3-2. 逆転の凱旋
数日後。王都は祝祭のムードに包まれていた。
勇者レオンと聖女クラリスが「魔王軍の奇襲を退け、帰還した」という嘘の報告を信じ込んでいたからだ。
「カイル? ああ、あの無能な記録係か。奴は自ら志願して、我々の殿として名誉ある死を遂げたよ」
広場で民衆に手を振りながら、レオンがしたり顔で語る。
だがその時、王都の巨大な正門が、外側から凄まじい衝撃で粉砕された。
「な、なんだ!? 敵襲か!?」
騒然となる群衆の前に現れたのは――
かつて王都を幾度も恐怖に陥れた、魔王軍の精鋭たち。
そしてその中央、巨大な竜(古代龍)の頭の上に座る、一人の青年の姿だった。
「ひ、久しいな、レオン。……俺の葬式にしては、随分と賑やかじゃないか」
カイルが静かに見下ろすと、レオンの顔から血の気が引いた。
「なっ、カイル!? なぜ生きている……いや、その背後の魔物たちはどういうことだ!」
「言ったはずだ。俺は記録係だ。この世界の理も、お前たちの醜い本性も、すべて書き記した。……そして、この子たちの『悲しみ』もな」




