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私、スライム娘になります!  作者: 日高 うみどり
第4章 半透明な瞳に映るこの世界は

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4-10話 争奪戦の足音

 この日、冒険者ギルド内は、いつもとは全く別の空気を見せていた。



 いつもなら夕方には賑わっているはずのギルド内に、冒険者は一人もいない。

 隣の酒場も、今日は夕方からのオープン。従業員もまだ誰も出勤していない。


 冒険者の代わりに多数いるのは、鎧を身に纏った憲兵隊の面々だった。




 裏口玄関に、数台の馬車が止まる。

 そのうちの1台から、憲兵隊数人と共に、1人の女性が手錠を付けられたまま降りてきた。


 名前を、シャンティ・ラヴレス。


 10月末に街を混乱に陥れた『ゴブリン襲撃事件』。

 そしてその直後発生した『ザジ・オウル誘拐事件』。


 この2件の主犯として捕らえられた女性だった。



 憲兵隊関係者以外にも、数名の見届け人がいる。

 まず冒険者ギルドから、ギルマスのジェイクと私。

 冒険者からの見届け人は、Aクラス冒険者のザガロ・ファイマット。

 ここより南、キャロスラック村のガードのリーダー、フォスト・シュタイン。

 そして、シャンティの相棒だった、Dクラスのファルマ・シンの3名。



 馬車から降りたシャンティは、そのまま奥の会議室へと通される。


「最後に言うことは無いか?」


 憲兵隊からそう促され、ファルマが前に出てシャンティと会話する。

 会話できるのは『これ』が最後の機会だろう。

 ぽつりぽつりと、短い会話が漏れ聞こえる。

 そしてファルマは再び後ろに下げられる。



「ではソレーヌさん、お願いします」


 憲兵隊のコーディ君から促され、私はギルド会議室奥の『転職の祭壇』へと向かう。

 そこでコーディ君から、憲兵隊預かりとなっていた緑色の本を渡される。


 『ゴブリン』のジョブマニュアル。

 ギルド第7支部管区で発見された、2種類目のジョブマニュアルだった。



「それでは、シャンティ・ラヴレスさんのジョブチェンジを開始します」


 いつもの略式化された転職とは違い、いくつかの無駄で煩わしい正式な手続きを踏まえたうえでのジョブチェンジ作業を、私は粛々とこなす。

 シャンティの身体は光に包まれ、その後、ゴブリンの姿がそこに現れた。


 憲兵隊から動揺の声が漏れ聞こえる。

 それと同時に、憎しみの目線がゴブリンに向けられる。

 ゴブリン襲撃で、憲兵隊に数名の『黒札』が出た。その同僚達がこの場にいてもおかしくはない。



 その後、ゴブリンの姿となったシャンティは、再び馬車まで護送される。

 そして馬車に乗る直前、こちらに一礼をしてから、馬車に乗りこんだ。



 1匹のゴブリンを乗せた馬車は、ギルドを出発する。

 最後尾の馬車にはフォストが乗り込む。事前に乗車していた弟のハークらと共に、このまま村の南のゴブリン集落までの道のりに同行する。



「ふう。とりあえず終わったね」

「そうですね……」


 憲兵たちが去り、静かになったギルド内で、私達は一息つく。



 シャンティの表向きの処分は、『第7地区全ての街村からの永久追放』という事になっている。

 しかし実際には、とある司法取引が行われた。

 ジョブマニュアルの力でゴブリンの姿となれるシャンティは、今後キャロスラック村付近のゴブリン集落で過ごす事となる。

 そこで内部から集落を操り、人間への被害が最小限のものになるように指揮してもらう、というのが真の狙いだ。



「実際、シャンティさんが村を率いるなんて……うまく行くんですかね」


「さあね。こればっかりはやってみないと何も」


 そして、その司法取引を持ち掛けた人物こそが、私の目の前にいる男、ジェイク・フォーグナーを名乗る男だ。




 今回のギルド内でのシャンティのジョブチェンジは、完全極秘の下行われた。


 彼女の知人で立ち合いを許されたのは、彼女と同パーティだったファルマだけだった。


 彼女をよく知る同じ宿の宿泊客で、ザジ誘拐事件解決の立役者となったメルティには、今回の情報を漏らすことを固く禁じられた。

 他のメンバーも同様だ。ロランやイルハス達は元より、関係が僅かだったルーナチームにも伏せられていた。

 メルティと親しいマリナでさえ、今回の立会いを外された。それほどまでに徹底していた。


「仮に今日の情報を知っても、別にメルティさん達は、何か騒動を起こそうだなんて思わないはずですけどね」


「とはいえ、そういうものだろう。僅かに起こる可能性すら排除した……という事だろうね」


 結果、ファルマの他に立ち合いを許されたのは、今後シャンティの監視を務めることとなる最寄り村のガードのフォストと、集落付近で戦闘した経験のあるザガロだけという事となった。

 取引の詳細と、モンスター職の存在を知ったフォストは激しく動揺していたが、「村の被害がそれで減る事になるのなら」と同意してくれた。

 ザガロは「へえ、面白い事もあるんだな」と、モンスター職の存在を知ってもさほど動揺は無いようだった。

 まあ、ザガロは元よりそう言う性格なのだろう。今日もさっさとどこかの酒場へと消えてしまった。




「しかしまあ、憲兵隊のコーディ氏らしからぬ物々しさだったな」


「まあ多分、コーディ君というより、ジネットさんの影響があるのでしょうね」


 ジネット・マルファンク。

 憲兵隊第7支部の隊長で、コーディ君の上司に当たる人物。

 一言で言えば、『中央の犬』だ。



「つまり今回の急な処置も、その女隊長様のせいだという訳か」


「そっちは、そうと言えばそうかもですね。どちらかというとコーディ君の連絡ド忘れだとは思いますが」


「……君は知っていたのか?」


「知っていたというよりは、まあ、よくある事ですのでなんとなく」



 早く教えてくれよと言いたげに、両手を上に向ける。

 そうは言っても、勝手に調査を進めていたのはこの男なので、こう言われるのは若干不服だ。


「で、どうだったんですか?」


「周囲を調べさせてもらったけどね、特に面白い情報は無かったよ。

 まあ、ロラン君が何故か宿を何度も出入りして、憲兵隊の監視組がその度にピリついていた事くらいかな」


 はははっと力の無い笑いを出した後、ジェイクがこちらを向きなおす。




「ついでで聞きたいんだけどね、ソレーヌ君」


「はい、なんでしょうか」


「例の『ジョブ5番』と『ジョブ6番』が発見された場所、君は言い当てていたよね。

 どうして分かったんだい?

 マリナ君の前だからあの時はごまかしていたみたいだけど」


「ああ、その件ですか……。

 あれはごまかしたという訳ではなく……う~ん、まあ何となくというか、勘でとしか言いようが無いのですが……」


「君、けっこう勘に頼るタイプだったんだね。逆かと思っていたが」


「……理論じゃどうにもならない、出鱈目な馬鹿な幼馴染が周囲にいたもので……」


「…………苦労しているな、君も」


 そう言ってジェイクは、だらりとソファーに体を預けた。





 **********************************




「や、久しぶりですねぇアニキ。だいぶ立派なお姿になられて」


「そう言うお前も似合っているぞ、ギザ」


 冒険者ギルドの帰りに、()はとある店舗を訪れていた。

 最近新規出店した、美味いと評判の店。

 初めて入る店だったが、その店主の顔はよく知っていた。


「しかしパン屋か。お前にしてはなかなか地に足付いた『仕事』じゃないか」


「ま、アッシもいつまでもフラフラしているわけにはいかないんでね」


 最近評判のパン屋と言えど、閉店間際の店内には、流石に他の客はいない。



「アニキ、ギルドマスターの御仕事の方はどうなんですかい?」

 

「ま、退屈はしないよ。()は楽しくやらせてもらってるよ」


「そうですか。そいつは何よりで。

 で、今日は何の()()()()で?

 例の2つの『新しいジョブ』とやらの事ですか?」


 店員がそう聞いてくる。


 店員は、私達が『ギザ』と呼ぶ男。

 我々の組織の中で、唯一数字の名前を持たない人物だった。



 この男の言う、例の2つの『新しいジョブ』。

 先日、第2支部で見つかった『ジョブ5番』と、王都で見つかった『ジョブ6番』の事を差す。




 そもそもの話から始めよう。

 冒険者ギルドには、大きく分けて2つの派閥がある。

 『王都派』と『第2派』だ。



 現在王都にて指揮を執る、現在の冒険者ギルドの最高責任者は、現在ご高齢であらせられる。


 当然ながら、その後継者は誰かという話になる。

 最有力視されているのが、現王都の副最高責任者にして、王都ギルドのギルドマスター。

 次点が、第2支部のギルドマスターだ。



 この国は、王都を中心に、周囲を10の地区で取り囲んでいる。

 地図的な意味でも象徴的な意味でも、ど真ん中にある王都ギルドの影響力は大きい。



 第2地区は、その北西部を海に面している。

 その海の向こうにとある島国がある。


 長い歴史の中で、我々の国と、隣の島国との間では、何度も何度も戦争が行われていた。

 非常に仲の悪い国だ。


 しかし、『表向きは仲の悪い国』というものは、『裏ではそれなりに仲が良い』という事は、実はまあある話だ。

 時に、戦争を回避するために莫大な金を横流しする。

 時に、わざわざしなくてもいい戦争を仕掛けて軍事産業を盛り上げる。


 『島国』と『第2地区』との間には、表に出せない、それはそれは蜜月の関係がある。


 基本的には、『軍および憲兵隊』と『冒険者ギルド』は、全く無関係の独立した組織ではある。

 民間組合である冒険者ギルドは、戦争とは無関係。それが世間一般の常識だ。

 しかし、裏であんなこんなをしている第2の軍隊だ。冒険者ギルドとの間柄も、まあ言わずともがなだろう。



 そんな『第2派』か。

 あるいは保守的な『王都派』か。

 水面下で、ギルドは二つに分かれようとしている。


 しかしまあ、綺麗に真っ二つとは、なかなかいかないものである。

 どちらにも属したくない『中立派』というものは、どの組織にも存在する。


 中立派は、第2とは距離の遠い地区に特に多い。

 第6、第8。あるいはふらふらしている第5あたりもか。

 私が以前いた第9もそうなのだが、あそこは別の国との別の戦争が終わったばかりで、現在は機能していないと言った方がいいのでまた別の話だが。

 後は、王都内にいる一部の面子も一応は中立だろうか。


 そしてここ、第7もそうだ。

 ここなど、特にあからさまなほうである。


 私の前任のギルドマスターは、特に実権の無い、茶を飲むだけの隠居爺だったらしい。

 その下の構成員は、私とシィナが加わる前は3名。

 明らかに人員不足で、本部が碌な増員を送ってこなかったことは明らかだった。

 

 メンバーも、古株のロアを除けば、経歴に癖のある2名。

 王都からは扱いにくいと、新任にも関わらず他所に配属され、飛ばされた先でも浮いていた、もと悪役令嬢のご令嬢。

 そして、その第2の冒険者で、上の諸々のトラブルでその職を奪われる事になった少女。

 どう考えても第2と仲がいいとは思われない。



 本人達にさほど自覚は無いだろう。

 しかし『中立』というどちらにも属さない派閥は、ある意味では仮想敵、第三勢力と周囲からは捉えられる。


 

 『王都派』『第2派』そして『中立派』。

 ギルドには、実質3つの派閥に分かれようとしている。


 そして、3つ目の組織のその中心人物になるであろう、一人の元悪役のご令嬢。

 まあ、当の本人に、巻き込まれているという認識があるのかどうか、私には分からない。

 ジョブマニュアルの場所を当てた件も『勘』とだけ言っているが、本当は綿密な事前調査から割り出したのか、あるいは本当にただの勘だけで当てたのか。それも私には分からない。


 そんな第7の空席に送り込まれたのが、ジェイク・フォーグナーという男。

 私が今現在名乗っているその名前だ。




 あの日。

 ソレーヌ君が『ゴブリンのジョブマニュアルの破片』を手にして私の部屋に乗り込んできた日。


 あの時、ソレーヌ君が聞かなかったことがある。

 まあ、聞いてもどうせ答えないと思われていたからだとは思うが。


 

 ジェイク・フォーグナーという名の男を第7支部に送り込んだ『雇い主』が、誰かという事。



 まあ彼女なら、聞かずとも推察できるだろう。

 彼女がいなくなったら得をする人物……それを考えれば、3択にまでは絞り込めるだろう。

 それに加え、貴族の社交界で現在騒がれているゴシップを付け加えれば、おそらく答えにたどり着く。


 さて、問題はここからだ。

 『僕』は、どの立ち位置に付くべきだろうか……。




 目の前の男、ギザを見ながら、改めて考える。



 王都ギルドが3つの派閥に分かれているように、ある意味『我々』も、3つに分けられると言える。




 そもそもとして。

 この国、グレンディル共和国には、一応は共和制のもとに統治されているが、実際にこの国の(まつりごと)を司る人物は他にいる。

 『六老聖』と呼ばれる連中だ。

 


 表向きはただの象徴の六人。

 ちなみに、名前に老とはついているが、基本的には世襲制で、一番若い奴は40代の若造だったりする。

 しかしこの六老聖、裏では、やはりというかなんと言うか、色々やっている。

 

 この間、王都での邪教集団の一件を冒険者ギルドに依頼し、大魔王の復活とやらを未然に防いだ事は記憶に新しい。

 悪の組織かと言われれば決してそうではない。正義の味方のような事もやっている。

 しかし正義を振りかざす裏で、同時進行であくどい事も行っていたりする。

 

 六人いる重鎮たちは、三派に分かれ、良い事なり悪い事なり様々に行っている。

 それぞれが綺麗に2人ずつ、綺麗に3つに分かれている。

 バランスが崩れることは無い。1人に偏ることも3人に増える事もない。

 何かを企もうとも、自浄作用にも似たこのバランス感覚がいつの間にか何とかする。

 例の邪教集団も、裏にはとある六角形の一角がいた。冒険者ギルドへの依頼者は、それとはまた別の一角だった。

 この国の政治というものは、結局そういうものらしい。



 六老聖に3つの派閥があり、そして冒険者ギルドが()()()()3つの派閥に分けられようとしているように。

 『我々』にも、3つの勢力がある。

 

 まあ我々の場合は、ひとつの勢力内に3つの派閥があるわけでは無く、完全に独立した3つの組織なのだが。

 それぞれの構成員は、各組織独自のコードネームで呼ばれる。

 そして、名前の付けられていない『組織』は、そのコードネーム由来の呼び名で呼ばれることが多い。

 所謂『紋章付き』『花付き』そして『数字付き』……。



 今は、3つに分かれてしまった我らが組織。

 がしかし、元は目的を共にする1つの組織。

 お互い、潰し合いになる事は避けねばならない。

 

 そのための、情報交換役が必要となる。

 

 お互いが持つ、必要最低限の情報を交換する。

 衝突が起こった際、それを上手く収めるための切り札を集める。

 その他、組織に必要な様々な情報を、国内外からかき集める。

 前線に出る実行部隊ではないが、そういう情報収集担当の人間が必要となる。


 その一人が、この男、ギザだった。




「それで、肝心のご用はなんですかい?」


「ああ。まあ『2つのジョブ』の件ではないんだ。別件と言えば別件……こっちのジョブの方だ」


 そう言いながら私は、ひとつの資料をギザに見せる。



「今回現れた4つのジョブの1つ目、白いジョブマニュアルの件だ」


「なになに……ジョブマニュアルを持ちこんだ女……ロニー・リリーボレア、ですかい」


「ギザ、この『リリーボレア』の名前。聞いたことあるだろ?」


「ああ、はいはい。確かにアッシが関わった仕事ですね。

 いつでしたっけ、5年前でしたっけ……アッシの前に現れて返り討ちにした『花付き』の奴が確かそんな名前だったかと」


「そいつ、確かに始末したんだよな」


「ええ、もちろん。21番にも確認を取ってもらいやしたし」


「そうか……」


「……アッシが逃がしたとでもお思いで?」


「いや、そうじゃない。

 私が聞きたいのは、何故今になって再びこの名前が現れたか……という意味だ」


「……まあ確かに……。

 白いジョブは『羊』でしたっけ。

 花のような名前と羊……確かに、全くの偶然とは……思えないですね」


「頼まれてくれるか、ギザ」


「ええ、勿論ですとも。

 しかし……国中を探すとなれば、ちょっと厄介ですね」


「ああ、それは大丈夫だろう。

 多分1週間もしないうちに、『コイツ』は第8か王都のほうに現れる筈だ。

 それからでいい。今は網だけ張っておいてくれ」


「そうですかい? まあ、了解です」





 私達の組織が3つ存在するように。

 六老聖が3つに分かれているように。

 

 冒険者ギルドも、3つに分かれようとしているように。

 そのギルドが所有する、『ジョブマニュアル』もまた、3カ所に分散されようとしている。



 『ゴブリン』のジョブマニュアルに関して、王都からの介入があった。

 しかしコーディ氏がスケジュールを突如速めたファインプレイにより、適合者の身柄は誰にも奪われず、かのマニュアルごと無事に封印された。

 魔物の集落という、人間の手出しがあらゆる意味で難しい場所に。

 

 場に残されたジョブマニュアルは、現在3つ。


 第7に存在する『スライム』。

 第2が所持している『ジョブ5番』。

 王都が所持している『ジョブ6番』。



 適合者が明らかになっている我ら第7がリードしているとはいえ、状況は拮抗している。


 鍵を握るのは、それ以外のジョブマニュアル。

 海外にある『ジョブ5番(ミノタウロス)』は、現在のところ、この国に即時変化をもたらす可能性は低いだろう。

 動くとしたら、年末以降。

 

 なので、目下最有力なのは、所有者が闇に消えたままどこかを放浪する『ジョブ4番(バロメッツ)』だ。



 さあ、この3方向に揺れ動くシーソーゲームは、一体どちらに傾くのだろうか……。





 **********************************




 夜。

 宿屋の一室で、『アオ(ワタシ)』は相変わらず、メルティとターシャさんの様子を眺めていた。



「ロランさん、見てください、服です! 私、服を着てます!」


「そ、そう、良かったね……」


 メルティが、私服をロランさんに披露している。



「良かった……メルちー、本当に良かった……」

 ターシャさんが涙ぐんでいる。


「どうして私は、こんな当たり前のことを忘れていたんでしょう……

 ターシャさん、本当にお見苦しいところをお見せしてしまって、本当にごめんなさい……」


「ううん、良いんだよ……良かった、メルちーが元に戻って……」



「メルティ、本当に、もう大丈夫?」

 

「はい、ミリィさんにもご迷惑をおかけしてしまって、本当に……」



「それにしても、この間倒れた時の『記憶障害』か……大変なんだね、モンスター職って……」


「たぶん滅多にある事では無いので、今後は大丈夫だとは思います……」


「そっか、ならいいけど……」


「ロランさんにも、今までたくさんのご心配をおかけしてしまって……

 でも、もう大丈夫です!

 こうして下着もちゃんとつけられるようになりましたし! ほら!」


 そう言ってメルティは、スカートの裾をがばっと上げる。


「わっ!?」


「め、メルちー、駄目! ステイ!」


「ロラン、あと30分散歩を」


「もう行くところが無えよ……」



 ……ホントに大丈夫なのかな……。

 





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