お姉ちゃんの幸せ家族計画 ~托卵で生まれたお姉ちゃんはそれでも幸せになります!~
私、神崎美奈は現在中学二年生。
大好きな未来お姉ちゃんと、大好きなお父さん、お母さんと暮らしている。
そんなある日、お母さんの不倫という名の裏切りが発覚する。
そして……大好きなお姉ちゃんがお父さんと血が繋がっていない、つまり托卵で生まれた事も発覚した。
信じられなかった。
これは、私の大好きなお姉ちゃんと、家族の物語。
私、神崎 美奈は現在中学二年生。
高校一年生の未来お姉ちゃん、お父さん、そして専業主婦のお母さんの四人暮らしをしている。
私達四人は、仲良し家族だ。
特に私も未来お姉ちゃんもお父さんが大好きで、お姉ちゃんなんか彼氏がお父さんそっくりなくらい、お父さん大好きっ娘だ。
だけど……そんなある日、事件は起こった。
「あれ、お母さんは?」
部活を終えて遅く帰った私は、いつも料理をしているお母さんがいない。
だからお父さんと、一緒にいたお姉ちゃんに質問したんだけど……
質問した瞬間、お姉ちゃんは泣き出した。
驚いた私は、お父さんの方を見たけど、お父さんは茫然自失といった表情をしていた。
「美奈、お母さんはね、不倫をしていたんだよ」
お姉ちゃんがそう言った。
「嘘!嘘だよ!ありえない!だって、お母さんお父さん大好きじゃん!!」
「本当だよ。お母さんは認めなかったけど」
「じゃぁ、勘違いなんじゃ」
「これ……見て」
そう言ってお姉ちゃんが出したのは、DNA鑑定書。
そして……それに書いてあったのは、親子の可能性0%の文字だった。
「嘘……じゃぁ私達、お父さんの子供じゃないって事?」
「ううん。あなたのは、こっち。ほら、親子の可能性99.9%って書いてあるから、あなたはお父さんの子供。お父さんの子供じゃないのは私だけ」
「そんな……」
お姉ちゃんが、お父さんの子供じゃない?
信じられない。
私とお姉ちゃんって似ていないけど、血が繋がっていないなんて思ってもいなかった。
そりゃ、私はお父さん似、お姉ちゃんはお母さん似だけど。
「それで、お母さんは今何しているの?」
「……」
「お姉ちゃん!」
お姉ちゃんはしばらく黙っていたが、ゆっくり喋り出した。
「逃げた」
「え?」
「実は、美奈には黙っていたんだけど、この話は数日前からお母さんとお父さん、私の三人で話していたの。あなたには傷ついて欲しくなかったから。お母さんは不倫を否定してたんだけど、今日、男と逃げ出したの」
「嘘!」
「本当よ。私、偶然その場に出くわしちゃったもの」
「え……」
「お母さんが、男と一緒にタクシーで逃げようとしたの。私ね、お母さんを止めようとしたんだけど……」
「したんだけど……どうしたの?」
「……お母さんね、私に言ったの。お父さんも、私達も愛した事ないって。お父さんは金持っているから結婚したって。私達の事も、前々から嫌いだった、産んで後悔した。笑顔に騙されて馬鹿みたいだって笑ってたの」
「嘘……」
知りたくなかった。
お母さんがそう思っていたなんて。
聞きたくなかった。
「美奈、あなたは部屋で休んでいて。私は……」
お姉ちゃんはお父さんの方を見ると、
「私は……お父さんが心配だから」
お父さんの茫然自失とした表情。
その表情の意味が分かった。
この顔は、絶望した表情だったのだ。
「美奈、あなたは部屋に行きなさい。私は、お父さんを部屋に連れて行くから」
「……お姉ちゃん。私も手伝う」
「でも……」
「大丈夫だから。私、こんな風になったお父さんの事、放っておけないよ」
「美奈……ありがとう」
そう言って私はお姉ちゃんと一緒にお父さんを部屋に連れて行き、ベッドに寝かせた。
そして、部屋から出た後、私達はお互いに自室で休む事にした。
信じられなかった。
お母さんの裏切り、そして、お姉ちゃんと血が半分しか繋がっていない事。
ううん。
私より、お姉ちゃんの法が心配だ。
お姉ちゃんは気丈に振舞っていたけど、本当はつらいはずだ。
だって、お姉ちゃんはお父さんと同様の被害者だからだ。
お母さん……どうして。
どうして……どうしてお父さんを裏切ったの?
ひどいよ……
それからの日々は、まさに怒涛の日々だった。
特に、お姉ちゃんの頑張りはすごかった。
多分、嫌な事を考えない為に、一生懸命頑張ったんだろう。
私とお姉ちゃんは、仕事を休んだお父さんの為に一生懸命頑張った。
炊事洗濯したり、お父さんと一緒に出掛けたり。
一時期はボロボロだったお父さんも、みるみるうちに元気を取り戻し、あの日から一年経った今では、すっかり日常を取り戻している。
あぁ、よかった。
お父さんが元気になって、本当によかった。
お姉ちゃんと彼氏の仲も良好だ。
お姉ちゃんの彼氏は、この一年間色々と手伝ってくれたのだ。
いつも優しくて、お姉ちゃんの事を大切に思っている事が伝わってくる、本当に優しい人。
よかった、こんな人がお姉ちゃんの恋人で。
……時々、お母さんの事を思い出す。
今、何をしているのだろうか?
私達を捨てて、それでも幸せなのだろうか?
悲しいけど、お母さんとはもう会いたくない。
お母さんが戻ってくると、きっとお父さんとお姉ちゃんは悲しむから。
……お父さんとお姉ちゃんには言えないけど、それでも私はお母さんに幸せになってほしいと思っている。
お母さんの優しさは全て嘘だったかもしれないけれど、それでも私は幸せだったから。
さようなら、大好きな……ううん、大好きだったお母さん。
お父さんと、お姉ちゃんと、お姉ちゃんの彼氏さと。
私達は、今日も生きていく。
きっと明日もいい日になる。
そう思ったら……眠く…………
あれ?
私が目を覚ますと、私は地面の上に横になっていた。
降っている大雨のせいで、体が濡れている。
……!!!
さ、猿ぐつわされてる!
しかも……手を後ろ手で縛られ、足も縛られて、動けない!!
「あ、起きちゃった?」
私が目を声の上がった方へ向けると、そこにいたのは大きなスコップを持ち、レインコートの下に制服を着た……ずぶ濡れのお姉ちゃんだった。
驚いた私は、大急ぎで頭を動かして猿ぐつわをずらし、喋れるようにした。
「うーん。睡眠薬の量、少なかったかな?」
「お、お姉ちゃん?どうしてこんな事」
「困ったなー。もっと睡眠薬多くしておけばよかった。多くするとばれるかもと思ったから少なくしたのが失敗だったなー」
「お姉ちゃん。何を言って」
「あの女より体が小さいから同じ量でもいいと思ったんだけど、やっぱり駄目か。二度も失敗するなんて、私ってドジっ子だな。お父さんってドジっ子好きかなー?」
お姉ちゃんは私の言葉を聞こうとすらしない。
それに……
あの女?
二度も失敗?
お姉ちゃんは、以前にもこんな事をした事があるの?
「お姉ちゃん!」
「もー、うるさいなー。私の善意を無駄にしないでよ」
「ぜ、善意?」
「そう。せっかくあなたのお母さんと同じ場所で、同じ死に方をさせてあげようと思ったのに。起きちゃうなんて、妹失格だよ」
「何を言って……」
お母さんと同じ場所、同じ死に方?
まさか……まさか…………
嘘だ!
嘘だ嘘だ嘘だ!!
ありえないありえないありえないありえないありえない
「罰ね。あなたはあの女と同じ生き埋めじゃなくって、撲殺にしてあげる」
そう言ってお姉ちゃんは持っているスコップを振り上げた。
ものすごい勢いのはずなのに、まるでスローモーションのようにスコップが振り下ろされるのを、私は目をそらさずに見つめた。
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「やっぱりあなたはお姉ちゃん思いね。一発で死んでくれるなんて」
美奈、ありがとう。
おかげで何回も叩かずに済んだ。
私、未来は死んだ美奈を埋めながら、鼻歌を口ずさんだ。
あぁ、やっとお父さんと二人っきりになれる。
あの、何かの間違いでお父さんの妻になった女を排除し、美奈もおまけで排除する。
私の計画通りだ。
計画は簡単だ。
まず、お父さんにあの女が不倫している事を告げる。
本当にしていれば楽だったんだけど、してなかったから嘘を伝えた。
不倫してくれればいい物を、本当に迷惑な女だ。
そして、お父さんにDNA鑑定を進めた。
その時私は、必要な唾液の採取をやらせてほしい、とお父さんにお願いした。
許可を得た私は、美奈の唾液をこっそり採取した。
そして、私の唾液は……こっそり別人の唾液を入手して、提出した。
つまり、私とお父さんとの鑑定で親子ではないと出るのは、当然の結果だ。
そして、その結果をお父さんと一緒にあの女に突き付けてやった。
だけど……そこで問題が生じた。
否定するのはもちろん計算の内。
だが、あの女は……怒って離婚してくれればいいものを、夫婦関係の継続を望んだのだ。
お父さんも、許そうとしていた。
だから、殺したのだ。
その時の私の気持ちを考えて欲しい。
人一人殺して隠すのが、どれだけ大変か。
本当、骨が折れる作業だった。
いや、もちろん比喩だからね(笑)。
ここ、笑う所www。
実際、家に帰ってからお父さんが帰る前までの間にひと眠りしちゃったし。
本当、あの女は最後まで嫌な女だった。
涙ながらに、「あなたはそんな娘じゃない」とか「いつもの優しい未来ちゃんに戻って」とか……
あー、名前呼ばれるなんて不快。
でも、一番不快だったのは、全部埋まる直前。
お父さんの名前を呼んでいた。
しかも、「愛してる」なんて言っていた。
お父さんに「愛してる」と言っていいのは私だけなのに。
あー、嫌だ嫌だ。
で、お父さんが帰ってきた後、私はあの女が男と逃げた(まぁ、そんな男最初からいないんだけど)とお父さんに言って、美奈にもあの女の不倫(という可愛い嘘♪)を告げた。
そして……。
二人でお父さんをベッドに運び、美奈が部屋に戻った後。
私は、お父さんに夜這いを仕掛けた。
お父さんは驚いたようだったが、私が昔からお父さんを愛していた事、血が繋がっていない事、そして、お母さんの代わりを務めたい(これは言いたくなかったけどね)と言い、混乱しているお父さんを半ば逆レイプの形で愛した。
いや、愛し合った。
その後、タガが外れたお父さんと私は何度も夜が来るたびに愛し合ったんだけど、困った事があった。
それは、美奈の存在。
あいつがいると、家の中で好きなだけイチャイチャ出来ない。
だから、殺した。
ゴミはゴミ箱へ。
人として当たり前の事だ。
ゴミを埋め終わると、私は家へと向かって歩き始めた。
お腹を撫でる。
この中には、私とお父さんの子供がいる。
愛しの我が子。
やっぱり美奈をポイしてよかった。
お父さんの子供は、私との間に生まれるこの子だけでいい。
ううん、もっと何人も産もう。
お父さんと私の愛の結晶なんだから。
そして、生まれる赤ちゃんの為に、私はあらかじめ彼氏を造っておいたのだ。
そう、それがあの顔と血液型しか魅力がない男だ。
あの男の顔はお父さんそっくりで、血液型も同じ。
だから、あの男に働かせてお父さんとの子供を育てる。
既に伏線は張ってある。
あの男とデートでホテルに行った時に一服盛って眠らせた。
そして、服を脱がし、私も服を脱いで朝を迎えた。
記憶にない一夜の出来上がりだ。
あの男は馬鹿だから、生まれてくる子が自分の子供じゃないなんて思わないだろう。
仮にDNA鑑定を持ちかけられても、「私を信じられないの?」と言えば黙る。
そんな男を選んだのだ。
いざとなればポイすればいいんだし。
そう思いながら、私は家に入った。
レインコートを着ていたとはいえ、私の制服は雨で濡れ濡れ。
私の黒い下着も丸見えだ。
その為に着ていたんだけどね。
冷えて疲れた体を、お父さんにギュッて抱きしめてもらうんだ♡
この濡れ制服と黒下着は、お父さんに喜んでもらえるかな?
この濡れスケ感を出すために、わざわざこの格好で一仕事してきたんだし。
キャッ♡
恥ずかしいー♡♡♡
ああ、私の未来は薔薇色だ。
大好きなお父さんと、お父さんの子供と一緒の未来。
早く出てきてね♡
愛しの赤ちゃん♡♡♡
お楽しみいただけましたでしょうか?
お姉ちゃんのサイコパス具合を楽しんでいただけると幸いです。
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