“光明の魔女”の秘密の王宮生活
スラリンダ王国、ミネガルの森に、一人の魔女が精霊達とともに暮らしていた。彼女の名前はミシェル・スレミーラ。15歳になる若い娘である。彼女は一度も森の外に出たことがない。そのため、外の世界を知る手段は、本で情報を得るのみだった。いつもと変わらぬ平和な日常。ミシェルはそれで十分だった――が、ある日の出来事を境に、彼女の生活は一変する。ある日訪ねてきた若い青年。彼はこの国の第一王子、ウェルスだった。彼は言う――隣国の王宮に、我が国から派遣された外交官として潜入し、その影で、魔術をバレないように駆使して情報を集めてきて欲しい。そしてできれば、敵の悪事を阻止して欲しい、と。話を聞けば、なんとミシェルが暮らしている間に、(この国で)彼女以外に魔術を操るものがいなくなっていたというではないか。さらに、五大家の一つであるサイラス公爵の暗躍により、この国は窮地に立たされている、とも……「ええ……正直言って嫌ですね」「貴方がやらなければ、下手すればこの国は滅んでしまうかもしれません。ああ、その際は、全国民の憎悪、怒り、悲しみ、そして我らの(以下略)」……そんなこんなで、ミシェルのドタバタスパイ王宮生活は幕を開けるのであった。