貧乏を100倍楽しむ方法 最新版
貧乏を100倍楽しむ方法 実践マニュアル
本書は貧乏の美学追求を目指し、実践した
「活きたマニュアル」です。
監修は愛猫大学貧乏美学研究室教授、好田猫吉教授です。
貧乏に幸福を見出せない方は、是非本書で
貧乏を100倍楽しむ方法を実践してみで下さい。
簡単な順に記載しています。
1.リッチな気分になれるワニ皮財布を手に入れる方法
黒いワニ皮の財布は魅力的ですが高くてなかなか手に入れづらいと思います。本項では、ほぼ予算はかけずに黒のワニ革財布を作る方法を説明します。
準備と必要なもの:
・黒い財布ならなんでもok、中古でも100均製品でも構いません。自宅にない場合、家族、親戚、親戚の親戚(連絡先は聞き出しましょう)、友人、知人、先輩、近隣の人々に片っ端から連絡し、「黒い財布」が余ってないか聞いてみましょう。100円で買う必要はなくなります。
・アルミホイル適量。
・オリーブオイル(サラダ油でも可」
環境:自室の夜間から深夜が好ましい。
実践方法
まず、黒い財布を机に置き、ワニ皮財布をイメージ、さらにワニ皮財布が金運を寄せ付けるイメージを好きに妄想。
妄想が終わったら黒い財布を丸めたアルミホイルで適当に磨きます。この時必ず「ワニ〜ワニ〜」と唱えるといい感じに磨くことが出来ます。
磨き方は角度を変えながら削るようなイメージで磨きます。
全体を磨くと、だんだんワニ皮風になって来ます。
出来るだけワニ皮になるように削ります。
次に油性マジックでワニ革風に模様を描きます。適当でも、それも良い味わいですので大丈夫です。この時もひたすら「ワニ〜ワニ〜」と唱えて集中すると作業効率が上がります。
出来上がったら、次にオリーブオイルをティッシュにつけて、ワニ皮風になった財布に塗ります。この時も「ワニ〜ワニ〜」と唱えます。
全体にツヤが出来たらワニ皮財布の完成です!!眺めて、ワニ皮財布を手に入れた幸せをジワジワかんじて楽しみます。
もっと楽しみたい方は、古新聞やチラシをお札のサイズに切って沢山お財布に入れましょう。
これで超セレブな札束入りワニ皮財布の出来あがりです。眺めて妄想の中で高価な物を買って楽しみましょう。
注意 「ワニ〜ワニ〜」は真剣に声に出すこと。作業効率が上がります。ただし、周囲に聞こえたら「あの人怪しい」と思われるかもしれないため、近隣からの冷たい視線を感じたら心の中で「ワニ〜ワニ〜」と唱えて無視する事に集中すれば大丈夫です。これで毎日ワニ皮財布を持ったリッチな生活を送れます。
勇気のある人は、この財布を持ち歩いて人前で堂々と置き忘れたふりをして周囲の人がワニ革財布に注目したり、コンビニのレジ前に置き忘れたふりをして店員さんがワニ革財布に注目したり、とあらゆる場面でワニ革財布の存在感をアピール出来ます。あなたは悠々と使い、生活をすれば貧乏な事など忘れ去り、リッチな気分で暮らせます。
注意 実際の買い物で、うっかりワニ革財布から切った紙切れを出さないようにすること。おかしな人だと誤解されます。
2.美しい銀食器を楽しむ暮らし
質の良い美しい食器は、豊かな気分をもたらします。純銀食器を手に入れるには貧乏だと高いかもしれません。本項では、安価で簡単に出来る銀食器の作り方を説明します。(本物の純銀にはできませんが、純銀風になります。想像力が大切です。)
・準備と必要なもの
アルミホイル、銀食器にしたいスプーンやフォーク、皿など
・環境 自宅内、短時間で作れます
・実践方法
まず、銀食器にしたいものを手に取ります。アルミホイルを上手に巻き付けて行ってください。少し固めに押しながら形を整えて完成。純銀の食器らしくなります。これを全ての食器で作り、テーブルに並べます。並べると輝く純銀の食器風の雰囲気になります。実際のお料理を乗せるにはパン、フルーツくらいしか不向きですが、銀食器を飾るだけでも目の栄養になります。楽しんで眺めてワクワクしましょう。
3.リッチな帳簿一冊で超セレブな室内へ。
準備と必要なもの
必要な物:家計簿と新しい帳簿一冊、ペン1本
ペンすらない人は道に出て「ペンを譲って下さい」と近隣各所、民家や道ゆく人を訪ねて回って下さい。大抵の民家や会社、商店では一本くらいはペンが余っています。ゲットしましょう。
注意 ペンは必ず書き試しをしましょう。書けないペンでは困ります。
新しい帳簿を購入する必要があります。安価な家計簿ではリッチな雰囲気は出ません。オフィス用品の中の黒表紙の帳簿が必要です。購入予算がない人でも大丈夫!下記の工夫をして予算を作りましょう。
1)家中の不用品を集めます。破れた服や古びた靴、使っていない雑貨やガラクタなど。これらは皆、貴重な資源です。
2)古新聞を用意(無ければ近隣を訪ね歩き古新聞を譲ってもらいましょう。効率よく隣から順番に訪ね歩いてゲットします。)
3)セロテープ(ない場合、コップやクリアファイルなどを持参して近隣の人からセロテープを借りてコップやクリアファイルに貼って帰りましょう。少々量が必要となるので頑張って長めに貼って下さい。近隣の人から「え、そんなに?」と驚かれますが、慌てない事。必要なのですからとにかくセロテープを貼る事に集中し、お礼を伝える事。
4)小石20〜40個前後
道や公園などを探し回って集めて下さい。小さすぎると使えないので、適度な重さのある小石を集めます。
注意
探して拾ってうろつくと、周りの人々から好奇な眼差しを浴びることがあるため、その時は虫眼鏡をポケットから取り出し、地面観察中を装って下さい。真剣に観察していればやがて人々は去ります。もし「何を観察しているのか」を聞かれたらすぐに「コンタクトを落としたので探しています」「アリが部屋に侵入したのでアリを観察しています」と即答し、すぐに観察者のふりをして地面を四つ這いで這って人々から離れていく事で距離をとり会話を回避しましょう。
実践方法
1から3まで必要な物を揃えたらいよいよ実践です。古新聞を広げ、四枚使って並べてセロテープで貼り、大きなサイズにします。
これが出来たら一枚の紙にマジックで「のみの市」と大きく書きます。目立つように頑張って書きましょう。
(マジックがない場合、近隣に借りに走りましょう。一枚の紙も同様)
2.古新聞の任意の場所に「のみの市」の紙をセロテープで貼ります。
3.余った紙を部屋中から探して「商品名と価格」が書ける小さな紙のサイズに切ります。
新しい家計簿が買えるだけの金額になるように全ての品物の価格を決めていきます。数百円から千円程度にして、代わりに全ての商品名に「不思議な」をつけて記載します。靴紐ならば「不思議な靴紐」にし、折れた鉛筆ならば「不思議な折れた鉛筆」、破れた服なら「不思議な破れた服」、ガラクタの古びたキーホルダーならば「不思議なキーホルダー」として全て書いていきます。
これらに価格を記載、すべて「不思議な商品」になったので、価格も低価格の百円から千円までバリエーション豊かにしましょう。
4.売れた時のためにお釣り小銭を入れた封筒を用意しましょう。封筒よりジップロックがあると一目でお金が見えてわかりやすくなります。
・売れるためのヒントと工夫
全てのガラクタに価値をつけましょう。傷だらけのビー玉なら、「その傷が魅力」など。靴紐一本だけなら「色が魅力、紐の用途は色々」破れた服なら「破れを縫えば立派な服です」古びた観光地で買った縁起物のキーホルダーなら「あなたのお守り、古びている所も歴史の証」折れた鉛筆なら「セロテープを貼るだけで新品になります」履き古した靴下なら「肌触りが柔らかくフィットします」使いかけのメモ帳なら「メモ帳として使いながら書き込んであるページの内容も楽しんでください」用途不明の容器なら「使い方は無限大」など。
注意
全てを千円にしてはいけません。必ず人が足を止めてくれるように「百円」の商品を多めに用意すること。お釣りの手間を惜しまないなら80円、88円、788円などにする工夫をすることで、より買い手が買いやすくなります。ただしお釣りの小銭の一円玉、十円玉を沢山用意する必要があります。お釣りがない場合は80円、800円に設定。
ここまで出来たら、いよいよ出発です。
5.自宅を出たら公園や駅前の小さなスペースなど、古新聞を広げられそうな場所を探しましょう。駅前は交番が近くにある場所は避けましょう。見つけたお巡りさんから露店だと思われて撤去を命令されるからです。良さげなスペースで通行人がいる場所を見つけたら、いよいよ古新聞を広げる段階です。一番通行人から見える側を正面になるように、かつ通行人の迷惑にならないよう隅っこを利用しましょう。
6.古新聞を広げて設置、目立つところに「のみの市」の紙を置き、小石で固定します。次にガラクタ一式を並べます。小さな物は正面に、大きな物は背後になるように並べます。目立つように売り物ではない派手な置物を真ん中に置くのもおすすめです。並べた品物それぞれに価格と商品名を書いた紙を並べていきます。風で飛んでいきやすいので、紙を小石を乗せて飛ばないように置きます。
7.並べ終わったら座って通行人が興味を持って寄って来るまで店番です。気楽に待ちましょう。
8.通行人が寄って来たらセールスのスタートです。笑顔と熱意を忘れずにあらゆる商品から一番興味を持っていそうなガラクタを見つけてアピールしてみましょう。「何でこんな所で売ってるんですか?」などと言われる事がありますので、「貧乏すぎて店を構える資金がないからですよ」と伝えましょう。ついでに「今日欲しいものも買えないほど貧乏なんです」と貧乏を強くアピールするのもおすすめです。あまりの貧乏さを哀れに思って買ってくれる優しい人が現れる事に期待しましょう。「不思議って何が?」もよく聞かれます。この時は「買ってからのお楽しみです」と答えましょう。不思議なままのほうが探りたくなる夢があるからです。真面目に品物やガラクタの説明をする必要は一切ありません。例えば靴紐の長さや素材などを聞かれても「見て判断してください、詳しいことはわからないのです」と答えれば良いです。
9.商品が売れた時は感謝を伝え、商品と釣り銭などの受け渡しをすみやかに。品物をまた並べ直して、次に売れる時を待ちましょう。
10.売れ行きが良かったら(事務用帳簿が買える予算に達したら)のみの市終了です。後片付けをして喜びながら(スキップして歩いたり)帰宅しましょう。
11.帰宅したらネットでオフィス用品専門のショップを探し、事務用品カテゴリの中から「帳簿」を探します。表紙が黒く高級な雰囲気の帳簿を探して購入します。
(必要なら売上金を口座に入金)
12.帳簿が届いたら、ページを開き、一番上の残高の箇所に数百億円単位の金額を適当に書きます。
次に品物の名前、金額を数百万円から数千万円にして記載します。ゼロを普段の予算に三つから四つ足すイメージです。小さな買い物(卵など)は一番高い金額を記載します。(例えば採れたて卵直送なら二千円になります。)品物が思いつかない場合は下記の一覧リストから引用して記載、価格は適当で構いませんが、価格の殆どは数十万円以上にすることが重要です。先程の卵なら二千円ですから個数を1,000個にして金額を2,000,000円にします。これらは黒いペンで、楽しみながら書いていきましょう。
<参考商品リスト一覧>
食品 スープ缶詰め合わせ、レトルトカレー、卵、新鮮野菜セット、特製米、オリーブオイル、調味料、ヨーグルト、野菜ジュース缶、ミネラルウォーター、紅茶セット、クッキー、フカヒレスープ
書籍と雑誌
専門誌(芸術、写真、科学、文学、旅行、メディア、ITなど)、大辞典、図鑑、海外新聞、小説、写真集、絵画集、歴史書、医学辞典
雑貨と文具
万年筆、インク瓶、純金製ペン立て、デスクライト、ボールペン×10,000、コピー用紙×2000ケース、ノート×50,000冊、レターセット×80,000、純金製花瓶60,000,000、シャネルキーホルダー80,000,000、エルメストラベルセット70,000,000、アンティーククロック20,000,000
スワロフスキークリスタル置物5,000,000
衣類
オーダーメイドスーツ500,000,000、イタリア製パンツ100,000,000、オーダーメイド帽子350,000,000
13.帳簿の一ページ最後まで書き終えたらリビングの一番目立つところに、さりげなくページを開いて置いておきます。これでいつ来客が来ても誰もがビックリする億万長者のような雰囲気になりました。来客が来なくても、この帳簿が開かれていれば、見ているだけで気分はセレブ。暇な時には残高計算もして、不足したら臨時収入を数百億円追加してみましょう。たまに部分マーカーをつけたりするとさらにリアリティーが増します。これであなたの室内は一気に富裕層のリビングに変わります。楽しんで雰囲気に浸りましょう!
あとがき
本書を手にしたあなたは貧乏に疲れたり、落ち込んだり悩んだりしているかもしれません。しかし、貧乏な道にも美学があります。それは、多くの富を求めずに幸福に生きる哲学でもあります。本書は、貧乏追求の美学の中のいくつかを実践方法として伝える事で、より多くの貧乏に悩む人が幸せな気持ちになれるように執筆しました。読み終えて少し幸福な気分になり、さらに実践してワクワクして幸福な気分になっていただければ筆者としては心から嬉しく思います。
追記
本書は、かつて私がウェブサイト「爆笑広場」に公開していた作品を、記憶を頼りに新たに書き直したものです。
当時、ある会社の社長が深夜に読み、財布を磨きながら「ワニ〜ワニ〜」のくだりで笑いが止まらなくなり、あまりの爆笑ぶりに奥様から「怪しい薬物でもやっているのでは?」と疑われた、という逸話が残っています。
その後、この作品はYahoo!の「面白いウェブサイト」ランキングでベスト10入りを果たしました。
今回、当時の原稿が残っていないため新たに執筆し直しました。
もし、あなたが読みながらじわじわ笑ってくださったなら、この復活は成功です。
完