7、やっと見つけましたわ
レオンハルト殿下が落ち着きを取り戻し、ジオラークの笑いもある程度治まった頃、作戦会議を開くことにしました。
「後は土だけど、土はどこにでも居るから本当に何も感じないのはおかしいんだよな」
「リズは何か心当たりある?」
「家族は水属性と風属性の精霊を使いますから……やはり水属性かしら」
「もう一度行ってみようか、何かわかるかもしれない」
さすがにまずいと思ったのか、ジオラークも真面目に考えているらしい。もう8割の人がいなくなったから私にも焦りが出てしまう。
心を落ち着けなきゃ、ぺったんこの胸に手をあてて唇を噛む。
ダメだ、震えてきた。これじゃあ協力してくれる2人に迷惑かけてしまう。落ち着け、落ち着け、
「大丈夫、リズなら出来るよ」
ふわりと震える私の手をとって、レオンハルト殿下はにこりと笑いかけてくれた。下ろしたままの私の髪を撫で付けるように優しく撫でてくれる。そうして、流れるように私の背に手を添えた。優しく、力強い手だ。心做しか体が軽く、歩くスピードも速くなった気がする。
「イチャついてないで早く来て貰っていいか?沢、もう着いたけど」
「ご、ごめんなさい今行きますから」
小走りでジオラークの元に駆けつけると、後ろから舌打ちが聞こえた気がした。振り返っても、レオン様が美しく微笑むだけ、聞き間違いだろう。……なんでジオラークは顔を引きつらせてるわけ?
まあいっか、と楽観的に考えて沢の辺にしゃがみこむ。
大丈夫、レオン様もジオラークもついてる。きっと私になら出来るはずだから、大丈夫。
さっきよりも心は落ち着いているし、ポカポカと暖かい感覚がする。
水の精霊さんに、今なら会える気がするから。小さな沢の水に手をつけてみる。水が澄んでいて冷たい。すると、指先からなんとなく暖かいエネルギーを感じた。これがジオラークの言う「何か」であれば。
『コん二チは、名前チョうだィ?』
「えぇ、貴方は……スピカ、スピカよ」
『あリガとォ』
水につけた腕をなぞるように、何かが登っていく。そして鼻の頭にピタリと止まった。綺麗な水でできた蝶だ。
よかった、と騒ぎながら2人が私に近寄って来てくれた。遠慮なしにワシワシと頭を撫でるのはジオラークだろう。
「貴方がスピカね?私はエリザベス、貴方の力を示してくれる?」
私の言葉に答えるように羽を広げると、体全体に大きなエネルギーが感じられた。それをそのまま感じたままに受け入れてみる。
その途端、パキパキと音をたてて沢が凍っていった。後ろのレオン様とジオラークが息を呑むのが分かる。どんどん感覚が鋭くなっていく気がする。すごい。
「おい待て待て待て、それ以上は止めろ。冬になるぞ」
「わ、わかった。スピカ、もういいわありがとう」
私の声に反応し、また羽を広げると凍った水の流れが少しづつ解け出して、先程のように流れ出す。安堵で息をつくと、蝶が飛沫をあげて弾け飛んで消え去ってしまった。
「すごい、すごいわ、ありがとうレオン様、ジオラーク」
シナリオの精霊とはなんかちがう気がしないでもないけど、一応精霊を見つけることが出来ました。
……あれ?なんか作文っぽくなってない?




