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第1章 連星

第1章 連星


第1話 双子


 アプリは、ムーから1千光年離れた。

1つのROSに立ち寄った。

そのROSの中心の恒星は連星だった。


互いの恒星が互いの恒星を周る。

それは、近付いたり、離れたり不自然にも見えた。

だが、全ての調和は、とれているのだ。


 周囲の惑星は、その連星の重心を中心として、周っている。

だが、衛星の軌道は、美しい楕円を描かない。

何故なら、常に連星の重心が移動するからだ。


 2つの恒星は、同じ重さと同じ半径を持っていた。

アリスが、感知する。

「虚数部が異なります」


アインは、物質にも虚数部が存在する事を突き止めていた。

アインの製作した虚数感知器が作動した。


アイン「精神も物質も虚数部を持つのだ。

だが、境目は何処だ」


 アインは、結論を出していた。

「実体化臨界率」が、存在する。


アインによると、そもそもこの世界の3次元座標軸の軸目盛は異なるようだ。

我々が、3次元空間軸の目盛の全てが同じだと思っているのは、錯覚だ。

1次元目と2次元目の座標軸の目盛が、違う。

第3座標軸の目盛が最も違う。

目盛が異なっても、既存の法則は全て適用できる。

既存の法則に係数を加えるだけだ。

むしろ、軸目盛が異なっていた方が説明の付く事がある。


 さて、このROSの固定した欠片は、双子だった。



第2話 相違


 固定した欠片は、「ユミン」と「カミン」とLB13に名を告げた。


 ユミンとカミンが同時に言う。

その違いが、アリスには分かる。

他の者には、同じものとしか聞こえない。

もう1つ違いの分かる物がいた。


 虚数感知器だ。

固定した欠片は、声を持たない。

会話の全ては、精神感応で行われる。

虚数感知器は、その精神の違いを検知した。


ユミン・カミン「何故、2つの恒星が衝突しないのか?

不思議そうですね。

私達は、同じ質を持つのです。

同じ質を持つ者同士は、3つの可能性を持ちます。

1つは、私達のように調和をとりながら存在します。

1つは、完全に重なり合い大きくなります。

この時、うまく重ならないと、爆発を起こします。

重力や電荷のエネルギーが重なりを阻害します。

 1つは、連結します。

互いの1部が、互いの1部と重なり合います。

ですが、この状態は、周囲に多大な影響を与えると共に、自己崩壊も起こします。

 長い年月をかけて、互いが互いを飲み込もうとします。

その結果、多くのものを自分達から放出します」



第3話 異論


 アイン「あり得ない。

この双子達も何れ融合か、爆発か、自己崩壊を起こすのだ。

ただ、その時期がいつなのかは、計算しなければ、分からない」


 完全に同じものなら、調和がとれるかもしれない。

だが、空間軸目盛の違いが完全に同じものの存在を許さない。

そのものが動くと、同じものが違うものになる。

 更に、彼女らの虚数値が微妙に違う。

これは、虚数値の実在時間の相違を意味する。

 動いているものは、場であれ、波であれ、周期を持つ。

そして、振幅、固有速度を持つ。

虚数値が異なるという事は、どれかが異なる。

 彼女らは、微妙にこの世界に異なる影響を与えている。

微妙な異なりは、ある臨界点を超えると、微妙で無くなる。


 ここのROSは、1つのLOSを持っていた。

このLOSには、現在生命体がいない。

全てが、精神体だけだ。

双子「理想的な惑星だわ」


 アイン「不自然だ。

既に双子は、影響を与えている。

与え過ぎている」


 アインの予測がある。

「双子の精神波が、LOSに注がれている。

精神場から漏れたものが、注がれている。

双子は、これに気が付いていない」


 アインは、LOSの上空で測定を行った。

予測通りだ。

アイン「この惑星の精神体は、命を持っていない。

双子の精神波が、精神体となっただけだ」



第4話 強過ぎる精神


 精神は、通常、命が紡ぐものだ。

命は、肉体に宿る。


 双子の精神波が通常の命の育みを阻害した。

その精神波は、肉体にとって、強過ぎるのだ。

そして、命が紡ぎかけようとした精神に、干渉する。

結果として、精神体だけが残る。


 この精神体は、双子の残象だ。

全てが、双子の思い込みだ。


 欠片達は、自分の命の総和を知らない。

知る術が無い。

つまり、LOSに命が育んでいるのか?否か?

厳密には、確認できない。

双子は、錯覚しているのだ。


 鎮也「この事を説明する方法は、あるのだろうか?

説明した結果は、悲劇を引き起こすのだろうか?」


 鎮也は、惑星の精神体に話しかけた。

「貴方達は、命を知っていますか?」

「はい。ユミンとカミンが持っています」

「貴女達は、命を持っていなのですか?」

「はい。私達の命は、双子が持っています」

「命を、望まないのですか?」

「…」


 命を望まない生命体はいない。

彼らは、やはり、残象だ。

この惑星は、連星の崩壊への予兆なのかもしれない。



第5話 提案


 鎮也「提案があります」

双子「何でしょう」

鎮也「ここのLOSに命が育んでいない事を知っていますか?」

双子「…」

鎮也「彼らが、貴女達の残象である事を知っていますか?

貴女達から漏れた精神波が、生命体の育みを阻害しているのです。

結果として、貴女達の精神波が象を成し、精神体を産み出したのです。

貴女達が望むのならば、通常の状態に戻す方法を考えましょう」

双子「…

やはり、そういう事だったのですね。

調和は、私達の幻想だったのですね。

このままでは、崩壊が待ち受けているのですね。

貴方達は、何か回避の手段を持っているのですか?」


 アイン「シールドが必要だ。

双子から漏れる精神波を、閉じ込めるシールドが必要だ。

 シールド内の空間座標軸目盛の均一化が必要だ。

ここの状態を維持するために、この2つが必要だ」


 双子は同意した。


 アリスが『鎮魂の鏡』を発動した。

惑星の精神体が、双子の元に帰る。


 アプリが、シールドを張る。

半透性のシールドだ。

双子の精神波だけを、透過させない。


 アインが、シールド内に『絶対の軸』を発動させた。

この精は、座標軸の補正を行う。

目盛を、じょじょに均一化して行く。

そして、絶対目盛軸を構成する。


アイン「理論値だが、このROSは通常状態を後50億年保つだろう」

鎮也「貴女達の命を惑星に放てば、数億年後生命が育まれるでしょう」



元素の第8話 示唆


 アインは、ムーに示唆をした。

「自然元素の研究は、今の方法では、無意味だ。

素数原子番号の元素のみの研究を望む。

この元素群を素因元素と呼ぼう。

他の元素は、素因元素の派生か奇種だ。

陽子数で元素を分類する事は、本質を見失う事になる。

素因元素の正体が、隠れている可能性がある。

見えるものばかりに、気をとれないように注意しろ」


 アインは、周期律を捨てた。

多様な性質を持つ元素種別を単純化しようと試みている。


 アイン「素因元素から他の元素への遷移過程が解らない。

ムーに研究させて見ようか。

いや、それは問題を複雑化させるだけだ。

 根拠を明確にしてから示唆を送ろう」


 アインは、もう1つ問題を持っていた。

「何故、陽子の陽電荷と電子の陰電荷が結ばれないのだ。

陽電子と陰電子は、その電荷が逆な事を理由に対消滅する。

磁場が関係しているのか?

それとも「質」が関係しているのか?

この解明が、元素の性質に関係している。

早急に解明しなければならない」



アインの考察の第9話 整数


 整数には、不思議な「質」を持つものがある。

特に、0と1だ。


 0は、対象数値と演算をする時、不思議な性質を発揮する。

掛け算をすると、対象数値の大きさを無視して、1方的に結果を0にしてしまう。

0を分母とすると、対象数値の大きさを無視して、∞にしてしまう。

足し算、引き算は、対象数値に影響を与えない。


 1も、対象数値と演算をする時、不思議な性質を発揮する。

掛け算をしても、1を分母として、割り算をしても対象数値に影響を与えない。

足し算、引き算は、対象数値を1だけ変化させる。


 0と1の「質」を見ると、逆の「質」があるように見える。


 マイナス1は、加減乗除の時、全ての対象数値に影響を与える。

これは、マイナスという符号を持っているからだ。


 つまり、0・1・符号は、整数の中で特異な「質」を持つ。

対象数値が自然数でも、同じだ。


 そして、アインは、素数にも「質」の拡張を試みている。

理由は、簡単だ。

アインは、宇宙を構成する最小単位を探している。

その最小単位は、分割できないものだ。


 0・1・符号、そして素数で最小単位を決定付ける事ができると考えている。



アインの考察の第10話 次元


 次元数は、整数なのだろうか?

実数の形態をとる事ができるのだろうか?


 アインの結論は出ていた。

「定義の問題なのだ。

どう定義し、どういう導き方をするのかの考え方の問題なのだ」


 定義は、仮説の第1歩だ。

これを間違えると、予期しない結論が出る。

考え方は、無数にあるのだ。

無数に見えるほど、あるのだ。


 アインは、この世界に存在するものは、有限個だと考えている。

例え、どんなに広くても、どんなに複雑でもだ。

何故ならば、有限個でなければ、常にこの世界の法則は変わる。


 例えば、最小物質が1個、この世界に加えられたとする。

その物質は、全てのものに影響を与える。

法則性のあったものに微妙な変化を与える。

そして、今までの法則は崩れる。


 そうなれば、追加あるいは削除の法則が、必要になる。

これは、この世界が完全独立系でない事を意味する。

そうなのかもしれない。


 しかし、現実の技術に焦点を当て、開発を進めるためには、完全独立系が必要だ。

同じ様に次元も整数個でなければ、開発は進まない。


 考え方の問題だ。

今は、「有限個」と「整数次元個」を基本にしよう。



アインの考察の第11話 デジタル


 アインは、この世界に最小物質が存在する、と考えている。

それは、この世界がデジタルから構成されている事と同義だ。


 アインは、最小物質のモデルを考えている。

それは、1ビットが[1、0、-1]からなる3進法だと考えている。

 そして、この世界が、性質を持っていると考えている。

ビットとこの世界の性質が干渉して、精神の一部と物質を現出させていると考えている。


 何故、現象が波様に見えるのだろうか?

それとも、最大にか拡大すれば、デジタルに見えるのだろうか?

アインは、この世界の持つ性質が波様を演じていると、考えている。

アインは、この世界の性質を「拡散性」だと考えている。

この性質は、ビットをデジタルに拡散する事が出来ない。


 この世界の始まりが、重要だ。

最初の爆発が重要だ。

そのビットが、存在する場がどのような形態をとったのか?

その場が、何者かによって、性質を与えられたと考えられる。

最初の場を考察する事が重要だ。


性質は、エネルギーに対して直接的に影響を与える事はできない。

だが、エネルギーの持つ「質」に対しては、影響を与える。

そして、「質」は、ビットの複合形だ。

最初の場に存在したビットは、有限個だ。

だが、現在の技術では、数える事の出来ない有限個だ。


 最初の場の次元数とビットの複合化演算法が重要だ。

それが、エネルギーとなり、粒子となり、重さとなったのだ。



アインの考察の第12話 磁場


 磁場は、物理的概念だ。

実態を伴わない。


 アインは、考えている。

「磁場は、部分集合の結果なのだ。

相転移できない部分集合が、拡散性により偏った結果なのだ」


 磁場は、電子の集合体を極性として持つ。

電子は、拡散したい。

だが、固体が相を転移できないため、拡散出来ない。

性質は、固体の相に閉じ込められる。

固体から液体に相転移するためには、エネルギーが必要だ。

自然界には、原初に原子と融合出来なかった遊離電子が存在する。

自然界の磁場は、これらの電子の集合体だ。

 人工的に遊離電子を作る事も可能だ。

だが、これは常にエネルギーを与え続けなければ原子へと戻る。


 電子は、同質だと考えている。

微妙に異なるのは必然だ。

しかし、その微妙が臨界値を超えるためには、長い時間が必要だ。

 そして、同質の物質は、互いの周りを周り始める。

これが、電流として観測される。

周っているのは、エネルギーが加わっているからではない。

この世界の性質が、そうさせているのだ。


 同じ電子が周っているのか?

現在の技術では、確認できない。

原子に属している電子を弾き飛ばし、自分がそこに存在している事も考えられる。

だが、観測できる範囲では、確認出来ない。


 N極とS極は、質なのだ。

場と同じものとは考えられない。



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