表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もふもふ子犬の恩返し・獣人王子は子犬になっても愛しの王女を助けたい  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/84

白い騎士様が宰相を倒してくれました

「凄い! 白い騎士様が勝ったわ!」

 私は小躍りして喜びたかった。


「マドックがやられるなんて、馬鹿な!」

 でも、私の前には動揺して思わず倒された護衛隊長の名を呟いた敵の宰相がいた。ここは刺激しない方が良いだろう。


「まさか、マドック様がやられるなんて」

 宰相の兵士達もマドックが倒されて動揺していた。


 私が大人しくしていようと思った時だ。

「カーラ!」

 紐で後ろ手に縛られた私を見て白い騎士様が驚いた声を出した。


「カーラ様!」

 その後ろのフェルディナントも同じく声を出したが、私はフェルディナントなんて見ていなかった。


 白い騎士様が私の名前を呼んでくれたのだ。

 まさか、白い騎士様が私の名前を読んでくれるなんて思ってもいなかったのだ。白い騎士様は私に伝言を残して助けてくれようとした。名前を知っているのは当然と言えた。でも、その口からはっきりと呼ばれるなんて思ってもいなかったのだ。


「騎士様!」

 私は自分の立場も忘れて感激のあまり思わず声を出していた。


「宰相、ヘルブラント・レーネン! 貴様はこの国モルガン王国の宰相でありながら、反逆を企むなど、言語道断。ここに成敗してやる」

 騎士様はそう言うと剣を構えてくれたのだ。

 それはとても凜々しかった。


「ふんっ、何をほざく、流浪の騎士よ。私はこの国で一番力があるのだ。力のある者が王にならずしてどうするというのだ」

 それを聞いて宰相が言い返した。


「ふんっ、反逆者の言うことはいつも同じだな」

「なんとでも言うが良い。私の行動はノース帝国の皇帝陛下の許可を得ているのだ。事が成った暁にはなんとでもなるわ。それよりもその方、流浪の騎士であろう。その方さえ良ければ我が配下にならぬか? 王国に幾らもらっているか判らぬが、今ならば、この国の騎士団長にしてやるぞ」

 宰相は白い騎士様の勧誘を始めたのだ。

 私は青くなった。白い騎士様が宰相の手のものになったら到底勝ち目はない。


「ふん、私はカーラ王女の白い騎士だ。貴様の勧誘など幾ら金を積まれてものらん!」

 白い騎士様は宰相の勧誘を断ってくれた。


「白い騎士様!」

 私はその言葉がとても嬉しかった。


「ふんっ、カーラ王女の騎士か。ではこれでどうだ?」

 宰相はいきなり私の縄を引くと、私を後ろから抱き寄せると私の首筋に剣を突きつけてくれたのだ。


「白い騎士とやら。降伏せよ。しなければ王女の命がないぞ」

 宰相は言い放ってくれた。

「卑怯な何をするのだ」

 白い騎士様は動揺した。

「な、何をするんだ。レーネン、卑怯だぞ」

 後ろからフェルディナントも文句を言ってきた。


「これはこれはフェルディナント様ではありませんか。我が方に味方するとおっしゃって頂いたはずですが、これはどういう事ですかな」

 宰相が嫌みを言ってくれた。


「何を言う。私は反逆など認めたことはない。それを証拠にこうしてカーラ王女を守るために駆けつけたのだ」

 フェルディナントは私を見てくれた。


「ふんっ、物はいいようですな。まあ、どちらでも良いのですが、全員、王女の命が大切ならば剣を捨ててもらいましょうか」

「何をしている。貴様こそ剣を捨てろ。騎士団が帰って来れば貴様に勝ち目はないぞ」

「帰ってくる前に王女が死にますが」

 レーネンは笑ってくれた。


「私のことなど構わずに、宰相を殺してください」

 私は叫んでいた。この国のために殉じる事など物心が付いた時から覚悟はしていた。

 宰相の野望を打ち砕くためならば本望だった。


「ふん、生意気な王女だな」

 宰相は私の首筋に剣を突きつけてくれた。

 私は首元にチクリと感じて熱くなった。

 血が少し流れたみたいだった。


「貴様、なんと言うことをするのだ」

 フェルディナントが動揺して叫んだ。


「さあ、剣を捨ててもらいましょうか」

 宰相がヒステリックに叫んでくれた。

「私のことなどどうでも良いのです。さっさと私ごと宰相を殺してください」

 私も叫んでいた。

「煩い! いい加減に静かにしろ!」

 宰相が叫んでいた。


「判った、剣を捨てよう」

 白い騎士がそう言うとこちらに歩き出したのだ。

「騎士殿!」

 フェルディナントは驚いて白い騎士を見た。


「やむを得ん。カーラ様の命の方が大切だ」

 その間も白い騎士はぐんぐん近付いてきた。

 そして、白い騎士が剣を前に捨てようと手を前に投げだした時だ。

 その剣を思いっきり上に投げ捨てたのだ。


「えっ?」

 思わず周りの皆は騎士の投げた剣を見たのだ。

 剣は大きく空に向かって投げられていた。

 そして、顔を上げた宰相の視界に太陽が入ったのだ。


「うっ」

 宰相が声を上げた。

 私も剣を見ていたので、思わず視界が真っ白になった。

 しかし、その前に私は白い騎士様が目の前から消えたのがみえた。

 瞬時のことに何が起こったか判らなかったが、


「ギャーーーー」

 後ろから宰相の叫び声がして、宰相の手と剣が私から離れるのが判った。

 思わず、バランスを崩した私は倒れそうになった時にがっしりとした腕に抱き留められるのを感じた。

 この感覚はこの前白い騎士様に助けられた時と同じだった。

 白い騎士様に抱き留められていたのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

このお話の次の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



このお話の前の話

『男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです』https://ncode.syosetu.com/n7673jn/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ