67、魔女の苦悩と思惑
やっとこさ村の住人全員に私の顔が知れ渡り、学園生活にも慣れて、魔女という私の呼び名も学園内に知れ渡っただろうという頃に、あの変態教師……じゃなくて、アレックス先生が急に、本当に急に今日は森に実技をしに行こうと笑って話したのだ。
まぁ、座学の少ない授業だと聞いていたもののここまで急に決まるとは思わなかったため、レディらしくない「はぁ?」という声が漏れてしまった。普通最低でも三日前には教えておいてくれるだろう。そして絶対隣のレオン様に聞かれてた。なんかニヤニヤしてるもん。
「3分後に瞬間移動で森に連れて行くから、5人のグループを自由に作ってくれるかい?授業内容は向こうで話すよ」
そう言って、パンッと手を一つ叩いて「始め!」と叫んだ。やはりあの人はどこか……特に頭の辺りがおかしい気がする。
「もちろんリズは僕とグループを作ってくれるよね?」
「え?……あのっ」
「もしかして……僕とは一緒に居たくない?嫌?」
なんで……っなんで毎回その捨てられた仔犬のような顔をしますの!?その顔をしたら私が断れないとでも?断れないわよ!前世で実家で飼っていたペットのわんちゃんに似てるんだよ!
イヴちゃんを誘いに行こうと思ってたのに!貴方と一緒にいると立場的にイヴちゃんに話しかけづらいでしょう……
「……あの」
「どうしたんだい?」
「無礼を承知でお声掛け致したことをお許しください。私はマーフェディア・アンゼルスと申します」
「アンゼルス……アンゼルス子爵家のご令息ですか。レオンハルト・リスタニアと申します」
「私はエリザベス・メイリーンと申しますわ」
2人で挨拶をすると、小さく頭を下げたマーフェディアに首を傾げる。確か彼は最後の攻略キャラではなかったか、無口なキャラ設定なのに最初からヒロインに対しては話しもたくさんしてくれるという運命を感じざるを得ない系男子だ。なのに、彼は今、自分から私達に話しかけて来た。学園内ではお家の地位よりも、実力によって優劣がつく。もちろん、私やレオン様、ジル辺りは実力社会の中でも上の方だ。その最たるはアイナ嬢だけれど。
たしかマーフェディア・アンゼルスはなかなか魔力も高い方だったと記憶している。だって攻略キャラだし。
「私は……今回の課題にお二方とご一緒させていただきたいと思っています。もちろん断っていただいても構いません」
「だって、リズはどうしたい?」
「わ、私ですか?」
急に話を振られてレオン様を慌てて見上げるが、ニッコリ笑って先を促すだけだ。きわめつけには「別に俺はリズ以外に興味ないし」なんて言ってのけているもんだから、「何言ってるんですか!」とバシバシ隣の腕を叩いた。周りの人達が引きつった青い顔でこちらを見ているのも気にせず頬を膨らませると、なぜかレオン様の顔が緩んだため慌てて距離をとる。
あっぶねぇ、命の危険を察知した。
「えっと……私は良いと思います」
「…………じゃあ一緒に回ろうか」
なんかレオン様の顔が怖い……まぁいっか、あと2人のメンバーを決めよう!と現実逃避して当たりを見回した。
一応マーフェディアも警戒すべき攻略キャラの一人なのだけど。




