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無限♾ループに囚われ  作者: Alicecloud


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第23章 不協和音のセイレーン

リヴァイアサンを「巨大な喉鳴らし(パワード・スピーカー)」に変えてしまったカイルたちの前に、さらなる「美声の持ち主たち」が現れます。

それは、歌声で船乗りを惑わすと恐れられる、伝説のマーメイドたちでした。


「……聴こえる。すごく『欲求不満』な歌声だ」

霧の深い海域に入った瞬間、カイルは耳をぴくつかせました。

周囲から響いてくるのは、幾重にも重なる女性たちのコーラス。普通なら、その魔力に当てられて意識を失うところですが、カイルのパーティーはレベルが違いすぎました。

「カイルさん、この歌……なんだか無理に声を張り上げているみたいで、喉が痛くなりそうです」

クラリスが【フルート杖】を構えながら心配そうに言います。

「よし、僕が『発声指導』をしてくる」

カイルが船の縁をコンッと叩くと、霧が音の振動で霧散し、岩場に集まった数百人のマーメイドたちが姿を現しました。彼女たちは、自分たちの歌が全く効いていない四人に驚き、さらに鋭い高音で歌い続けようとします。

「君たち! 喉を締めすぎだ。高音を出すときは、もっと横隔膜(地脈)の振動を意識して!」

カイルは【漆黒のハンマー】を空中で一閃させました。

その衝撃波が「音の整列」を作り出し、マーメイドたちの乱れた和音を強制的に美しいハ長調へと補正しました。

「……えっ!? 私の声、こんなに綺麗に出るの!?」

「何これ、歌っていて気持ちよすぎるわ!」

マーメイドたちは戦うことを忘れ、自分たちの「正しい音色」に酔いしれました。

第32章:竜宮城アトランティスへの強制連行

マーメイドたちのリーダーが、感激のあまり尾びれを激しく叩きながらカイルの元へ泳いできました。

「素晴らしいわ! あなたこそ、伝説に語られる『深海の指揮者』に違いないわ! お願い、私たちの王都――海底都市アトランティスに来て! あそこは今、巨大な不協和音に包まれて、沈没寸前なのよ!」

「沈没寸前? 海底にあるのに?」

レオンが首をかしげます。

「アトランティスは巨大な『共鳴水晶』で維持されているの。でも、その水晶がひび割れて、街全体が『悲鳴』を上げているわ。このままじゃ、水晶が粉砕して街が海の藻屑になってしまう!」

カイルは目を輝かせました。

「巨大水晶のひび割れ……職人として、そそる依頼だね。よし、行こう」

マーメイドたちは歓喜し、カイルたちの船を泡の魔法で包み込むと、深海へと一気に引き込んでいきました。


到着したアトランティスは、かつては黄金の比率で建てられた美しい都市でしたが、今や街中に不快な金属音が響き渡り、建物には亀裂が入っていました。

「……うわっ、ひどい音だ。これじゃあ住んでる人たちはみんな頭痛がするだろうね」

カイルの目の前には、街の中央にそびえ立つ、標高300メートルはあろうかという**【神聖共鳴水晶・アクア・コア】**がありました。その中心部には、巨大な「ひび」が入っており、そこから逃げ出した魔力が衝撃波となって街を破壊していたのです。

「カイル、あんなデカいもん直せんのか!? 物理的に手が届かないぞ!」

レオンが叫びます。

「大丈夫。音っていうのはね、伝わればいいんだよ」

カイルはリヴァイアサンの背中の上に立ちました。

そして、自分の【漆黒のハンマー】を、リヴァイアサンの硬い頭骨へ向けて、全身の力を込めて振り下ろしました。

「リヴァイアサン、君の声を借りるよ。……共鳴レゾナンス!!」

コォォォォォォォォォォォンッ!!!!!

リヴァイアサンの体そのものが巨大な「音叉」となり、カイルが放った「修復の振動」が深海を震わせました。

その振動波が巨大水晶に到達した瞬間、ひび割れた隙間に周囲の海水と魔力が凝縮され、新しい結晶として再構成されていきます。

さらに、カイルはハンマーをリズミカルに叩き続け、水晶の「基本周波数」を再設定しました。



【SNS:王都実況掲示板:大海原の冒険スレ 2】


112:名無しの冒険者

【速報】海が……海が光ってる!!

西の海域から、神々しい鐘の音が聞こえてくるぞ。


113:名無しのマーメイド(深海からの書き込み)

みんな、聞いて! 私たちの都が治ったわ!

地上の楽器職人が、リヴァイアサンを叩いて街全体の「ネジ」を締め直してくれたの!


114:名無しの冒険者

リヴァイアサンを叩いてネジを締める……? 意味がわからなすぎて、もう考えるのをやめた。


115:名無しの冒険者

アトランティスの王様が、カイルを「深海の神」として崇め始めて、

街の広場にカイルの「巨大なハンマーを持った像」を建ててるらしいぞwww

#アトランティス復活 #カイルは神 #マーメイド全員ファンクラブ入会


「……ふぅ。これでしばらくは、この水晶も歌い続けるはずだよ」

カイルが汗を拭くと、アトランティスの王から、お礼として**【太古の海神の涙】**という、海そのものの重さを持つとされる伝説の宝石を贈られました。

「ありがとう。……これ、すごく硬いから、新しい『釘抜き』の材料にちょうど良さそうだ」

「それを釘抜きにするなと言っているだろ!!」

セシリアのツッコミが、美しく調律された海底都市に響き渡りました。




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