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64、誰がボスザルじゃい


予想通り、影響されて興奮状態の魔物達を押さえつける。

私は氷魔法で固めたり冬眠させたり、ミフィリアは大きな爪と牙でのしているが、気をつけていてもいかんせん傷はつけてしまう。

ごめんよ……


「以外と多いわね……ケイモンキー!貴方達のボスを出しなさい!私と一騎打ちよ!」


埒が明かない戦闘に、森に向かってそう叫んだ。今までの戦闘で、魔物達はケイモンキーを中心に陣形を組んでいた。ケイモンキーは頭がいい魔物だから、そうやって村を襲撃していたのだろう。

近くに民家が無い分、今回の襲撃の目的は私オンリーだったのだろうし、きっと来るはずだ。


「……」

「あら?やっと来てくれたのね?ボスさん。私と一騎打ちしてくださる?もちろん貴方の部下さんとミフィリアは抜きでね?」


こんなことお母様にバレたら屋敷に監禁されるなぁ……「伯爵令嬢たるもの自ら戦闘するだなんて!」としこたま怒られる。絶対。

私の言葉が分かるのか、ボスさんを取り囲んでいたケイモンキー達が離れて円となって私達2人を囲んだ。ミフィリアに命じて、彼も離れるようにした。さて、こっからどうする。


「スピカ?お願いがあるんだけど」

『……?』

「あのケイモンキーを倒したいわ。確かあの魔物達はボスに勝てれば新しくボスになれるはずなの、私あの猿のボスになるから」


もう言葉遣いとか気にせずにスピカに話しかけた。

スピカもそれに慣れているのか、軽くオッケーを出した。よかったよ、お父様もお兄様もレオン様も連れてこなくて。

そんなことをしみじみと思っていると、目の前のケイモンキーが動いた。そりゃそうだ、演練でもあるまいし、ゴングも制限時間もあるわけない。失念しすぎている。


「スピカ!アイスウォール!」


私の声に反応して、私を取り囲むように薄い氷のドームができる。なんだかゲームで必殺技を出すみたいで、こんな風に創作の技名を叫んでみたが……結構楽しいな。これを知り合いに見られたらかなり小っ恥ずかしいけど、また今度やってみようと思う。


『ウキャ!』

「あら、かわいい声してるのね?今度はこっちからいくわよ!」


いつの日か案山子だかドールだかに向かって放った攻撃をしてみる。一応近くに物もあるから規模は小さめにしてある。

氷柱が上から降り注ぐのを華麗にかわすボスさんは、攻撃が止むと同時にまたこちらへと向かって来た。目が完全にヤル気に満ちている。だが、私はそろそろケリをつけようと思っているのだよ。

こんなことしてる場合ではないし、もっとやることは多いからね。


「アイスブレード!」

『ウギャッ!』


飛びかかって来たボスさんの胸元に氷でできた剣を突き立てる。この剣は斬ったりなどの物理的攻撃を目的にしておらず、触れたものを氷漬けにするためだけの剣だ。それに当たったボスさんの体をパキパキと音をたてて氷が包んでいく。古傷だらけの渋い顔がグッと歪んだ。


「勝負あったわね!これで貴方達は私に従うこと!これは命令です!返事は?」

『……ウキャッ』


周りを取り囲むケイモンキー達に強く言い放つと、小さめながら返事が返ってきた。よろしい、とりあえず私がボスなのだ。


「貴方達が村に降りてきている理由もなんとなく当てが付いているわ。原因である泉に連れて行ってくれる?」


私ってば下調べ頑張ったんだから!











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