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もふもふ子犬の恩返し・獣人王子は子犬になっても愛しの王女を助けたい  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して


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ころちゃん視点 追い詰められて破落戸の詰め所に隠れました

 俺は地面に難なく着陸した。


 子犬の姿でだ。

 二階からなら楽勝だった。

 これならコリーの三階の部屋からでも獣人の力を使って、飛び降りられたのではないだろうか?

 俺はやればよかったと後悔した。

 もっと早く行動に移していれば、今頃多くのことをもっと探れたはずだ。


「おい、なにか飛び降りてきたぞ」

「あっちだ」

 しかし、俺の考えはこちらに駆けてくる兵士たちの声で妨げられた。

 見つかったらやばい!

 俺は慌てて駆け出した。


「おい白いのがいたぞ」

 兵士の一人が叫んだ。

 やばい、見つかった。


「何だ子犬か」

「馬鹿、子犬でも犬は犬だ。見つかったら奥様からどやされるぞ」

「それもそうだ」

 兵士たちはそう言い合うとこちらに向かってきたのだ。

 兵士たちは必死に俺を捕まえようとしてくれた。


 前から兵士たちが駆けてくるので、横に向かうとそこには兵士とは違う人相の悪い男がいたのだ。

 こいつは宰相に飼われている破落戸の一人だろう。

 金で雇われているだけに兵士と違って結構強いはずだ。

 男はこちらを見ると呆れたような顔をした。


「これって子犬じゃないか」

「おい、ベール真面目にやれ」

 後ろから他の破落戸が注意していた。

「へいへい」

 男はそう言うと剣を握ってくれた。

 俺はやばいと思って更に横に向かう。

 男は追っても来なかった。俺を脅しただけらしい。子犬に剣を向けるのも馬鹿らしいと思っているみたいだ。

 兵士たちが後ろから追ってきた。俺は逃げようと走ったが、声を聞いて前から兵士が駆けてきた。


 ど、どうする?

 俺は一瞬戸惑ったが、

 ええい、ままよ!

 そのまま前に駆けていくことにした。


「よし来たな」

 そう言って手を伸ばしてくるその兵士の手をかいくぐると、その兵士の股の間をすり抜けた。

「「ギャ」」

 その瞬間、俺を追いかけてきた兵士と捕まえようとした兵士がぶつかったのだ。

 後ろを見ると二人して転けていた。

 それに数人の兵士たちが巻き込まれる。


 チャンスだ。

 俺は必死に庭の方に駆けた。


「おい、白いのがそっちに言ったぞ」

 兵士たちの声をバックに、俺は植え込みに飛び込んだ。

 体中木の枝や葉っぱが付いてくるがそれどころではない。

 強引に植え込みを抜けると庭を突っ切って森の中に駆け込んだのだ。

 ここまで来れば大丈夫だろう。

 俺が思った時だ。


「おい、いたか?」

「いや、いない」

「遠くには行っていないはずだ。必ず探し出せ」

 兵士たちの声がすぐ近くでした。

 俺は兵士たちが執念深いのに驚いた。

 慌てて森の奥に向かう。


 しかし広い屋敷だ。森がこんなにあるなんて、どれほどの大きさなのだろう。流石にこの国を牛耳る宰相の屋敷だけはある。

 しかし、兵士たちも執念深いものだ。

 たかだか子犬にそこまで必死に探すほどのことではないだろう。

 まあ、主人の妻が犬嫌いというのもあるとは思うが……

 あのガマガエルの鼻に噛みついたのが悪かっただろうか?

 まあ、俺とししては噛みついたことに後悔なんてしていないが。この姿が人間だったら俺のカーラに懸想して、良からぬことを企んだ段階で殴り殺していたかもしれない。


 そんな事を考えていると、大きな小屋の前に出た。

 何の小屋だろう。入口に灯りがついていて、扉が開け放たれていた。

 中はガラリとして机の上には食べ物が放置されていたのだ。

 俺は腹が減っていたので慌てて飛び乗ると食べ物をいただき出したのだ。

 肉を中心に必死にガツガツ食べる。

 もう綺麗さもクソも関係なかった。


「おい、いたか?」

「いや、いない」

 兵士たちの声が聞こえた。

「もう少し先も探すぞ」

 こちらに迫ってくる。

 俺は慌てて机の上から飛び降りると、隠れられるところを探す。

 とりあえず、椅子代わりの木箱があるのでその一つに潜り込んだのだ。


「おい、この小屋が怪しいんじゃないか」

「しかし、ここは傭兵の小屋だぞ。勝手に調べたらまずかろう」

「しかし、誰もいないみたいだぞ」

「おい、お前ら、人の小屋に入るなよ」

 そこに声がした。


「中に子犬がいるかどうか確認したい」

「やりたければ俺を切ってから調べたらどうだ」

 その声はさっきベイルと呼ばれた凄腕の男のようだ。


「いや、中の確認は頼んだぞ」

 兵士たちの去っていく足音がした。


「へいへい、呼び出しがかかっていってみれば子犬が一匹暴れ出しただと、そんなの侍女でもなんとかなるだろう」

 ベイルがブツブツ言いながら入ってくる足音がした。

 やばい、コイツラ俺をさがすんだろうか?


「まあ、そう言うな。ここの奥方は犬が大の嫌いだそうだ」

「はん、子犬一匹にやっつけたところで誰にも自慢できん。娼館の女どもに聞かせたら『野蛮人』とか言って敬遠されるぞ」

「まあ、それはそうだが」

 男たちはそう言ってドカリと席についてくれた。

 どうやら男たちは探すつもりはないようだ。俺様はホッとした。


「おい、ベイル。貴様、俺の肉を食ったな」

 俺様が安心した時だ。男がいきなり怒り出した。

 やばい、俺が食べた肉がその男の肉だったようだ。


「バカ言え! 俺はお前と一緒に出ただろうが」

「しかし、お前が最後に出ただろうが」

 男は怒っていた。


「貴様の肉なんか食っても仕方がないだろう」

「誰かが入って俺の肉を食ったのか」

「肉ならまだ帰ってきていないやつのを食えば良いだろう」

 邪魔くさそうにベイルが言ってくれた。


「それもそうだな。」

 男は納得してくれたみたいだ。

 俺は家探しされずにホッとした。

 それから男たちが次々に帰ってきて、俺は椅子の中で静かに潜んでいたのだ。

 男たちは結構何でも話してくれた。


「しかし、お館様が陛下にカーラ姫をあのベンヤミンの嫁にほしいって正式に願い出たそうだぞ」

 その中のひとりの言葉に俺はぎくりとした。


「ベンヤミンってガマガエルか」

 一人の言葉に俺は言い得て妙だと思った。あの男は本当に見た目はガマガエルだ。


「それは本当なのか?」

「そう、兵士たちが話しているのが聞こえたぞ。もしそれがうまく行けば俺達が姫を拐う必要もないってことだな」

「まあ、話はどうなるかわからないからな。引き続き出番を待つしかなかろう」

 ベイルが言ってその話は打ち切りになった。


 俺様は焦った。もしそれが事実で国王がそれを認めたなら、俺様の出番がなくなる。

 でも、俺はカーラをあのガマガエルだけには渡したくなかった。

 どうすべきか、俺はその日かられらが布団に入って寝静まるまで一心不乱に考えたのだ。


ここまで読んで頂いてありがとうございました。

続きが気になる方はブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾


明日からは1日一回お昼更新になる予定です。


朝と夜は

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』

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を更新予定です。

こちらもよろしくお願いします。

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

このお話の次の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/


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3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

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ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

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2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
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表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



このお話の前の話

『男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです』https://ncode.syosetu.com/n7673jn/

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