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無限♾ループに囚われ  作者: Alicecloud


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第19章:究極のカレーと「スパイスの共鳴」

神様を骨抜きにし、宇宙のフリーズすら経験したカイルですが、彼の本質はあくまで「目の前の不備が気になる職人」です。

次なるトラブルは、神域や宇宙規模の話ではなく、もっと身近で、しかしある意味で最も厄介な**「食卓の不協和音」**でした。



ある日、カイルたちの宿屋に激震が走りました。

「……おいカイル、どうしたんだこのカレー……。一口食べただけで、俺の魂が別の次元に飛ばされかけたぞ」

レオンがスプーンを握ったまま、感動のあまり白目を剥いて震えています。

ことの始まりは、カイルが宿屋の厨房を通りかかった際、料理長が作っていた「本日の特製カレー」から聞こえる**「濁った音」**を耳にしたことでした。

「料理長、そのカレー、ジャガイモと玉ねぎの仲が悪いよ。スパイスの『波長』も、お互いを打ち消し合ってる。……ちょっと、お鍋を貸して」

カイルは魔王の心臓ハンマーを取り出すと、煮え立つ大鍋の側面を、リズムよく**トントトントン……**と叩き始めました。




「いいかい? 料理は化学反応じゃない。素材同士の『対話』なんだ。……コンッ」

カイルが鍋を叩くたびに、鍋の中の分子構造が黄金比で整列していきます。

辛味成分カプサイシンは「情熱的な高音」へ、タマネギの甘味は「包容力のある低音」へと調律され、それらが一つの完璧な交響曲シンフォニーとして融合しました。

「はい、出来上がり。……あ、お米も少し『炊きむら』があったから、ついでに炊飯釜の共鳴も直しといたよ」

その結果、宿屋の食堂はパニックに陥りました。

• 一口食べた老人: 「腰が……腰がシャッキリ伸びた! これ、不老長寿の薬か!?」

• 喧嘩中のカップル: 「……僕たちが悪かった。このカレーのような調和こそ、愛なんだね」

• 隣の席の犬: 「ワン!(あまりの旨さに二本足で立ち上がり、丁寧な礼をする)」

【SNS:王都実況掲示板:新人パーティー観察スレ 7】

701:名無しの冒険者

【緊急】宿屋『木漏れ日亭』のカレーを食べた奴いるか?

あれ食ったら、背中に羽が生えて空飛べるようになったんだが、これ副作用か?


702:名無しの冒険者

俺は、一口食べた瞬間、前世の記憶を思い出した気がした


703:名無しの冒険者

楽器職人カイル、ついに「味」まで調律しやがった。

料理長が「もう俺、包丁持つのやめて、カイル様のハンマーを磨く係になる……」って泣き崩れてるぞwww


704:名無しの冒険者

#カイル被害者の会(胃袋) #世界一美味い毒(中毒性的な意味で) #スプーンが止まらない


噂を聞きつけた隣の高級レストランのシェフが、「そんな馬鹿な話があるか!」とカイルの元へ怒鳴り込んできました。

しかし、カイルが彼の持っていた「自慢のフライパン」を**チィィン……**と一叩きして返すと、シェフは一口食べただけで「私は、今まで鉄板と喧嘩をしていたのか……」と号泣。そのまま弟子入りを志願して行列に並ぶ始末。

「カイル、もうこれ、冒険どころじゃないだろ。街中がカイルのカレーを求めて暴動寸前だぜ!」

光の巨人レオンが、お代わりを20杯食べながら言いました。

「弱ったな。僕はただ、お鍋の響きを良くしただけなんだけど。……あ、レオン。そのスプーン、噛んじゃダメだよ。振動がズレて……」

コンッ。

カイルがレオンのスプーンを叩くと、スプーンが眩く光り輝く**「オリハルコン製」**に進化。

「……もう、驚かないわ。私は驚かないわよ……」

セシリアが虚無の瞳で、悟りを開いたような顔でカレーをすすっていました。

カイルの日常は、いつだって「ほんの少しの親切」が、世界を平和とカオスへと導いてしまうのでした。

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