番外4、ミフィリアの謎
そろそろ本編に入りましょうか。
残念ながら本編に入る前に力尽きそう病にかかってしまいました。
「ねぇ、ミフィリア」
「ミフー?」と首をかしげながら私を見上げるのは、私の契約龍である幻影の…………魔龍?だっただろうか、である。
名をミフィリア、もちろん鳴き声が「ミフー」だったからこの世界観っぽい名前に変えてつけたのだ。
「貴方って、真の姿を誰も知らないのよね?」
「ミフー」
「それなら、私に真の姿ってやつを見せてよ」
「ミフー?」
何を言ってるのかわからない、と言いたげに鳴くミフィリアに首をかしげる。私の言葉にはだいたい従うミフィリアが不思議がるので私だって不思議だ。
「貴方の真の姿は?」
「ミフー」
「あれ?本には誰も姿を見たことがないって書いてあったのに……」
「ミフー」
ミフィリアが1つ鳴くとぬいぐるみのような体が白い煙に包まれ、カツンとヒールのなる音がした。煙が晴れると、ライムグリーンのドレスに青い石のついたブレスレット、ハーフアップにしたストロベリーブロンドの髪にエメラルドグリーンの瞳、少しきつい印象を持たせる整った顔が姿を現す。
「私だ……」
「ミフー」
でも中身はミフィリアのままらしく、あの気の抜けるような鳴き声とマナーなんてつゆ知らずで抱きついてくるところはそのままである。だけどそれ以外は私と全く同じ、鏡を見ているようだ。
「すごい……他にもなれる?」
「ミフー」
また煙に包まれる。
今度は革靴が大理石を踏む音がした。見るからに豪勢な衣装に身を包み、威厳たっぷりに微笑んでいるのは……
「こ、国王様!?」
「ミフー」
国王様の姿のままドヤ顔をしてわかりやすく胸を張った。それが本物とのアンバランスさが大きくてでものすごく面白い。
「もういいわ、ありがとう」
「ミフー」
一際大きな煙が包むとぬいぐるみの姿に戻った。満足気にニコリと笑っているミフィリアをよしよしと犬を撫でるようにして撫でると楽しそうに笑う。
「真の姿ってなんなのかしら?もうどうでもよくなったわ」
「ミフー」
「何?もしかしてそれが真の姿ってこと?」
「ミフー!」
くるくると回りながら羽をはためかせるミフィリアはそうだと言いたげに一つ鳴いた。
「……こんなかわいいぬいぐるみが真の姿だなんて冗談きついわよ?ミフィリア!」
「ミフー……」
なぜかミフィリアが残念なものを見るような目で私を見たけれど、今度誰かにミフィリアとイタズラを仕掛けようかと考える私は、深く考えずにその目線を流した。




