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第12章:究極のハンマー、誕生
カイルはその「石」を、ただの質の良いメンテナンス用の材料だと思い込み、さっそく自分の【調律用ハンマー】のヘッド部分として組み込みました。
「よし、これで完成だ。前のより少し重いけど、振動の伝わり方が素直でいいな」
カイルが新しいハンマーを振ると、空気が「シュンッ」と鳴るのではなく、音楽のように「ファ……」と鳴りました。本人は「いい音が鳴るようになった」と喜んでいますが、その一振りが空間の分子構造を整列させていることに気づいていません。
その頃、宿屋の食堂ではセシリアが叫んでいました。
「ちょっとカイル! そのハンマー、何よ!? さっきからあなたがそれを持つたびに、私のハープが恐怖でガタガタ震えてるんだけど!」
「え? 庭に落ちてた石で補強したんだよ。セシリアも使ってみる? 叩くと肩こりが一瞬で治るよ」
「魔王の心臓(真核)を肩叩きに使おうとしないでちょうだい!!」




