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海賊に攫われる

長編5作目になります。今回は、男性ばかりがいる国に連れて行かれた令嬢のお話です。どうぞ温かい目で見守って頂けると嬉しいです。


※宣伝になるのですが、11/4に『男爵令嬢の私が朝起床すると、隣に裸の若公爵様が寝ていてビックリした話』という9000弱のサラッと読める短編をUPしてます。こちらもお読み頂けたら泣いて喜びます!_ _)コクコク

『男爵令嬢の私が朝起床すると、隣に裸の若公爵様が寝ていてビックリした話』

https://ncode.syosetu.com/n9220jr/

マリアは船の中で揺られていた。


ほんの数時間前、船にも乗ったことが無かったマリアだったが、すでに船に飽きていた。イヤ、飽きているというか陸地が恋しい。今すぐにでも逃げ出したい気持ちでいっぱいだ。


(まさかこんなことになるなんて………)


船には喜んで乗った。まさかどこかに連れ去られるとは思わなかったから。


………さらわれたその日、マリアは物を売りに隣の領地まで足を延ばしていた。


マリアはノーラ男爵家の娘で貴族の端くれではあったが、自領は痩せた土地でこれといった名産品も無く貧しい。


それでも貴族の対面を保たなくてはならないから時折、町娘の恰好をしてたびたび物売りをしていた。裁縫が得意なマリアの作るキルト作品は高値で売れたのだ。


(たくさん買い上げてくれて舞い上がっていたら………痛い目を見たわ)


隣の領地まで足を延ばしたのは、幼馴染のケイルから大規模な商人団が港にやって来ると聞いたからだ。ケイルはキーマ男爵家という隣の領地の息子でマリアの幼馴染だった。


ちなみに、マリアは16歳、ケイルは17歳で歳も近く、性格も似たようなところがあったから仲もいい。


「はぁ、こんなことならばケイルにキルト販売している秘密を打ち明けておけば良かったかなぁ……」

「お嬢様がケイル様に物売りをしていることを知られることをイヤがったのではないですか」


隣に座って話すのは侍女のレルだ。彼女はマリアの4歳年上の20歳で、姉のようにマリアの世話をしてくれている。武術の心得もあったから、マリアの父が護衛を兼ねてマリアに付けていた。


「だって、うちが貧しいから娘が物売りをして家計を助けているなんてハズカシくて言えないじゃない」

「……まあ、我がノーラ男爵家は苦しいのは事実ではありますけど、好きな方に本当のことを告げるのは難しいですよね」

「好きな人だなんて!からかわないで!」


頬を赤らめたマリアは両手で顔を包む。彼女はケイルに想いを寄せていた。


ケイルの実家であるキーマ男爵家は、マリアの実家と同じ男爵でも自領に港を持っているので豊かだ。物売りをしなくてはならないマリアの男爵家とは全く違う状況だから、とてもじゃないがキルト販売をしていることなんて言えなかった。


船でやって来た商人達は、マリアの作ったキルト作品を見るとこちらがビックリするくらい感嘆の声をあげながら全てのキルトを買い上げてくれた。


キルト作品はコースターのような小さな小物から、ベッドカバー、壁に吊るして飾るタペストリーなど大きな物まであり、船にキルトを運び出すのを手伝っていたのだった。


船内に運び込まれたキルトの保管の仕方を丁寧にアドバイスしていると、船が揺れた気がした。気のせいかと思って説明が終わってから甲板に出ると、船は港から離れて海の上にいた。


「な、何で海の上!?」


マリア達が驚いていると、突然、態度が豹変した商団の男が話しかけてきた。


「まあまあ、大人しくなさっていて下さいよ」

「はぁ!?」


(私達、人攫いに捕まったの!?)


マリアは真っ青になったがレルは状況を把握すると、マリアを背に庇いながら近くにいた船員に飛び掛かり、隠し持っていた短剣をノドに突き付けて叫んだ。


「コイツを死なせたくなかったらすぐに船を岸に戻せ!」


レルの言葉に男達は一瞬呆気にとられた様子を見せたが、特別、焦った様子を見せなかった。


「……そりゃあ、できねぇ話だな。なんせ、キルトを作れんだからなぁ」


(キルトを作れるからって何なの?それよりもこの人達、コワイわ!これはきっと海賊ね!)


相手が凄んだ顔を見せるのでマリアは震え上がった。


たまに海に海賊が出るとは聞いたことがある。異国から女性を攫っていくなんていう話も聞いたことがあった。


海賊とレルが睨み合っていると、頭上に人の気配がして人が降って来た。帆綱を使って男が滑り降りて来たのだ。男はレルの口を塞ぐと、レルはそのまま気絶してしまった。


マリアは恐ろしくて何もできずにうずくまった………。


………そして今、マリア達は船室に監禁されている。捕まってから3時間程は経っているだろうか。


「う、う~ん」

「レル!大丈夫!?」

「この状況は一体……ハッ、私達は………誘拐されたのですよね!?」

「そうよ。レルが目覚めて良かった!」


レルは周囲を見渡すと、小ぎれいな船室にいることを知った。手足は縄で縛られておらず、よく見たら飲み物やらお菓子なども置かれている。


「…私達は縛られていないのですね…あの後、どうなったのでしょうか?」

「レルが気絶した後、私は怖くて海賊の言うまま大人しくしていたわ。そしたら、ここの船室で過ごせって」

「あいつらは海賊なのですか?」

「人攫いする人なんて海賊しかいないでしょう?」

「まあ、そうでしょうね。海賊は人身売買も平気でやりますから、私達もどこかに売られるのでしょう。一応、商品が傷つかないように配慮はされているみたいですが」

「売られるなんて、そんなのイヤよ……!」

「お嬢様、安心して下さい。私が必ずお嬢様を助けますので!」

「……すぐに気絶させられちゃう人に言われても」

「うぐぐ……申し訳ありません。先ほどは油断しました」


レルはきまり悪そうな顔をする。


「まあ、さすがにレルだってあんなに囲まれちゃ厳しいわよね。相手は海賊だし」

「下船する時が逃げるチャンスになるでしょう」

「分かったわ。泣いてても仕方ないから前向きに考える!」


マリアは根本的に楽天的で前向きな性格だった。


「レル、そこの窓から海に飛び込むのはどう?」

「飛び込んだ衝撃で骨が折れることもありますし、何より服が水を吸っておぼれ死にますよ。陸からも遠く離れているしムリです」

「そんなぁ……」

「しばらく様子を見るのです」

「分かったわ」


………船は進み続けて太陽が沈むのを3回見たところで、遠くに陸地が見えてきた。


「一体、今はどこにいるのかしら?」

「分かりませんが、このまま進み続ければあの見えている陸地に降りるのかもしれないですね」


陸がどんどん近づいて来ると、船の中にいた海賊達が慌ただしく動き出すのが分かった。掛け声が聞こえてくる。


船はどんどんと港に停まった。すぐに荷下ろしが始まる。マリアとレルも甲板に出るように言われた。


「着いたぜ。あんたたちの新天地だ」

「新天地?」


港には多くの着飾った人達が集まっていた。


「お嬢様!船を降りたらすぐに逃げますよ」


レルが小声で囁いた。マリアはうなずくと船から港につながる板を慎重に歩く。


レルはマリアが港に降り立ったのを見ると、マリアの手を引いて勢いよく走り出したのだった。

無事逃げられるか??


作品が“気になる&いいな”と思われましたらぜひ【ブックマーク&評価&いいね】をお願いします(*ˊᵕˋ )⁾⁾コクコク

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※投稿は毎日19時過ぎです。引き続きご高覧頂けるとウレシイです٩(*´꒳`*)۶

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