18、材料調達です!
「ダンヒルおじいちゃん」
「おや、エリザベスお嬢様。どうされましたか?」
シワだらけの気難しそうな顔を向けているのは、メイリーン家のだだっ広いお庭の庭師であるダンヒルだ。どこかの頑固親父みたいな顔をしているけれど、小さい頃に……今も10歳で幼いけれど、その頃にお花の名前を頑張って説き伏せて教えてもらったので仲はいい。
弟子のベルテルとも、もちろん仲がいいけど。
「あのね、匂いのいい植物って何かあるかしら?」
「どうして急に」
私のアロマ製造計画をダンヒルおじいちゃんに話した。
香水よりも匂いがキツくない、癒し効果のあるような精油を作りたいのだと。
前世の技術だから多分失敗はしないし、植物のことならなんでも知っているダンヒルおじいちゃんも出来そうだと言ってくれたし、いけそうかも。
「まずミントとカモミールを使ってみましょうか。いい農家を知っているから売り物にならない物を引き取ってきます」
「ありがとう」
協力者を1人ゲットだぜ!
ダンヒルおじいちゃんはお顔の割に子供好きだから私には優しい。お兄様にはそれほどでもなかったけど、多分お兄様は子供と言うには大きすぎるからかもしれない。お兄様の幼い頃の姿は写真と絵姿でしか見たことがないけど、かなりイケメンだった。びっくりした。
ちなみにこの世界ではカメラがあるらしく、デジカメに比べるとどデカいが画質はすごくいい。スチルとかの関係だろうか、見た目的に数十分止まっておかなきゃ撮れないモノクロ写真のカメラっぽいが、仕上がりは一眼レフだ。
つまりは、
「お兄様かっこいい」
「ありがとう」
「いやぁぁぁ!」
ただの独り言に返事が返ってきて叫んでしまった。
バッと勢い良く振り返ると、そこには腰をかがめながらキラキラスマイルを向けているお兄様がいる。ふざけんなイケメン心臓に悪いわ。
「ごめんごめん、驚かせすぎちゃった?」
「な、なぜここに?」
「昨日から学園が長期休暇だろう?エリィの精霊魔法を見ておきたくて探していたんだ。何をしていたんだい?」
「そうなのですか……私、商会を立ち上げたいと思っておりまして」
「商会?」と興味を示してくれたお兄様に私の考えを説明する。
お兄様はただのハイスペックイケメンだから仲間に引き込むべきだと判断した。6歳も上なのだからきっと私よりもこの世界の常識や世間について知っているはずだし、ここのマーケティングについても教えて欲しいこともある。
……出来れば私の処刑が決まった際に逃げ切れるくらいの魔法が使えるように教えて欲しいし。
「ねぇお兄様」
初めてのエリザベスちゃん悪女モード発動です。




