ持たせた。
第3話 記録
彼らは、爆発した恒星の膨張から爆発、そして現在までの記録を持っている。
アインにとって、非常に興味深い。
カウは、科学者でもある。
彼は、持っている記録から詳細な分析が出来ない。
ただ、膨張が始まりの記録と爆発の記録が非常に短時間な事は分かっていた。
膨張が始まると、時間が通常時間と異なるようだ。
記録は、記録器の固有時間でとられている。
それは、アインを喜ばせた。
「非常に賢明な処置だ。
事象の時間で、事象を記録すると客観的な分析ができない。
固有時間を持つ機器を所有するという事は、技術の高さを意味する」
膨張の始まりは、空間転移だった。
亜空間が発生し、物質を飲み込む。
その状態で、ショートの空間転移を行う。
無数の亜空間が衝突し、亜空間が砕ける。
膨張している様に見えたのは、亜空間の空間爆発が原因だ。
膨張の始まりに大量の斥力子が、発生した事が分かる。
老いた星は、重力波の位相を行うのか?
ここが分からない。
そして、白色惑星となる核は、亜空間と逆に収縮を始める。
これは、斥力子が大量に発生した事と関係がある。
急激に亜空間に飲み込まれた物質の内側では、この世界の拡散性が逆に働く。
逆に働くのは、飲み込まれた物質とそうでないものとの差だ。
亜空間は、飲み込めなかったものを逆方向へと向かわせる。
「質」が、逆を向くと元には戻らない事が予測された。
いや、重力子のエネルギーが戻る事を許さないのだ。
第4話 虚数
カウは、別のものも持っている。
それは、偶然に付随して来たものだ。
彼らのステーションに、いくつか付随していた。
爆発から寸前で、今の居住恒星に逃げ込んだ。
その時、爆発の破片がステーションをいくらか、傷付けた。
その破片を保存しているのだ。
科学者達は、この破片を調べている。
だが、分からない。
現出したり、突然消えたりするのだ。
アインは、その破片に対し、虚数検知器を作動だせた。
その破片は、この世界の物質が持つ虚数部率を遥かに超えていた。
アイン「亜空間の空間爆発が物質に虚数部を与えたのだ」
亜空間の出来る原理は、分かっている。
それは、重力子と斥力子の対消滅だ。
だが、その結果によって発生させるエネルギーが解明出来ない。
アイン「亜空間は、虚数部を大量に持つのだ。
空間は、虚数の宝庫だ。
亜空間が、通常空間の戻る時、大量の虚数を実数に変える。
だが、空間爆発で崩壊した亜空間は、実数に変える時間を持てない。
結果として、内部に含んでいる物質も虚数を大量に含んだまま実体化する。
その破片の正体は、空間爆発の残骸だ」
アインは、その破片を調べ始めた。
第5話 鎮也
鎮也がFCT属になった。
FCTレベル1を持った。
彼は「複雑の木」を進化させた「複雑の環」を手に入れた。
「複雑の木」は、原理を辿ると、階乗を指数化する理論だ。
「複雑の木」の理解と実践が、FCT属への進化を促進する事は、不思議ではない。
レオもアインもこの試みをしている。
他の者も試みているが、きっかけが掴めない。
FCTレベル1は、EXPレベル5に能力的に劣る。
属遷移は、一時的に能力低下を起こす。
小さいレベルでは、属の効果が現れない。
だが、成長度合いを比べると、EXP属とFCT属では、格段の違いがある。
つまり、レベル1個の向上度数が違う。
未久も手に入れかけている。
今まで、未久の能力が発揮された事は少ない。
未久が属の遷移で、どのような能力を発揮するか楽しみだ。
・アインの話の第13話 次元(2)
最初の爆発の時、次元はいくつできたのだろうか?
アインは、次元は整数個をとると、考えている。
アインは、1つのモデルを持っている。
それは、
「次元の軸だけが、できたのだ。
2つの軸が出来た。
それが、平面を象作って行く。
最初は、平面を埋める事が出来なかった。
後に、この世界の性質(拡散性)によって平面を埋めたのだ。
埋めたものは、ビットだ。
2つの軸上に展開する有限の無数ビットが演算をする」
ビットは、[1、0、-1]のいずれかだ。
演算は、結合と重なりだ。
結合は、並列に並ぶ。
重なりは、完全に重なり加算又は乗算をする。
又は、部分的に重なり、結合と完全な重なりの中間を取る。
この振る舞いは、軸上でだけ行われた。
おそらく、測定のできない時間で行われただろう。
いや、時間そのものが存在しなかった。
問題は、ビットの存在率だ。
[1、0、-1]の存在率が、ビットの増殖に影響する。
おそらく、「1」の存在率が最も多かった事が予測される。
次は、「0」だ。
そして「-1」だ。
もう1つ問題がある。
加算と乗算の法則だ。
どういうケースでその演算方法が決まったのかだ。
・アインの話の第14話 演算
軸上のビットは、軸上を拡散しようとする。
拡散性は、この世界の性質だ。
だが、密度が拡散性を上回る。
ビットは、結合しビット数を増やす。
同時に重なり合い、ビット値を増やす。
2つの軸は、0を原点として正の方向にのみ存在する。
この性質は、意味を持たないのかもしれない。
軸は有限の無限だった。
軸は1巡りすれば元の位置に戻る。
どこを原点としても、法則に影響を与えない。
ビットは、ビット数とビット値を増殖させた。
軸上の拡散の限界を知ると、2つの軸と軸の空隙に拡散を始めた。
空隙には、縦のビット列と横のビット列が存在し出した。
(完)
申し訳ありません。
個人の事情で書き続ける事が出来なくなりました。
いつの日にか、書ける日を望んでいます。