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54、ありがとうミフィリア!


「ありがとうミフィリア、貴方のおかげであの場から離れられたわ」

「ミフ……」

「どうしたの?」

「もしかして……聖女様に変化するのが気に食わなかったとか?」


冗談めかしてキラースマイルを浮かべるリューに同意するように、ミフィリアは目を逸らして不貞腐れた。

可愛く頬も膨らんでいる。可愛いなおい。


「確かに聖女様といえば魔物からしたら敵ですからね?それでもエリィ様を助けるにはそれが一番の策ですので、歴代の聖女様や賢者様の中でも魔物と適度な距離を置いていた前代の聖女様を選ばれたのではないでしょうか?」

「前代の聖女様の文献にはあまり魔物の討伐について書かれていなかったからな……」


イヴちゃんとレオン様の考察が図星だったのか、羽をはためかせて私の胸へと飛び込んで来た。隣のレオン様が小さく震えたが、ジルが宥めている。なんで?


「それにしても私ミフィリア様の変化をこの目で見たのは初めてですわ!とても素晴らしかった……」

「見たことなかったっけ?入学前にお父様とお兄様と一緒にこの子の能力鑑定をいたしましたの。鑑定といっても私がミフィリアに命令して教えてもらったんだけどね?」

「それでどうだったんだ?」

「ミフィリア自身の変化は、制限時間も無く、想像上の者や無機物にもなれたわ。ちなみに自分以外も変化できるみたい!急にお父様が屈強なクリーチャーになって、お兄様が幼少の私に変わった時は伯爵令嬢らしくなく大笑いしてしまって……」


あの時を思い出して小さく笑う。何も言わず、両脇から白い煙の柱が出たと思えば、実年齢がわからないくらいかっこいいお父様が、筋肉ムッキムキで古傷だらけのクリーチャーになり、難しい顔していたお兄様が幼い5歳くらいの私に変わってしまったのだもの。

これを笑わずしてどうする。

クリーチャーに関しては、転生するちょっと前にロードショーで流れていた映画のキャラクターの『人喰いエイリアン』みたいな見た目だったからなかなか気持ち悪かったが、状況を理解したお父様が私を怖がらせないようにわちゃわちゃと忙しなく動いていて、そのギャップが面白かったのだ。

ちなみに幼少期の自分は、小さくて可愛らしいあどけない女の子が眉間に深くシワを寄せて、威圧的に顔を顰めていたのがアンバランスすぎて笑ってしまった。

そういえば声も変わっていたな、この子はなかなか器用だ。


「急に笑って気持ち悪いんだけど」

「ちょっとジル様!そんなこと言わないでください!」

「……イヴちゃんですら『気持ち悪い』に否定しないのね」


傷ついたとわかりやすく胸の中のミフィリアに顔をうずめた。

最近開発した私のアロマ、『エリィちゃんスペシャル』の香りがする。いつも一緒にいるんだから当たり前か、後、ネーミングセンス無いとか思うんじゃありませんわよ。自分専用のアロマなんだからなんて呼ぼうといいでしょう?もしも思った奴らは後で体育館裏ね。


「いいから座れよ、お前はほら、愛しのレオン様の隣な」

「……ジル、貴方後で体育館裏に来なさいよ」


いつの間にか生徒の半数以上が席についていた。








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