剣姫
空を飛びながら風刃を飛ばしまくっていると、いつの間にかゴブリンは全滅していた。
そういえば結構長い時間飛んでるのに魔力切れが起こらないな。ステータスを開くと減ってはいるが、ほとんど気にならないレベルだ。かなり燃費がいいらしい。普段使い確定だな。
『終了!続いて──』
飛んで客席に戻る。
そして武装解除。
「カッケェ!どうやってんだそれ!」
厨二病疾患ライ君が食いついてきた。まぁ予想はしていた。なので、
「グラーニってやつに教えてもらえ」
丸投げした。すまんね、グラーニ君。
多分そう遠くないうちに捕まるだろうけど、頑張ってくれ。あと精霊とかに関して教えてくれるとありがたい。
あ、近くに剣姫いるじゃん。ナンパしよーっと
「へいねーちゃん、かわいいね。オレとお茶しない?」
これでもかってほどテンプレのセリフが出てしまった。だって本当に可愛いんだもん。いい匂いするし。あー、猫ちゃんきゃわゆい。
「申し訳ありませんが、今はこの大会に集中したいので。」
まぁ、そりゃそうだわな。
「冗談はさておき、この猫ちゃん撫でてもいい?」
「まぁ、構いませんが・・・・」
毛並みはサラサラで、とても綺麗な色をしている。あー、これ浄化される。邪な気持ちが消えていく・・・・・・
「剣士の人とかってさ、すごい動きするけどどうやってんの?」
やば、癒されすぎて本音が出てしまった!なんか術でも使ってんのかこれ!?
「すごい動きとは、素の身体能力以上の動き、と言うことですか?」
「多分そうだね。」
「それなら『脈動』と言って、血液の流れに魔力を合わせるものです。あなたは確か精霊術師との戦いでできていたはずです。」
あれか。と言うかすごい素直に教えてくれるなこの人。
「慣れてくると常用も可能ですし、魔力で心拍数を上げて意図的にゾーンに入ることもできます。」
『Cブロック終了!お次はDブロックだー!』
おっと、Dブロックか。見ておかないと。
『まずはこの男、『土術師』テラー!』
ほほう、土かね。興味深い。他と違って使い方がはっきりしてない感じあるんだよな。対策法も考えておこう。
『開始!』
「土槍!」
土槍という声と共に半径5mくらい?に土の棘が生えた。近くにいたやつは動けなくなってるけど死んではない。どうするんだこれ。
「土弾!」
拳くらいのサイズの石が飛んでいって、ゴブリンの頭を砕いた。燃費悪くない?
「土剣」
無駄にかっこいい名前だな。地面から簡単な剣の形をした土の塊が生えてきた。
「メタル!」
今度は土が金属っぽい質感になり、テラは地面からそれを引き抜いた。そしてそれをどうするんだ、と思ったら地面から土のようなものが生えてゴブリンを拘束、締め殺していった。なんとか逃げたやつは土弾と土剣で殲滅されていく。剣術に関してはおれと大差ないな。
『終了!』
テラは地面をしっかり治していった。
土魔法って金属も操れるんだな。金属に関しては溶かせばなんとかなる。土や石は風刃で余裕。と言うかネオで斬れる。
他に良さげなやつはいないか。戻ろ。
「あ、そういえば名前なんていうの?」
リリィがフルネームなら申し訳ない。
「リリィ•ガルシアです」
「おれはクロノ•ニトロ。またあったらよろしく」
もうニトロが名前だって説明するのめんどくさくなってきたし選手名クロノだし、これで通すことにした。こっちの方が楽だ。
与えられた部屋に戻り、ベッドに倒れ込んだ。
「うぉぉぉ緊張したー!」
子猫の癒し効果があったとはいえあんな美人と普通に話すなんて、いつもなら考えられないことだった。
「ガルシアねぇ」
なんか聞いたことある。あとで誰かに聞いてみよう。
今日はもう疲れた。寝る。
◇◇◇◇
ぐ、体が痛い。ネオ外さないまま寝てたのか。寝返りが打てないじゃねぇかこのやろう!
まぁ、無機物にキレてもなんの生産性もない。次から気をつけよう。
あれ、まだ暗い。時計は、、、あった。二時か。中途半端な時間に起きてしまった。
一番やることない時間なんだよなー。もう眠くはないし、散歩とかしても迷いそうだし。
よし、簡易指南書を読んでおこう。足捌きの練習だな。
えーと、足を地面と平行にして、、、
─1時間後─
「ぜー、ぜー、ぐはっ」
これ、初心者にはきつい。キツすぎる。
流石に疲れたな。まだ時間はあるし、ちょっと横になろう。頭は冴えてるけど体が重い。けど、基本はできてきたので大丈夫だろう。剣術に興味も出てきた。しばらく習ってみようか?
できればいくつか同時に習っておきたい。
あとで調べよう。