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45、パーティーの開会ですわ


美しいクラシックのBGMが心地よく、だだっ広いホールをヒールの音を響かせて歩く私。現在、緊張でぶっ倒れそうですわ。

レオン様と真っ赤なドレスの私なんてそりゃあ注目の的だろうが、ここまで見られるとなかなかなものである。

男も女も先生も全員がこちらを見て頬を染めては、すぐに顔色が悪くなるという忙しいことをしていらっしゃる。どうしたのだろうか。


「レオン様、後でイヴちゃん達のところへ行きましょう?」

「あぁ、それにしても今日はビュッフェの所へ行かなくていいのかい?」

「まだ覚えていらっしゃるの!?もう忘れてください!」


鼻息荒く言い捨てると、柔らかく笑うレオン様が「ごめんごめん」と思ってもいない謝罪をする。

まだ私の腰に手をまわしたままだし、近くて近くてたまりません。

身長差だって昔は同じくらいだったのに、今では頭一つ分の身長差がついてしまっている。私って御令嬢の中では結構高い方だし、前世よりも高いと思うよ?多分170センチ近いと思うけど。

でも顔を上げなければ顔が見れないくらい差があるのは本当だし……でもヒロインって私よりも結構背低くなかったっけ?

あれ?スチルではそんなに身長差気にならなかったんだけどな。


「そんなに見つめられたら困っちゃうな」

「見てません!」


くそぅ、最近レオン様が私よりも上手になってきているぞ。

しかも見た目も天使みたいなのからしっかりと王子様に成長してるから余計タチが悪いし、なんかたまにかっこいいとか思っちゃうんだけど。

少しムスッとしながらもたくさんの先生方や来賓の方に挨拶をしてまわる。


そして、空気が変わった。

アイナ嬢がパーティーホールに入場したのだ。

周りの人々は「あれが次代の聖女か」「光魔法を操るそうだ」と噂する。それを気にもとめずに悠々と歩いているのだ。


「レオンハルト様」


そして彼女はレオン様と私の前に立って、しっかりと淑女の礼をした。初めて会った時とは比べ物にならない程に綺麗で洗練された動きだった。


そして私は気づいた。

彼女が一目散にこちらに来て、レオン様の名を呼び礼をしたということは……彼女のルートはレオンハルト王太子殿下のルートだということに。つまり、私との全面戦争を受けてたったということ。

私からレオン様をゲーム通りに奪い、私を転落させるということ。


「ねぇレオンハルト様」


無邪気に笑うアイナ嬢は、傍らにいる私には目もくれず……まぁ、身分が上の私に挨拶しないだけでかなり失礼で無礼だと思うのだけど。彼女はそれも気にせずにレオン様にかわいらしい笑顔を向ける。

彼女が口を開くのがやけに遅く感じられた。


「お久しぶりですわね?」










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