表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もふもふ子犬の恩返し・獣人王子は子犬になっても愛しの王女を助けたい  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/84

結婚相手について諦めて父のところに行くと、もう少し猶予を与えられました

 翌朝、私は目覚めた。

 私の横には相変わらずころちゃんはいなかった。

 寝ているうちに帰って来るかと期待していたのに……


 ころちゃんはちゃんと生活できているんだろうか?

 雨露を凌げているんだろうか?

 ちゃんとお腹いっぱい食べられているんだろうか?

 私はとても心配だった。


 外を見ると今日は空も私の心の中のようにどんよりしていた。

 そう言えば昨日は泣きながら寝てしまった。

 父は宰相の息子と結婚しろと言っていたけれど、あのカエル公子と結婚するのは生理的に絶対に無理だった。

 私は本当にカエルとかトカゲとか爬虫類はだめなのだ。

 サーヤはいくら宰相の息子がカエルが好きでも大人になってまでポケットの中に持っていないと言っていたけれど、そんなの判らないではないの! いきなり目の前に飛び出してきたら、気絶しない自信はなかった。

 だから宰相の息子は私の相手にはなり得なかったのだ。


「おはようございます」

 そこにサーヤが入ってきた。

「おはよう」

 私が挨拶をすると

「今日のお召し物はどうされますか?」

 私の目に隈が出来ているのは確実なのに、サーヤはその話はしてこなかった。

 確実に私と視線を合わせないようにしているし、とても不自然だ。

 あの後、サーヤは父と喧々諤々やってくれてうまくいかなかったに違いない。

 私はがっかりした。

 ころちゃんの居所もわからない上に、私の婚約の問題が出て来てもう八方塞がりだった。


 朝食は二人して静かな朝食だった。

 時たま、サーヤが私の方を心配そうに見ているんだけど、私が視線を向けるとすぐに避けるのだ。

 余程腹に据えかねているんだろうか?


「サーヤ、お父様と話してくれたの?」

 仕方無しに私は話を振ってみた。


「姫様。私は陛下につくづく失望しました」

 サーヤは肩をすくめてくれたのだ。

「なんて言われたの?」

 私が聞くと

「陛下はこの国が大国に挟まれた大変厳しい環境にあることをあげられて、宰相の息子と結婚して王配として迎えれば、国としても安定すると申されたのです。

 本当に腑抜けになられました!」

 サーヤは怒りのあまり思わず机の上を叩いてくれていたのだ。


「私、お妃様がお亡くなりになる時に『娘の姫様のことをくれぐれもよろしく頼む』と言われていたことを忘れられたのですかと言ったのです。

 そうしたら陛下は娘の将来を託すには、地盤の一番しっかりした宰相の息子と結婚するのが最適だと申されたのでございますよ。本当に何が安定なんですか?

 私、姫様が泣いておられましたと申したのです。

 そうしたら陛下ときたら『まだ、カーラは見た目で判断しているのか』申されたので、

『女というものは配偶者の見た目も気にするのなのです。陛下はお亡くなりになった後で天国でお妃様に会われた時になんと言い訳なさるおつもりですか?』

 そう、私が申し上げたら黙ってしまわれました。

 自分でも絶対に姫様の相手としては宰相の息子はふさわしくないと思われているのでございますよ。なのに、国の安定のために姫様の幸せを捨てさせようとするなんて、最低ではありませんか」

 サーヤが憤ってくれたが、国の安定のためと言われると私はなんとも言えなかった。


 国のためには私は自分の好き嫌いは言ってはいけないのかもしれない。

 その場合は毎日気絶するかもしれないけれど……


 その日も王宮の中をころちゃんを探したのだった。

 王宮の皆はいつもと比べてもとても皆親切で、同情的だった。

「姫様、これでも食べて元気になられませ」

 と言って厨房では焼き立てのクッキーを料理長がくれたり、

「姫様。お気を確かに。我ら騎士一同どんな事があっても姫様をお守りいたします」

 訓練場に行けば騎士団長からは言われた。


 どうやら、父が私に宰相の息子と結婚したらどうかと言ったことが皆に伝わっているみたいで、皆憤ってくれているみたいだった。

 しかし、私はこの国モルガン王国の次期女王なのだ。

 自分の好みなどこだわって、国を滅ぼすわけにも行かなかった。

 私が半ば諦めていると、その日の午後、また父から呼び出しがあったのだ。


「姫様、どんな事があってもお断りください」

 サーヤたちの応援の元、私は父のもとに向かった。

 しかし、私の心の中ではこの国のためには我儘を言ってはいけないと半ば諦めていたのだ。

「姫、昨日の話だが」

 父が言い出してくれた。

 私は自分の気持ちをほとんど諦めて、父が言うことをそのまま頷こうと思っていた。

 私の我儘で宰相と争いになって、下手して反乱など起こされたら多くの騎士たちが死ぬのだ。

 私はそれは嫌だった。

 私一人が諦めることによって、皆が死なないならそれが一番良かった。


「私も早急に事を運びすぎたようだ。

 周りからも姫の婚約は早いのではないかと言われたのでな。

 もう少し、じっくりと考えてみよ」

 と父は予想外のことを言ってくれたのだ。


「宜しいのですか?」

 私が驚いて聞くと、


「よいよい。宰相が急き立てるものだから急いだほうが良いかと思ったのだが、私とそなたの母の妃が結婚したのも妃が20の時であった。その方はまだ16だ。それまでにじっくりと考えるが良い」

 父は笑って言ってくれた。


「それにこの国の近隣はノース帝国以外にもサウス帝国やセントラル王国もある。東には獣人国もあるしの。姫の相手は世界各地から探してみようと思ったのだ。その中には姫の気に入る者も出てまいろう」

「判りました」

 私はほっとした。


 やはりいくら国のためでも、生理的に合わない宰相の息子との結婚は嫌だったのだ。

 でも、この父の決断が私を危険な目に遭わすことになるなんて私は想像だにしていなかったのだ。



ここまで読んで頂いてありがとうございます。

とりあえず宰相の息子の件を断ったカーラ。宰相の次の手は

続きは明日更新です。


『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』

https://ncode.syosetu.com/n7240kb/

こちらは毎朝と夜更新中です。

面白いので是非

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

このお話の次の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



このお話の前の話

『男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです』https://ncode.syosetu.com/n7673jn/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ