第13章:王都、一斉メンテナンス
新調したハンマーを試したくてたまらないカイルは、レオンとクラリスを連れて王都の街へ繰り出しました。
「あ、そこの時計台。1秒のピッチがズレてるね」
コンッ
→ 時計台が正確になるどころか、周囲の「時間の流れ」が安定し、犯罪率が低下。
「この噴水。水の跳ねる音が不規則で耳障りだな」
コンッ
→ 噴水から溢れる水が「聖水」に変化し、飲んだ病人が次々と完治。
「あそこの城壁。風の通り道が詰まってて、建物が苦しそうだ」
コンッ
→ 王城全体に究極の防護結界が張られ、核魔法ですら傷つかない無敵の城塞へ。
【SNS:王都実況掲示板:新人パーティー観察スレ 5】
401:名無しの冒険者
【緊急】王都がバグってる。
今朝、楽器職人のガキが城壁を叩いて回ってたんだけど、
その後から「病気は治るわ」「飯は旨くなるわ」「天気は常に快晴だわ」で、
楽園みたいになってるんだがwww
402:名無しの冒険者
俺も見た。カイルが時計台を叩いたら、
時計の音が「子守唄」に変わって、街の荒くれ者たちが全員改心してボランティア始めたぞ。
403:名無しの冒険者
セシリア様が「師匠のハンマーは、振るだけで物理法則が書き換わるのよ!」って、
泡吹いて倒れてるんだけどwww
404:名無しの冒険者
#カイル被害者の会(街全体)
#調律という名の世界改変
#魔王の心臓で何してんの
「……ねえ、カイルさん。なんだか街の人たちが、あなたの通る道に跪いてるんですけど……」
クラリスが困惑しながら言いました。
「みんな、僕の調律を喜んでくれてるのかな? 職人冥利に尽きるね」
カイルは満足げに、黒いハンマーをくるくると回しました。
「さあ、次はギルドの受付カウンターかな。あそこ、ペンを置くたびに変な音がするから気になってたんだ」
「カイル、もうその辺にしてやれ! ギルドが黄金の神殿になっちまう!」
レオンのツッコミも虚しく、カイルの「無自覚な世界平和」は加速していきます。
魔王からの贈り物は、カイルの手によって「最高に便利なメンテナンス道具」として、今日も世界の不協和音を消し去っていくのでした。




