33、聖女について、ですか
まぁ、そろそろ本編に移ろうかと。あと3、4話くらい?ですかね?
私にペットが出来てから少し経ち、商会も軌道に乗って庶民用のコスパ重視の物を売り始めている今日この頃、久しぶりに友人と遊ぶ約束をした。
「エリィ、後3年で王立学園に入学して聖乙女の水鏡に聖女になれるかを選ばれるだろう?」
「それくらいは知っているわ、あまりバカにしないでよジル」
私の家のお庭で私とジルとリューとイヴちゃんがアフタヌーンティーを楽しんでいる。そんな麗らかな時に私をバカにするとはジルもなかなかに変な奴であると思うのだ。
「私はお父様に頼み込んで今まで聖女について調べてもらったので、今からそれをお話しますね?」
「あ、ありがとうイヴちゃん」
お礼を言うと花咲くように頬を赤らめてはにかみ照れてしまった。なんだこれやっぱかわいいなこの子。身長も多分140センチくらいでしょう、ちまちまは健在ですね。
「はい!聖女、とはご存知の通り世界を救う精霊使いのことです。聖女には光魔法のイメージが強いですが、歴代では光属性の聖女様は数名しかいらっしゃらないそうです。選ばれる条件は正確には分かっていませんが
・魔力量が大きい者
・心が清らかな者
と言われていますわ。エリィ様はこの条件を揃えているものと思われますが……」
「光属性ってだけで選ばれる確率が跳ね上がるのよね?」
私の予想を聞いて、悔しそうに唇を噛むイヴちゃんに困ったように笑いかける。私のことにこんなに一生懸命なのだ、嬉しい限りだろう。
同じようにジルとリューも渋い顔をしている。本当に私はいい友達を持った……でも待てよ?イヴちゃん以外は攻略キャラで殺されそうなんだけど、隙を見て離れようとか思ってたのに。
「実際エリィは俺と同格の魔法を使えるようになっているし、素質でいうと完璧だと思うんだが……」
「それに、これはあまり知られてないですが聖女には役割があるそうなんです」
「役割?」
「世界を救う、厳密に言えば魔物を殲滅することですわ。この世界には魔法を使える存在が3つあって、精霊・魔物・人間、の3つですわ。人間は精霊と契約することで魔法を使いますが、魔物は精霊を凌ぐ程の魔法を使いますし、元からの能力も高いです。それに、魔物は人間に懐くことは極稀なことですし、逆に襲い掛かってくるくらいですから……」
「それを殲滅しろ、と」
重苦しい空気の中で誰もが顔を見合わせる。全員の顔には、魔物を殲滅などしたくはない、と書いてあるようだった。
「魔物ってそんなに悪いものかしら」
私がそう零すと、「ミフー!」と楽しげな声をあげながら座っている私の肩口にミフィリアが抱きついてきた。あれからかなり懐いているから可愛くて仕方ない。頭を撫でながら顔を皆の方へ向けると、ガチりと固まっている3人の姿が見えた。




