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6、断じて三角関係ではありません


思わぬ協力者をゲットだぜ! した私は、火の精霊の気配の近いという岩場に向かっていた。

私のようにまだ精霊と契約を結べていない人もまだ多く、6割くらい残っている。

そういえばレオンハルト殿下はもう契約を結べたのだろうか、確かゲーム内では火の精霊と風の精霊と契約していたはずだ。

2つの精霊と契約出来る人は少なく、上級精霊と契約したジオラークと同じくらいの希少性だったはず。ゲーム内でもジオラークは風の上級精霊を使っていたから、私以外の人はシナリオ通りの精霊と契約しているのだろう。

あぁ、でも今殿下にこの状況見られたら面倒だな。

貴族だから男女2人でいるとまずいっぽいし。


なんて考える事を『フラグ』という事を私は忘れていた。





「リズ?なぜ僕以外の人と共にいるんだい?」

「あ……レオン様」

「おぉ、レオンハルト殿下かこれはこれはご機嫌麗しゅう」


すっごい綺麗な王子様スマイルでこちらに近づいて来てるレオンハルト殿下は、全く目の奥が笑ってない。後ろに黒いオーラあるよ。

ジオラークはすかさず自分から離れようと動く私をノールックで捕まえ、馴れ馴れしく肩を抱く。

余計に真っ黒オーラが濃くなったんだけど、おい、何火に油を注いでんだよ。


「彼女は僕の婚約者なのでその汚い手で触らないで頂けますか?」

「それはすまない。だが彼女と私は友人となったのでね、友人としてのスキンシップだよ殿下」


ジオラークの言葉を無視して、ベリッと肩を抱く手を剥がして私を引き寄せた。

今は殿下も私も身長や体格はほとんど同じだから目の前にすっごい綺麗なお顔があって心臓止まりそう。まぁ、ジオラークも私より数センチ小さいくらいだから、あのかわいいお顔が近くにあったはずなんだけどここまで心臓が暴れ回ることは無かったから少し不思議。

多分、そのイケメンをプラマイゼロにするくらい性格と言葉遣いがアレだったのね。ご愁傷さま。


「……エリザベス、なんか感じるか?」

「いいえ?特に何も?」

「それじゃあ火の精霊もダメだな。だいたい近づくだけでなんか感じるはずなんだけどなぁ、やっぱ嫌われてるんじゃねぇ?」


至極疲れた、と言いたげに息をつきながら、私に向かって息をするように暴言を吐くジオラークに反論しようかと口を開きかける。

がしかし、隣で私を抱きしめるレオンハルト殿下の黒い笑みがすっごい濃くなったのが手に取るようにわかってしまった。

絶対これ後々面倒なことになるわな。


「レオン様、私は気にしておりませんし、彼はそういう言葉遣いの方なので仕方ないですわ。お許しになっていただけませんか?」


秘技、美少女の涙目プラス首傾げ

オプションでこわーいお顔を両手で包んで差し上げますわ。

いくら私がタイプでなくとも、さすがに少しは心が動くでしょう?

いつかの為にジオラークに恩を売っておきたいための、ほぼ罰ゲームレベルの行動。めっちゃ恥ずかしい。


「あ、うん……わかりました」


嫌だったのか、勢い良く後ろを向いて私から距離をとられた。

おいさすがに傷付くぞ。どんだけ私のこと嫌いなんだよ。しかも急に敬語に戻ってるし、私が触ったほっぺの所同じように触ってるし、そしてジオラークは笑ってるし。


「すげぇ、あの王太子殿下を赤面させる奴がいるとはな」


よくわからないけど、面倒なことにはならないよね?






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