表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もふもふ子犬の恩返し・獣人王子は子犬になっても愛しの王女を助けたい  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/84

ころちゃん視点 傭兵小屋には王宮の地下牢に捕まっているはずの傭兵達が何故かいました

 翌朝、俺はコリーの胸の中から起き出した。


 今日も空は晴れていた。太陽の光が窓のカーテンの隙間から降り注いでいた。

 その光が無邪気に寝ているコリーの顔を照らしていた。

 俺はこの宰相の館に二回も隠して俺を中に入れてくれたコリーに感謝の気持ちで一杯だった。

 その感謝の意味を込めて、俺はペロペロコリーを舐めてやったのだ。


「えっ、しろちゃん、おはよう」

 コリーは眠そうに目をこすりながら俺を抱きしめてくれた。


 コリーは起き出して身支度を調えると食堂にご飯を食べに行った。

 宰相の反逆まであと1週間くらいだ。

 今日こそはノース帝国の兵士達が来る時間を正確に掴まないと!

 そのためには今日は足を伸ばして前に俺がいた傭兵達の小屋まで行ってみよう。

 俺は気を引き締めた。

 そうだ。感傷に浸っている暇はないのだ。


「しろちゃん。今日は静かにしているのよ」

 コリーは戻ってきて俺に食事を与えてくれながら、話してくれた。

 衣装棚の扉は開かないように紐で止めてくれたんだけど。

 まあ、それはいざとなったらどうでもなる。


「わん!」

 俺はコリーに元気に返事したのだ。

 心にも無い返事を!


「じゃあ、行ってくるわ」

 笑顔でコリーは出ていった。


「わんわん!」

 一応周りにはバレないように俺は小さく吠えたのだ。

 そう、今まで面倒見てくれてありがとうとお礼を吠えたのだ。


 そしてコリーの足音が遠ざかると、俺は飛び上がって、扉の取っ手を二つ結んでいる紐に手をかけたのだ。そして、噛み付いたのだ。

 歯を引っかけると思いっきり引いたのだ。

 ビリと紐が切れた。

 そして、扉を開ける。

 俺は絶対に登っては行けないとコリーから言われていた衣装棚の扉を駆け上った。

 そして、天井の隙間から天井裏に飛び乗ったのだ。

 そのまま天井裏屋根裏を歩いて、配管のところまで行くと今度は一階に降りた。子犬の体だからギリギリ通れるのだ。それでも二三回引っかかった。俺は苦労してなんとか、一階に降りた。そして、外に出られないか探ってみたのだ。


 配管はそのまま地下に繋がっているんだけど、俺は地上に出たいのだ。

 出られないのなら、一階の天井裏から開いている部屋に飛び降りて外に出た方が良かったか、と俺は少し後悔した。俺が成人の犬ならば木の壁を突き破ることも出来たかもしれないが、子犬の体では難しい。

 俺は丹念に壁を調べると、一カ所、木が嵌めてある所を見つけたのだ。

 手でトントンと叩いてみるとスポンと外れた。

 何でこんな事になっているのか判らなかったが、この隙間なら俺一匹くらい簡単に出られる。

 俺は周りを注意深く見回した。

 見る限り誰もいない。

 すぐ傍に植栽があるのを確認して、俺は注意してゆっくりと外に降り立った。

 そして、植栽まで一気に走る。そこで息を潜めて辺りを確認すると、気付いた者はいないみたいだ。

 朝まだ早いからかあまり人もいなかった。


 俺は植栽続きに見つからないように走って林の中に入ったのだ。

 そして、道なき道を突き切って傭兵小屋に向かったのだ。


 子犬の体では結構大変だったが、十分くらいで傭兵小屋に着いた。

 傭兵小屋は外から見ても誰がいるかは判らなかった。

 窓も全て閉まっていた。


 どうしたものかと思って隠れて見ていると、傭兵小屋の扉が開いたのだ。

 丁度良かったと俺は出てきた男を見て驚いた。

 なんと、出てきた男は俺をこの小屋で飼ってくんれていたベイルだったのだ。

 俺は目を見開いていた。

 何故ベイルがここにいる?

 本来ベイルは王宮の地下牢にいたはずだ。

 俺は見間違いかどうか、もう一度よく目を凝らして見た。

 でも、無精ひげが伸びた点を除けば確かにベイルだった。

 どうして地下牢にいるはずのベイルがここにいるんだろう?

 俺が不審に思って見ていると


「ああああ、久しぶりの柔らかい寝床は最高だったな」

 なんとそこには伸びをしたブルーノまで出てきたのだ。

 こいつらあの王宮の地下牢を脱走してきたのか?

 でも、王宮の地下牢を脱走など出来るのか?

 こんな事なら王宮の地下牢も見ておけば良かった。

 俺は後悔したのだ。


「そうだな。本当にここしばらくは硬くて冷たい石の上で寝さされていたからな」

 ベイルもため息をついて文句を言っていた。

「本当ですぜ。昨日は柔らかいのベッドの上で久しぶりにゆっくり出来ました」

 そう言いながらもう一人出てきた。この男は俺も長屋で一緒に寝たことのあるベイルの手下だった。


「でも、俺としたらどのみち柔らかい布団で寝られるなら久しぶりに女を抱いて寝たかったぜ」

 ブルーノがそう残念そうに話すと、

「まあ、そう言うな。宰相閣下もわざわざ事を起こす前に、俺達全員を助けてくれたんだ。そこは感謝しておけ」

 ベイルがブルーノを慰めた。

「ふんっ、それだけ俺達の事を頼りにしているということだろう」

 そう言うとブルーノは大きなあくびをした。


「しかし、王宮の地下牢の番人まで寝返っているんじゃ、王国もどうしようもないな」

 ブルーノの言葉に

「それだけ宰相閣下の力が強いと言うことさ」

 ベイルが言うと

「そうにちげえねえ」

 皆頷いて笑い出したのだ。

 こいつら三人がいると言うことは捕まえた十人全員が逃げ出したということだろう。

 せっかく王宮には宰相の反逆に注意しろと書き置きを置いてきたのに、王国の連中は何をしているのだ?

 俺は破落戸どもを逃がした王国の連中の油断に怒りを覚えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

このお話の次の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



このお話の前の話

『男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです』https://ncode.syosetu.com/n7673jn/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ