娘
掲載日:2022/07/17
娘の影は賢人だった。娘を導き、かの荒野へと辿り着かせた。荒野に立つ不気味なモノリスは問いかける。汝の心の臓の底、そこは神意の明鏡たりうるか?
路地裏住みの男は、波に浮かぶ海月の死骸を見つめていた。夜明けを待つ街を背後に、男はむくりと立ち上がる。ああ、惑星よ、その時が来たのか。
ーー祝福のマグマが噴き上がる。
荒野に見知らぬ花が咲く。深い眠りから醒めた預言が、霧のマントのように娘を覆う。
もう、何人も苦しむことはない。
街は静かに眠る。数瞬の後、男は最も静謐なる日の出を目撃するだろう。そして、自らもそっと目を瞑る。




