表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無限♾ループに囚われ  作者: Alicecloud


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/42

9章【再始動:黄金の絆と、拭えぬ違和感】第1章:書き換えられた「始まりの音」


⁑⁑⁑ジッジジ⁑⁑⁑

王都のギルド裏。差し込む午後の陽光は、一億回繰り返されたあの絶望の記憶を塗り潰すように温かい。

「――おいカイル、聞いてるのか?」

カイルは、ハッと意識を浮上させた。

目の前には、眩い金髪をなびかせた青年、レオン。

だが、その表情にいつもの傲慢な蔑みはない。そこにあるのは、親友の身を案じるような、どこか過保護ですらある笑顔だった。

「お前、さっきからボーッとして。……やっぱり、昨日の魔物退治で無理させたか? すまねえ、お前の『記録』のおかげで俺たちは助かってるのに、俺が先走りすぎたな」

カイルは、自分の感覚が信じられなかった。

(……え? クビ、じゃないのか?)

「カイルさん、これ」

隣から、可憐な少女が歩み寄る。聖女クラリスだ。

彼女は、かつてカイルの胸を焼き、冷たく見捨てたあの聖女と同じ顔をしていた。しかし、彼女の手にあるのは転移結晶ではなく、冷えた水袋と、丁寧に包まれた手作りのサンドイッチだった。

「少し休んでください。あなたは私たちの『生命線』なんですから。あなたが倒れたら、私たちがどうすればいいかわからないわ」

クラリスは、慈愛に満ちた瞳でカイルを見つめ、その泥に汚れた袖をそっと拭った。

システムは、彼女の??を「カイルを盲信する献身的なヒロイン」へと再定義していた。

「……ああ、ありがとう。クラリス」

カイルは水を受け取った。

記憶はない。システムが施した精神修正により、「彼らは古くからの大切な仲間だ」という認識が上書きされている。

だが。

水袋を受け取る時、カイルの指先がクラリスの肌に触れた瞬間――。

(――殺せ)

脳の奥底、魂の最も深い領域から、猛烈な「拒絶」が噴き上がった。

心臓が激しく鐘を打ち、全身の毛穴が開き、胃の底から熱い酸がせり上がる。

「カイル……さん? どうしたの、そんなに震えて……」

心配そうに顔をのぞき込むクラリス。

彼女の笑顔は完璧だ。悪意の欠片も見当たらない。

それでも、カイルの潜在意識に刻まれた「一億回分の殺意」が、システムの書き換えを突き破って、彼女を『???』だと叫んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ