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46、貴女、そのルートなのですね?


「お久しぶりですわね?」


それが彼女の第一声だった。

どういうことなの?レオンハルトルートのヒロインの第一声は、「レオンハルト様、今朝はありがとうございました!」だったはずなのに、全く違う「お久しぶりですわね?」という言葉。


「私今朝の『聖乙女の水鏡』の儀式で正式に聖女に選ばれましたの」

「そうなのですか。近年は聖女様の誕生はなかったのでとても喜ばしいことです。我々も国一斉となって聖女様にお力添え致します」


胡散臭い笑顔を貼り付けるレオン様と、ニコニコとかわいらしい笑顔を浮かべるアイナ嬢が薄っぺらい会話をしている。

そこに取り残されるエリィちゃん、現在、レオン様の腕の中で落ち着かずに目線が泳いでいます。


「そういえばエリザベス様」

「今!?」

「何か……?」


急にアイナ嬢から話を振られ、TPOをガン無視した声が出てしまったがすぐに取り繕う。あっぶねぇ。


「私聖堂でエリザベス様にとても失礼なことをしてしまいました。あの時とてもお怒りでしたが……どうか周りの皆様もではなく、私1人だけを処罰していただきたいのです」


んな事言ったら私が本当の悪役みたいじゃないの。

いや、私は悪役なのだけど。


「えぇ……そうですわね。あの事は水に流し、なかったことにいたしましょう」


周りの御令嬢のほとんどを味方につけて、怯えたように私を見上げるアイナ嬢にこめかみの辺りがヒクヒクとつるのがよくわかった。

さすがのメイリーン伯爵家でも、聖女の願いを聞き入れなかったり、その聖女を処罰したりすることはできない。

それをわかって言っているのだ。


「それに、エリザベス様は魔物と契約していらっしゃるのですよね?しかもドラゴンの最上種であるとか、私は聖女ですので魔物の制御はおまかせを……」

「それは私とミフィリアを馬鹿にしているのかしら?」


耐えきれずに口に出すと、アイナ嬢はまた怯えたように私を見上げた。もちろん、言葉に棘があったことは認めるが、そこまで大袈裟に肩をビクつかせる必要はないと思うのだよ。

仕方ない、これは私嫌われるわ。そう思ってレオン様の手の中からスっと抜け出して前に出た。


「私はしっかりと制御できますし、魔物だろうと契約の条件は精霊と同じなのですよ?もしかして魔物の事もよく知らずに仰って?」


右耳でシャラリとイヤリングがなった。ゴールドの飾りが明かりにキラキラと煌めく。

私の言いつけを守って気持ちを押し殺し、イヤリングから戻らないミフィリアに後で美味しいパウンドケーキをあげようとかたく決意した。







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