表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/84

孤児院の慰問の帰りに子犬を拾いました

このお話見つけて頂いてありがとうございます。

本日三話更新予定です。

短編を元にした長編版です。

 私はカーラ・モルガン、この国の王女よ。

 それもお父さまの国王の唯一人の子供なの。

 本来ならば皆に敬われて奉られる立場なのに。

 普通の国ならば……


 でも、この国モルガン王国は小国でいつも大国の間に立って苦労している。最近は北の大国ノース帝国の側室の王女を娶った宰相が我が物顔に宮殿内を歩いているの。大国の一つと関係の深い宰相が力を持ってきて、我が王族は蔑ろにされがちなの。


 孤児院の慰問にサーヤと騎士たちを引き連れて向かおうとした時だ。


「ああら、カーラ様。どちらにいかれますの?」

 私は一番捕まりたくない相手に捕まってしまった。

 宰相の娘アレイダだ。

 この娘はいつも私に絡んでくるのだ。取り巻きの多くの令嬢と一緒に……


「いえ、ちょっとそこまで……」

 私が言葉を濁すと、


「あらそうですの。でもその衣装でお外に出られるのはどうかと思いましてよ」

 アレイダが私の地味な衣装を目ざとく見つけて指摘した。


「本当ですわ。この国の王女様にしてはあまりにも地味ではありませんこと」

 今から孤児院に行くから汚れていい格好だからこの服にしたのに……


「本当にアレイダ様と比べるととても地味ですわ」

「まあ、コリー様、アレイダ様の衣装と比べるのは可愛そうですわ」

「そうですわよ。何しろアレイダ様は宰相様の娘ですもの。このモルガン王国の中でも一番の衣装をお持ちですわ」

「ああら、よくおわかりになりまして。この衣装はサウス帝国のフェルナンド殿下から頂いた衣装で東洋の絹という布を使っているそうですわ」

「まあ、サウス帝国の殿下から頂いたのですか!」

「それはとても高価なものなんでしょうね」

「まあ、お値段は判りませんけれど、王女殿下では中々手に入らないと存じあげますわ」

 自慢気にアレイダは言ってくれた。


「でもアレイダ様もお母様が北の大国ノース帝国の皇女様で、婚約者が南の大国サウス帝国なんて凄いですわ」

「北と南の帝国がアレイダ様の味方なんて天下無敵ですわね」

「本当に王女殿下と並んで立たれたらどちらが王女様か判りませんわ」

「コリー、それは王女殿下に失礼よ。ねえ、殿下」

 私もいい加減にアレイダに付き合うのに疲れてきたので、


「いえ、私は急いでおりますので、これで」

 これ幸いと逃げ出そうとしたのだ。


「左様でございますか? これから王宮の庭園でお茶会を開きますのに、殿下がいらっしゃらないなんて、残念ですわ」

 アレイダの声に私の後ろについていたサーヤと騎士たちは今にも怒りだしそうになっていた。

 私が王宮の女主なのに、その女主を差し置いて、宰相の娘が我が物顔で王宮を闊歩しているのだ。

 本来ならば許されることではなかった。


 でも、宰相は北の帝国の側室の娘を妻にしていたから、力は強いのだ。下手したら王家よりも支持する貴族の数は多い。そんな宰相の娘とやり合ったら、大変なことになる。


 私は騎士たちを押さえつつ、王宮の外に出たのだった。



 孤児院の慰問は楽しかった。子供たちは無邪気で王宮内のようなギスギスした感じはなかった。

 私は久々に童心に帰って子供たちと遊んであげたのだ。

 子供たちが疲れて昼寝している間に、私達は帰路についた。


 私は久々にリフレッシュできた。

 でも、また、アレイダらが闊歩する王宮に帰るのかと思うとげんなりした。


「はああああ、このまま何処かに言ってしまいたいわね」

「姫様、そんな事をおっしゃいますな」

 思わず呟いた言葉を、サーヤに注意されてしまった。


「我々共は姫様の味方です」

 サーヤの言葉に、騎士たちも頷いてくれるが、最近は宰相も多くの兵士を抱えているようで、まともに戦ったら下手したら負けるかもしれない。

 どちらを見ても良いことはない。


 そう思ってうつむいた視線の先の木々の茂みの下に私は白いものを見つけた。

「なんだろう?」

 思わず私は駆け寄っていた。


 そこには傷ついた子犬がいたのだ。


「まあ、大変だわ」

 私は思わず子犬を抱き上げたのだ。


「姫様、汚れます」

「構わないわよ。それよりもすぐに連れて帰って手当をしなければ」


 私は子犬を抱きかかえて急いで王宮に帰ったのだ。



 王宮の典医に見せると、

「まあ、姫様。どこから拾ってこられたのですか?」

 咎めるように言われたが、言葉とは裏腹にあっさりとヒールをかけてくれた。

「なにかの動物に襲われたみたいですな。まあ、これで問題ないでしょう」

 典医はあっさりと言ってくれた。


「ありがとうございます。先生」

 私は子犬を抱きながら言った。



「姫様、お召し物が汚れてしまいましたし、お風呂になされては」

「そうね。この子も一緒に洗いましょうか」

「それがよろしうございます」

「きゃん」

 何故か子犬が叫んで逃げようとしたが、私はギュッと抱きしめた。


「この子の名前はどうされるのですか?」

 サーヤが聞いてきた。


「そうね、ころちゃんなんかどうかしら?」

「コロコロして可愛いですものね」

 サーヤも頷いてくれた。


「さあ、ころちゃん。きれいにしましょうね」

 私は子犬を抱っこしてオフロに入ったのだ。


 何故かころちゃんが私の胸の中で真っ赤になって恥ずかしがっているような気がしたが、もふもふしていて可愛いので、私はぎゅっと抱きしめていた。


 湯あたりでもしたのかお湯から上がった後に、ぐったりしていた。


ここまで読んで頂いてありがとうございます

ブックマークして頂けたら嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

このお話の次の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



このお話の前の話

『男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです』https://ncode.syosetu.com/n7673jn/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ