63、手懐けよう、ミフィリアで
満身創痍で畑に着くと、その光景にあんぐりと口を開けた。
農夫の彼の畑はなかなか広いが、土の状態もあまり良くなく石なんかもゴロゴロと転がっていたのだ。
その中で、キャベツだか白菜だか知らない葉野菜の残骸の上で満足そうに喉を鳴らすミフィリア。と、その下に転がっているどデカいミミズのようなもの。気持ち悪い。
「これは……」
「魔物の『ロッドマン』です。見た目は気持ち悪いし、よく畑の中に潜り込もうとするから皆に敬遠されていて……」
「いやそっちじゃなくて、この畑……いや畑なのかしら?荒れ放題じゃないですか」
ミフィリアが魔物の『ロッドマン』を押さえ込んだからといって、ここまで荒れているのはまずいだろう。そう思い隣の農夫を見ると、困ったように笑いながら頬をかいた。
「いえ……ここの土地は雨が少ないため作物が育ちにくいんです。しかも畑は開墾当初から土もこの状態でして」
「……雨については仕方ないですが、土壌改良は?」
「石を取ったり耕したりと努力していましたが、魔物の襲撃なども相まってあまり進まず……」
マジか。魔物の脅威半端ないよ。これは本格的に魔物対策を考えなきゃならないのではないだろうか。ロッドマンって結構弱めの魔物だったはずなんだけど、この村がここまでとは知らなかった。
「これは……まず魔物をどうにかしなきゃね。ミフィリア!これから村の見回りに行くわ、ここでロッドマンを抑えたからそれに影響されて他の魔物が活発化すると思うの」
ピクピクとたまに痙攣するロッドマンをちょんちょんと横に退けて、ミフィリアが屋敷よりも大きな姿から私の2倍くらいの大きさまで小さくなった。そのまま私の目の前でしゃがみこむ。乗れ、ということかな?
「ねぇ貴方」
「なんでしょうか?」
「私、エリザベス・メイリーンというの。貴方の名前は?」
「私は……モリーといいます」
「そう、ではモリーとお呼びしてもいいかしら?モリー、これから村を回ります。この村で多い魔物被害について教えてくださる?」
モリーはピシッと背筋を伸ばし、ミフィリアの背の上に颯爽と跨る私に緊張した面持ちで話し始めた。今更になって私の立場を思い出したのだろうか、今まさに魔物に跨るという淑女らしくないことをしているというのに。
「えっと……最近は、猿型の魔物『ケイモンキー』、鳥型の魔物『バンバル』、虫型の魔物『ミル』ですかね?」
その魔物なら図鑑で見たことある。群れで襲って来たら厄介だけど、ミフィリアと私がいたらなんとかなると思う。
さぁ、始めるわ!
魔物の『ロッドマン』はまんまミミズの魔物で、干からびると木の棒みたいになるからロッドってつくんですね。
こんな裏設定別に知らなくてもいいんですけどね。




