表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無限♾ループに囚われ  作者: Alicecloud


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/41

第25章 幽霊たちの恩返し

冥界の門の建付けを直し、地獄に安眠をもたらしたカイル。その功績に、かつてこの世を去った古の英雄や大賢者たちの魂が、感謝のしるしとして「最高の宝物」を届けることにしました。


アトランティスの海岸に、無数の「光る泡」が浮かび上がりました。それは、冥界で安らかに眠れるようになった死者たちが送り出した、感謝の念の結晶です。

「カイルさん、見てください! 泡の中に、何か紙のようなものが……」

クラリスが指差した先には、半透明に輝く一枚の楽譜が浮いていました。

それは、神代の時代に失われたとされる**【創世の譜面ジェネシス・スコア】**。

世界が作られた時の「基本設計図」とも言われる、音楽家にとっても職人にとっても究極の聖遺物です。

「……へぇ、これはすごいな」

カイルがその譜面を手に取ると、譜面から溢れ出す音の情報が、彼の脳内に直接流れ込んできました。

「カイル、それって伝説の秘宝だろ!? どんなすごい魔法が書いてあるんだ?」

レオンが身を乗り出しますが、カイルは眉をひそめて、腰のペンを取り出しました。

「魔法っていうか……これ、**『誤字』**がすごく多いよ」



「誤字!? 世界の設計図に!?」

セシリアが絶叫します。

「うん。ほら、ここの休符の長さがコンマ1秒足りないから、火山の噴火が不規則になるんだ。あ、ここの旋律も強引だな。これじゃあ、冬が寒すぎちゃうよ。……ちょっと直しておくね」

カイルは、全宇宙の法則が書き込まれた譜面に、ごく自然な手つきで「添削」を始めました。

• 砂漠の音階を調整: 「乾燥しすぎだね」→ 砂漠に恵みの雨が降り、緑化が始まる。

• 重力のピッチを修正: 「少し重たいな」→ 世界中の人々の体が軽くなり、肩こりが消失。

• 運命の不協和音を削除: 「悲劇のリズムは美しくない」→ 世界から「不慮の事故」が激減。

カイルがサラサラと譜面を書き換えるたびに、現実世界が「パチッ」と音を立てて、より心地よい方向へと再構築されていきました。

【SNS:王都実況掲示板:大海原の冒険スレ 4】


301:名無しの冒険者

【速報】世界が、めちゃくちゃ「住みやすそう」になってるんだが。


302:名無しの冒険者

わかる。さっきから体が軽いし、空の色が「ちょうどいい青色」になってる。

あと、家の裏にあった毒沼が、なぜか「最高級の天然炭酸水」に変わってたぞwww


303:名無しの隠居賢者

待て……。今、天界に伝わる『創世の譜面』に誰かが赤ペンを入れてる気配がする。

万物の理が、誰かの「好み」で書き換えられておるぞ……!


304:名無しの冒険者

犯人は言わなくてもわかるな。カイルだろ。

冥界から貰った譜面に「ダメ出し」してるらしい。

神様、今頃泣いてるんじゃないか?

#カイル被害者の会(神界編) #世界の赤ペン先生 #もうカイルが神でいいよ


カイルが「北極の氷の溶けるテンポ」を修正しようとしたその時、空が割れ、眩い黄金の光が降り注ぎました。

「これ以上……これ以上、勝手に仕様変更アップデートしないでください!!!」

現れたのは、半泣きになった天界のメンテナンス担当天使でした。

「お、お主が修正を入れるたびに、天界のサーバーがパンクしそうになってるんだぞ! 重力の設定を勝手にいじられて、神様が今、雲から転げ落ちたんだからな!」

「あ、すみません。でも、ここの和音を直さないと、あと数百年で星が音痴になっちゃうなと思って」

「『星が音痴』って何だ!!」

天使は叫びましたが、カイルが修正した後の譜面をチラリと見て、言葉を失いました。

そこには、神ですら思いつかなかった「完璧な世界の調和」が、美しい音符として並んでいたからです。

「……あ、あの。ここの部分の修正、もう少し詳しく教えてもらえませんか……?」

「いいよ。まず、ここのベースラインをね……」

結局、天使までカイルの「職人技術」に丸め込まれ、天界と地上を繋ぐ「究極の共同メンテナンス」が始まってしまいました。

「……ねえカイル。あなた、そろそろ自分が『ただの楽器職人』じゃないって認めない?」

セシリアが、世界がどんどん「カイル好み」に整っていく様子を見て、遠い目で言いました。

「そんなことないよ。僕はただ、譜面の読み間違いを直しただけさ。さあ、次は……空の雲の形が少しいびつだね。ちょっと叩いてくるよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ