表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/81

75、聖女フィーバーと魔女信者

連続とーこーです!


あの聖女事変から時はめぐり、私達は2年生となった。ロッドマンが畑を転々とし、畑荒らしならぬ土壌改良を行ってはや数ヶ月。それまでは、私も村の掃除をしたり、子供達に本を読んだり、魔物達の住処を回って行ったりとなかなか忙しかった。まぁ、学園の授業後、つまり放課後に通っていたから滞在時間はたかが知れてるのだけど、村の人々は温かく迎えてくれてとても嬉しかった。


「エリザベス様!」

「はーい!……モリー?どうしたの?」

「これっ!見てください!ジャガイモがこんなに沢山!」

「これも魔物達とエリザベス様のおかげですなぁ……あの手がつけられなかった魔物達のおかげでこんなに豊作だなんて」

「ありがとう、皆が私達を信じてくれたからよ」


モリーと村長さん、そして村の人々が両手いっぱいに抱えているのは大きくて立派なジャガイモだ。大飢饉を想定して、前世でも大昔に飢饉を救ったという作物を植えてもらったのだ。ジャガイモやサツマイモなどの腹持ちする穀物を中心にしたため、飢饉用の食物庫には沢山の作物が貯蔵してある。質のいい土や人手のおかげで品質も抜群な作物だから、以前よりも売れ行きがいいのも事実。

功労者である魔物達には駄賃に野菜を分けることを決め、なかなか良い関係を築いていけていると思う。


「聖女様がいるのに、不況は続いているからねぇ……」

「聖女様ったって何かしてくださった訳じゃないだろう?そんなお飾りみたいな聖女様よりも、うちのエリザベス様の方がずうっと民思いじゃないか」

「ちょっと、私の知り合いに聖女様がいるんですからそんなこと言わないの」

「いいじゃないか、それにエリザベス様は王都じゃあ『魔女』なんて噂がたってるんだろ?家の息子が王都に行った帰りにそう言ってたんだ。ちょっと魔物を従えてるからって聖女様よりも聖女様らしいってのにな」


美味しいクッキーを焼いてくれそうな見た目のお婆さんとお調子者の男性が私に話しかける。あの聖女事変から結構経って、あれから彼女とは一言も話していないから違和感は拭えないままだ。

……村に行く時と寮とトイレ以外の時間は全てレオン様が抱きついているか、手を繋いでいるか、膝に乗せて愛でているので、そんな隙がないというか、エリィハーレム内の人とぐらいとしか話せない。

まずいよね、確実にヤンデレルートの退路が塞がれている気がするよね。どうしよう。


「そういえば、そろそろ聖女誕生祭ですねぇ……春も終わりかけたこの時期に、しかも食べ物の量も昨年に比べりゃかなり少ねぇ今年にやるかなぁ」

「皆さんは誕生祭に行かれますの?」

「いや?子供らがいるところは王都に行くみてぇだが、俺らは別にそこまでしなくてもなぁ……」

「でも、エリザベス様は参加されるんでしょう?眉目秀麗なエリザベス様と王太子殿下が並ばれているところを見に行ってもいいんじゃないのかい?」


肝っ玉母ちゃんを絵に書いたような、豪快でかっこいいおばさまが笑いながら私に問いかける。なんだかんだ、魔物との架け橋になったことや作物やらでこの村の人々に好かれていると思うし、このアットホームな雰囲気が前世っぽくて心地よかった。

だから、この遠慮ない感じに頬が緩んでしまうのだ。


「エリザベス様お祭り行くのぉ?」

「あたしも行くの!会えるかなぁ?」

「ぼく探す!ドレスのエリザベス様みたい!」

「えぇ、私も貴方達を探すわ。それに壇上に上がることもあるから」


かわいらしい子供たちに、しゃがみこんでニコリと笑いかけた。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ