表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もふもふ子犬の恩返し・獣人王子は子犬になっても愛しの王女を助けたい  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/84

宰相の屋敷にアレイダの侍女になついて入れてもらいました

 俺様はそれから必死に宰相の邸宅の前まで歩いた。

 前回は探しながら12時間くらいかけて歩いたのだが、今回は4時間くらいで歩けた。

 子犬の足で4時間は結構きつかった。

 まあ、一度歩いた道はよく覚えていた。


 しかし、宰相の屋敷は、前に来た時と違って結構警戒してるみたいだった。

 前は門の外には門番が立っていなかったのが、今回は兵士が二人も立っていたのだ。

 表側も見たが、こちらは6人も立っていた。

 完全な厳戒態勢だった。


 高い塀に囲まれて中は見えなかったが、既に多くの兵士達が入り込んでいるのかもしれない、俺はとても不安になった。

 これでは中には簡単には忍び込めない。


 俺は仕方なしに、外の草陰に潜んで様子を見た。出入りする人を眺めていたが、結構人の出入りがあるのだ。前はそこまでの出入りはなかったように思えた。

 出入りする者の言葉に時々ノース語が聞こえた。

 ノース帝国の言葉はこの国の大陸公用語と良く似ているノース語だ。

 サウス帝国のサウス語も似たような言語だった。厳密に言うと違うのだが、とても似ていて、言葉には余り不自由はしない。ただ北の方言、南の方言という感じなのだ。

 俺達の獣人語はまた全然系統が違ったが。俺は王子だからこの大陸公用語も話せたし、当然獣人語も話せた。その俺がノース語だと思えたと言うことはノース帝国からもある程度の人員がこの屋敷に来ていると言うことだ。


 サウス語は聞こえなかったので、北からの者が多いのではないかと予測できた。

 フェルディナントの国はまだ態度を明らかにはしていないみたいだ。

 それで、どうやって中に忍び込むかだ?

 俺は悩んだ。

 前回はコリーにつれて中に入れてもらったから簡単だったが、今回はどうしよう?

 警戒は結構厳しそうで、この警戒の中を忍び込むのは難しそうだ。

 仲良くなった破落戸どもがいれば良かったのだが、今は全員がまだ牢の中だ。

 それと、前回の捕縛の時の事がどれだけ知られているかも気になっていた。俺がカーラの犬だと皆に知られていたらまずい。まあ、それを知っていそうな破落戸どもは全員牢の中だし、アレイダの侍女のコリーが知っているかもしれないという程度だ。


 知られていたら中には絶対に入れてくれないだろう。

 まあ知られていなくても宰相の妻が犬嫌いなので、侍女や騎士達も余程のことが無いと俺を中に入れてはくれないはずだ。


 その点、前回はコリーが簡単に中に入れてくれたし、本当に幸運だったのがよく判った。コリーのところを逃げ出した後も、ベイルが俺を気に入ってくれて、かくまってくれないと見つけ次第殺されたか外に放り出されたはずだ。その点はとてもラッキーだった。

 重ね重ねベイル達が牢にいるのが残念だった。


 宰相の屋敷は中に入ろうにも石の壁は高く、近くに登れそうな木も無かった。

 俺がどうしようか悩んでいる時だ。

 俺はコリーが屋敷から出て行くのを見つけた。

 買い物にでも行くみたいだ。

 俺は帰って来るのを待つことにした。一か八かコリーに当たってみよう。

 2時間くらいでまた、コリーが戻ってきた。


「わんわん」

 俺は入り口から離れたところでコリーに駆け寄ってみた。

「シロちゃん?」

 コリーは俺を見て声をかけてくれた。

「どこに行っていたの? 本当に心配したんだから」

 コリーは俺ところちゃんが一緒だとは全く気付いていないみたいだった。

 まあ俺はどこにでもいる白い子犬だし、コリーには区別がつかないみたいだ。


「どうしよう? でも、最近お屋敷の中は警戒が厳しくなったのよね。あなたを飼うのは難しいわ」

 しかし、あっさりコリーが突き放してくれた。


「クーーーー」

 俺は残念そうに尻尾を垂らして、涙目でコリーを見上げた。


「えっ」

 コリーは固まってしまった。

 俺の必殺女殺しのひと睨みだ。


「ちょっと、そんな目で見ないでよ。シロちゃん」

 コリーはとても困った顔をした。

 もう一息だ。


「クウーーーン」

 俺は鼻をコリーの手に擦り付けてみたのだ。


「えっ、シロちゃん」

 俺は俺を抱きしめたコリーの顔を舐めたのだ。

 もうこうなったらなりふり構っていられなかった。


「ちょっと、しろちゃん。そんなに舐めたら駄目だって!」

 コリーは嬉しそうに俺に舐められていた。

 そして、俺は恨めしそうな目をコリーに向けたのだ。


「ああん、もうそんな目で見ないでよ」

 半分涙目にコリーはなっていた。

「でも、シロちゃん。今度は逃げたりしない?」

 コリーが俺の目を見て聞いてきた。

「わん!」

 俺は思いっきり頷いたのだ。


「もう仕方が無いわね。絶対に静かにしているのよ」

「わん!」

 俺はそう吠えるとコリーの顔を大サービスで舐めまくったのだ。


「本当に絶対に静かにしているのよ」

 そう言うとコリーはなんと俺を服の胸の中に入れてくれたのだ。


 ええええ!

 これでまた3日間は人間にもどれない!

 俺は唖然としたが、中に忍び込むには仕方が無かった。

 俺は悟りの 境地で、コリーの胸の中で静かにすることにしたのだ。


 途中で門番の前を通る時に、前は鞄のチェックなど無かったはずなのに、今回は門番が中をチェックしているみたいだった。

 良かった。

 コリーが俺を胸に隠してくれないと見つかるところだった。

 でも、門番がたばこを吸うみたいで、においがして俺は鼻がむずむずした。

 クシュン!

 俺は思わずくしゃみをしてしまったのだ。

 俺はぎくりとした。


「な、なんだ?」

 門番が不審に思って聞いてきた。俺は完全に固まってしまった。

 まさか、女に服を脱げとは言わないだろう?

「ごめんなさい。ちょっとさっきからしゃっくりが止まらないみたいで」

 カーラが笑って誤魔化してくれた。

「そうか、なら通って良いぞ」

 門番の声を聞いて俺はほっとしたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

このお話の次の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



このお話の前の話

『男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです』https://ncode.syosetu.com/n7673jn/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ