裏社会
『最強』になるという凄まじくざっくりとした目標も決まり、考えもまとまってきた。
一旦金をどうしようかと悩み、以前土魔法で作った金属を売ったのを思い出して早速作ろうとしたのだが、、、
全身をぶっとい針で刺されているかのような激痛がし、即座に辞めた。
心なしか体もだるいような・・・・いや、気のせいじゃないな、熱がある時のような倦怠感がある。
全身の筋肉というか関節というか、とにかく全身が痛い。
さて、早速詰んだな・・・・。どうしよう?
「学園にかえりたい・・・」
少なくともあいつがいなくなるまで帰れないんだけどな。
ああ、魔法書を置いてきてしまった。咄嗟の判断でネオだけは持ってこれたのは良かったけど。
そもそも何であいつきたの?おかしくない?オレなんかしたかなぁ?
思い出したら腹立ってきたな・・・・・。いつかバチボコに叩きのめしてやる!
「ねぇ」
「ヒィ!?」
ごめんなさい本当にすみません調子乗ってました2度と逆らったりしないので命だけは何卒ご勘弁を・・・・じゃなくて。
振り向くとそこにはやわらかく微笑を浮かべた女性が立っていた。
「ごめんね、驚かせちゃって。親はいないの?迷子?」
おや、これは家に泊めたりしてくれるパターンか?なら、テンプレ通りに行こう。
「旅のものなのですが、お金がなくて宿を取れないのです」
「あら、こんなに小さいのに旅をしてるの?本当に?どこからきたの?名前は?何歳なの?なんで旅をしてるの?どうしてお金がないの?」
流石にボロが出そうだったのでオレは茶を濁してその場を離れた。
重い体を引きずり、人目を避けて走った。
「いてっ」
「あぁん?なんだこのチビ」
何かにぶつかって転んでしまい、顔を上げるといかにもといった風貌の三下がそこにいて、周りを見ると薄汚れたスラムのような場所。
「てめーら、こいつバラして売るぞ」
もうやだ。
◇◇◇◇
「ハァ、最近トラブルに巻き込まれすぎだろ。少しは休ませてくれたっていいだろうがよ・・・・・・」
生意気にもオレに突っかかってきたゴミの上に腰を下ろし、深くため息をついた。空腹やら疲労やらでイライラする。
素手でブッ殺せるような雑魚が粋がってんじゃねーよ、死ね。
「あ、そうだ。お前ら金持ってない?色々あって無一文なんだが」
「あ、ありばず!あるがら、どうがごろざないで!」
1人だけ剣を持っていたリーダーっぽいやつが必死で懇願してくる。ムカついたから顔を重点的に狙ってやったのだが、反応が面白いな。
相変わらず魔法は使えない。それどころか魔力すら練ることができない状態だ。つまりこいつらはいたいけな少女に一方的にボコボコにされるうんち。
価値がないよ、価値が。
「こ、こここひらえせんうになりやふ、、、」
元出っ歯のチンピラが財布のようなものを差し出してきた。思わず歯を殴ってへし折ってしまったが、大丈夫だろうか?
よく聞き取れないが「こちらで全部になりやす」と聞こえなくもないな。
「え、こんだけ?舐めてんの?」
スッカスカですやん。
◇◇◇◇
「「「「「「「「「「お納めください、ボスッッッッ!!!!!!」」」」」」」」」」
うーん、どうしてこうなった。
今目の前には裏社会の住人のような悪い顔をした奴らが揃って頭を下げ、硬貨の山を差し出すという光景が広がっている。
オレは玉座に座り、そいつらを見下す感じだ。
どうしてこうなったのか自分でもよくわからなくなってきたので過去を振り返ってみることとする。始まりは半年ほど前。チンピラどもの財布を強奪した後からだ。
全然金を持っておらず、つい舐めてんのかと口走ってしまったオレだが、そいつらはこういった。
「や、舐めてねぇよ、です!金品は頭領が持ってんだよ、持ってます」
「あ、アジトへ案内します!殺さないで!」
イライラしていたオレは1人の頭を蹴り上げ、踏みつけて言い放った。
「うるせえよ、早く持って来い」
と。
自分でもなんでこんな偉そうなのかと今になって思う。けど、その時は本当の腹が立っていて、これでも堪えていたんだ。その点だけは理解しておいてほしい。
そしてそいつらについていくと、ボロ布をまとったやつなんかがこっちを見ていた。
後から知ったことだが、オレがボコしたのはその筋では有名な闇組織的なののメンバーだったらしい。それも武闘派。
魔力強化無しで圧勝できるくらいの奴らだったんだ。あとはわかるね?
そう、あっという間に全員を薙ぎ倒して頭領になり変わったんだ。
そしてオレは大金を手に入れ、腹を満たすことができた。
そして気分が良くなったオレは配下となった組員を引き連れて他の組に喧嘩を売りに行った。
ザッッコい配下達もしっかりと活躍していて、その日のうちに2つの組織を傘下に加えた。この時点でもうガッポガポ。オレは最高級の宿を貸切にして、眠りについた。
不満を持った奴に何人かで寝込みを襲われたけど、なぜか殺気を感じ取って意識が覚醒して返り討ちにできた。
ここまでネオを鞘から出してすらいない。ていうか触ってない。みんな弱すぎ。
それからオレは金に物を言わせて武器防具を買い揃え、土地を買い建物を建てた。新たなる拠点だ。
配下達には十分な食事と待遇、住処を与え、活躍に応じて昇進できるというシステムを作った。それ以外は前の頭領に任せておいた。するとどうだろう、みるみるうちに組織が拡大していくではないか。
ああ、うん。今までの環境が悪かったってことで組員のやる気が天元突破してた。
破竹の勢いとはまさにこのこと。
あと、戦闘に向かない人員は闇市に進出しているらしい。
ところで最近『裏社会の支配者』が現れたらしい。こわいこわい、関わり合いにならないようにしよう。
話題が逸れたが、こんな感じでこうなったのだ。訳がわからん。
参謀(元頭領)曰く、運営費と分けるために上納金として1割をオレに渡しているのだそう。1割であれはちょっとアタマオカシイ。
だが悪いことだけではない。
情報網も広がってきたことで色々わかるようになったからだ。
まず、学園は半壊した校舎を建て直して結界設備、警備体制を強化しているらしい。
そしてクソガキの位置もわかるように。ま、ここ離れたらわからなくなるんだけど。
そして最後に、オレに起こっている異変。
あの時から、魔力が回復していない。




