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もふもふ子犬の恩返し・獣人王子は子犬になっても愛しの王女を助けたい  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して


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ころちゃん視点 ベイル達に見つかりましたが、なんとか逃げ出すのに成功しました

 俺は結果的に十人もの傭兵を見逃して解放してしまった王国の連中に怒りを覚えた。


 せっかく書き置きで宰相反逆の恐れありと残してきたのに!

 俺が必死に書いた書き置きが無駄になったということだった。

 俺が憤っていた時だ。俺は警戒心が少し緩んでいたのかもしれない。


「あれ、お前、犬ころじゃないか?」

 俺は後ろからいきなり声をかけられたのだ。

 慌てて後ろを振り返ると、長屋で寝泊まりした破落戸の一人だった。


「おい、ベイル、犬ころがいるぞ」

「馬鹿言うな。あの犬ころは王女の犬だったじゃないか!」

「でも、ここにいるぞ!」

 俺は慌てた。

 捕まえようとする破落戸の親父の手から逃げ出す。


 当然、ベイルらの前に体を晒すことになった。

「な、なんで王女の犬がここにいるんだ?」

「そんなの判るか?」

「取りあえず、捕まえろ!」

「そうだな」

 男達が一斉に俺に向かってきたのだ。


 俺は慌てた。

 ベイルらがいなければ情報を掴むために、他の傭兵達に姿を見せればうまくいけばまた飼ってくれるかもしれないと思っていたのだが、ベイルらがいたのなら駄目だ。あの捕り物劇の後、カーラに抱きしめられた俺をベイル達は見ているのだ。


 ここにいるのさえ知られたら、何故カーラの犬がここにいるのだ? と不審がられる。現実にそうなっていた。でも俺は、まさか宰相の手下が、王宮の地下牢の番人にまで及んでいるとは想像だにしていなかったのだ。


 前回はベイルに捕まってしまった。絶対に今回は捕まる訳にはいかなかった。

 俺はベイルに近づいてはいけないと思って、今度はブルーノに向かった。

 ブルーノはまさか俺が自分に向かってくるとは思っていなかったみたいで、油断していたようだ。


「おい、犬ころ、待て!」

 そう言って手を伸ばしてくれたが、遅い!

 その時にはブルーノの股の間を走り抜けた。

 だけど、今度はその横からベイルが近づいてきたのだ。

 やばい。こいつは避けた方が良い。俺は逆に向かった。

 しかし、その時に目の前の扉が開いたのだ。


 げっ、後ろからはベイルが前は扉、左はブルーノだ。隙間は右の小屋の中しかない。

 開けた男が驚いて俺達を見たが、その足の間を駆け抜けて、俺はやむを得ず、小屋の中に飛び込んだのだ。

 これは下手したら、前回と同じパターンだ。


「おい、犬ころがそっちに行ったぞ」

「捕まえろ!」

 ベイルとブルーノの声が後ろからする。

 中にいる破落戸どもは元々俺も知っている者しかいなかった。


 ノース帝国の奴らはまだ来ていないみたいだ。

 俺を捕まえようとした破落戸達の足の間を駆け抜ける。

 男達はまだ戸惑っているみたいだった。

 俺は必死に出口を探した。


 でも、扉は無く、窓も閉まっていた。

 これはとてもやばい!

 俺は走りながら飛び出せる隙間を探す。

 でも、そんなものは元々ないのはよく知っていた。

 後ろから男達が追いかけてきた。

 二段ベッドの下を駆け抜ける。


「ギャッ」

 一人の男が、ベッドの下にそのままの勢いで潜り込もうとして頭を打ってもがいていた。

 俺は次のベッドの下に潜り込む。

 これは本当にやばくなってきた。


「おい、ブルーノは向こうに回れ」

 ベイルが指示してきた。

 と言うことはベイルは後ろから俺を追っているみたいだ。

 俺は、はあはあと息が上っていた。


 でも、ここで捕まる訳にはいかなかった。今回捕まればおそらく宰相に突き出される。

 この危機的状況をなんとしてもカーラに伝えなければいけないのだ。

 俺はベッドの下で息を殺した。


 向こうのベッドに足が見える。ブルーノの足だ。でも、向こうはベッドと壁の間の隙間が少ない。そちらに逃げたら捕まえられる可能性が高い。

 それに向こうは足が六本、三人分見えた。

 来た方を振り返ると足は二本だけだった。

 ベイルだ。他にももっと後ろにいると思うが、まだ追いついていない。

 こうなったらもう一か八かだ。

 俺はベイルの足の間を駆け抜けることにしたのだ。

 息を整える。

 足がゆっくりと俺の隠れているベッドの側に来た。


 今だ!

 俺は飛び出したのだ。

 ベイルの足下を駆け抜けようとした。

 でも、ベイルが足を閉じてくれた。

 そして、次の瞬間、俺を蹴飛ばそうとしてくれたのだ。

 凄まじい蹴りだった。

 まさか、ベイルが俺を蹴って来るとは思ってもいなかった。

 俺は子犬だぞ!

 ベイルの蹴りなんて受けたら下手したら死ぬのに!

 なんて酷い奴だ!

 でも、俺は獣人だ。幾ら子犬だといっても、運動神経は発達しているのだ。その蹴りをとっさに真横に飛んで躱した。


 ベイルの足は下段のベッドの木枠を思いっきり蹴っていた、弁慶の泣き所だ。

「ギャッ」

 ベイルは足を押さえてその場に倒れ込んだ。

 ざまあみろだ!

 俺は人間だったらそう叫んでいただろう。


 俺はそのまま、出口に向かった。

「おい、捕まえろ」

 痛さにのたうつベイルに変わってブルーノが叫んでくれた。

 俺は捕まえようとする男達から逃れながら、入り口に向かう。


 しかし、無情にも入り口は閉められていたのだ。

 これはやばい。下手したらまた、ベイルが復活してくる。

 今度は斬り殺されるかもしれない。この体でベイルの剣を避けられる自信は無かった。

 くっそう、普通人間の状態の方が強い獣人なんてほとんどいないのだが。

 俺は今くらい獣化が子犬だったことを後悔したことは無かった。


 でも、神は俺を見捨てなかった。

「ベイル! ノース帝国の兵士達は5日後に到着するのが判ったぞ」

 叫んで扉を開けて飛び込んできたのは護衛隊長のマドックだった。

 俺はこれ幸いとその開いたドアから外に飛び出したのだ。


「マドックさん、犬だ!」

「犬だと」

 マドックらが振り返った時は俺は林の中に飛び込んでいたのだった。



なんとか逃げ出せたころちゃんでした

そろそろお話は佳境に突入します

続きが気になる方はブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾


この土曜日から新作開始予定です。

こうご期待

仮題は『悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私は今日も頑張ります』

こちらもよろしくお願いします


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

このお話の次の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
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表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
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3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

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ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

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2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



このお話の前の話

『男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです』https://ncode.syosetu.com/n7673jn/

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