表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/81

65、魔物ってかわいいんですよ意外と

恋愛要素が少ない……気がするのは私だけだろうか。


この村の裏のケイモンキー達魔物の森には大きな泉がある。

森の植物や魔物達、動物達のライフラインとなる澄んだ泉との記述だ。ちゃんと資料や歴史書なんかを熟読してきたとも、大好きなこのゲームの世界観に関わる本はだいたい全部読んでたし、苦ではなかった。

それで、なんとなくの見当がついたのだ。なにかの原因でライフラインである泉に近寄れなくなったのだろう、と。そのおかげで、水を飲みに村の川まで下りなければいけなくなり、イライラで村を荒らし、植物も豊富な泉の近くでは食事もできないと、そんなところか。


「ここでいいのね?」

『ウキャ』


この子達も人間の言葉がわかるのか、私が今からやろうとしていることになんとなく気づいているみたいだ。また泉が使えるようになる?と期待しているように潤んだ目で見上げるケイモンキーの子供がすっごいかわいい。今度撫で回していいかな。

そんなことを考えながら泉があるらしい所へ着いた。想像以上に大きく美しい泉の辺に大きな影と地響きのような音。

恐る恐るそちらに目を凝らした。


「…………どう見てもワイバーンだわこれ」


泉の辺で大きないびきをかいて寝ているのは、どう見てもワイバーンにしか見えない。一見ドラゴンか?と思ったが、ドラゴンにしては長く細い尻尾に、トカゲやヘビのようになだらかな顔立ち、爪の小さい手などはどう見てもワイバーン。

もう一度言おう、どう見てもワイバーンにしか見えない。


「……なんか勝手にもっと強い魔物だと思ってたんだけど…………ミフィリア、ワイバーンなら貴方に任せるわ、ワイバーンって一応ドラゴンの血を引いているんでしょう?」

「ミフッ!」


ミフィリアは私を乗せていた姿から一転、あの屋敷よりも大きな姿に変わった。そして……ミフィリアとワイバーンの少し不穏な顔合わせが始まったのだ。ワイバーンは目が覚めるなり、ミフィリアを見て狼狽えて敬服のポーズだろうか、頭を垂れている。寝起きでこれはなんか可哀想かもしれない。

それでもケイモンキー達魔物の共通のライフラインである泉を独占していたのだから、当然の報いというやつだろう。まぁいい、私はあんな怖いミフィリアの顔なんて見ていない。うん。


「ミフーミフッミッフー」

「おおそうかそうか、なんて言ってるか全くわかんないけどとりあえず解決したのかしら?」

「ミフー」


しばらくミフィリアにワイバーンを任せておいて、私を見上げるケイモンキー達の方を向いた。そして、手短なケイモンキーの小猿を撫で回しておいた。うん。かわいい。

ワイバーンとのお話し合いが終わったのか、私に頭を擦り付けるミフィリアをそのままに、撫で回していたケイモンキーから離れて威厳たっぷりに胸を張った。対するケイモンキーは、さっきの私のご乱心を見てか威厳どころかすっかり怯えもなくなり、私への忠誠心も芽生えてきたのだろうか。しっかりと整列して私を見上げ跪いている。

私の新しい手下ができたぞ。


「とりあえず、このワイバーンはミフィリアがいる限り横暴なことをさせないと誓うわ。今日からみんなで仲良く泉を分けなさい、明日は貴方達に頼みたいことがあるから村に下りてきてくれる?」

『ウキャッ!』


ビシリと敬礼をするケイモンキーの群れを見て、なんとなく私も敬礼しておいた。あれ?こういう時ってしない方がいいんだっけ?


「ミフィリア、そろそろ空が紅くなりそうだから帰りましょう?あと、村の皆に説明しなくちゃ」


ワイバーンは少し気まずいのか遠慮気味に泉に近づき、ミフィリアに逆らえなかったことを見て調子に乗ったケイモンキーの子供達に遊ばれていた。彼らの共通のボスは私なのだし……伯爵令嬢として魔物達のボスって肩書きはいいのだろうか?

まぁ、今更だろうしいいかな。


「……………………あ、待って私達お昼ご飯食べてない!」


お昼ご飯を抜かすなんて前世以来だよ……








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ